愛しい隠れ美少年はサキュバスだった。

想田くんに夢中

夢の中で仲良しこよし

その日の夜、また睦治が部屋の角で縮こまってた。

「キスしたの恥ずかしかったの？」
「うるさい……」
「ふっふっふっ……」
「なに？」

俺は睦治に飛びついて力いっぱい抱きしめた。
両想いだって思ったらどうしようもなく浮かれてしまう。

「彰悟くん、ちょっと……！！」
「可愛い睦治！！」
「やめてよ！！」

顔を真っ赤にした睦治に顔を押されて渋々離れた。

「恥ずかしいし……急なのはやめてよ……」
「睦治ムード作りが好きなの？」
「そういうのじゃなくて、心の準備させてほしい。好きな人に抱きつかれたら心が持たないよ！！」
「好きな人……！！」

嬉しくなってまたぎゅうっと抱きしめた。

「彰悟くんちゃんと会話して！！」
「わかったよ」
「……」

俺は睦治の向かいに座った。

「睦治今日は何してたの？」
「……バイト」
「俺も！睦治はどこで働いてるの？」
「言いたくない……」
「なんで？」
「彰悟くん、自分もそこで働くとか言い出しそうだから」
「いいじゃん！！」
「だめ。彰悟くんはバイト何してるの？」
「引っ越し作業。時給いいし、土日だけでも怒られないし」
「へぇ……」
「平日は姪っ子のお迎え行くからね」
「そうなんだ……えらいね」
「うちは母ちゃんもういなくて、姉ちゃんの夫婦と父ちゃんと姪っ子と俺で暮らしてるから家族の役割分担がちゃんとしてるんだ。」
「そっか……彰悟くんはしっかりしてるね」
「なんて？」
「え？」
「今、聞こえなかったからもう一回言って。」
「絶対聞こえてたじゃん。」
「聞こえなかった！もう一回！！」

睦治が俺の顔じぃっと見た後ふわっと笑みを溢した。

「どうしたの？」
「家族以外と長く話すの久しぶりだ……楽しい」

睦治の楽しそうな顔本当に可愛くて見とれてしまった。

「俺も睦治といると楽しいよ」
「……現実でもいつかこうやって過ごせるといいね」
「うん！！想田くんと仲良くなりたい！！」

俺の言葉に睦治が満面の笑みを浮かべてくれた。



ピピピピピピピピピ……