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想田くんに夢中

『現実の君』と『夢の中の君』

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目が覚めてしまった。
目が覚める前に最後に見たのは睦治の悲しそうな顔だった。
やっぱり過去に何かあったんだ……。

って、夢の中のことなのになんでこんな真剣に考えてんだ?

何か睦治との夢、すごく現実味を感じるんだよ……。
でも現実と夢を混合しないように気をつけないと。
まず現実の俺は想田くんと仲直りしないと。

俺は早めに登校して想田くんが来るのを廊下で待った。

(あ、来た……!!)

「想田くん……!昨日はごめん!!」

想田くんに駆け寄り深く頭を下げたから、足止めさせる形になってしまった。

(あ、また目立つようなやり方になっちゃったかも……)

「大丈夫……怒ってないよ」

想田くんの許しの声が聞こえて頭を上げた。

「でも、」 
「でも?」

想田くんは言いにくそうに目を反らした。

「目立つのは嫌だから……」
「俺気をつけるよ!!」
「……」
「クラぁー!!」

友人たちが近づいてきて想田くんが俺の元から離れていった。

(ちょっとしか話できなかったけど、仲直りはできた!!よし!!)

その日の夜_______

「睦治!想田くんと仲直りできた!」
「嬉しそうだね」

いつもの保健室で睦治に報告した。
ベッドに腰かけていた睦治の横に座って距離をつめた。

「想田くんのペースで仲良くなっていきたいな」
「……」
「想田くんと当たり前みたいに話せるようになって……スマホでもやり取りできるようにもなりたい。想田くんそういうの嫌かな?」
「……知らない」
「睦治は嫌?」
「何が?」
「俺と連絡先交換するの。」
「……イヤじゃないよ」
「やったぁ!」

睦治がまた顔を赤くしていた。

「でも睦治とは毎晩ここで二人で過ごせるから連絡先交換必要ないかもね」
「そうだね」
「仲良くなったらさ、一緒に遊びに出かけたりしてくれるかな?」
「さぁ……社交的な人じゃないし」
「俺、想田くんとデートしたい」
「えぇ?!?!」
「……睦治、そんな大きい声出るんだね」
「だ、だってデートって……、」
「でも実際デートできるのすごい先だろうけど」
「……そうだね」
「俺ら数分以上会話したことないもん……」
「……」
「睦治みたいに想田くんとも話せたらいいのにな」
「……」
「睦治?」

睦治が黙ってるから心配になって表情を覗きこんだ。

「……想田くんも彰悟くんと話したいかも」

睦治が真っ赤な顔で小さい声でそう呟いた。

「マジ?」
「……わかんないけど」

俺が身を乗り出して睦治に尋ねると睦治がうつ向いてしまった。

「まぁ、そうだよね……これ俺の夢だもん。睦治が俺を喜ばせること言ってくれるのは当たり前だよね」
「違うよ……!!」
「……」

睦治がまた大きい声出したからビックリした。

「想田くんも本当は自由に彰悟くんと話したいけど……そうしちゃダメな気がしてるだけ」
「どうして?」
「彰悟くんの心が壊れるかもしれないから……」
「え……」



ピピピピピピピピピ……

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