愛しい隠れ美少年はサキュバスだった。

想田くんに夢中

諦める

また保健室で目が覚めた。
いつもなら真っ先に睦治の姿を探すのに何か今日は気力がない。
だからベッドに寝そべったまま動かないでいた。

「……あ、起きてる」

近づいてきた睦治が俺の顔を覗きこんでそう呟いた。
心配そうな顔してる睦治から俺は目を反らした。
そしたら睦治は床に膝をついて俺の目線の高さになって距離を縮めた。

「今日どうしたの？ずっと元気ないね」
「……想田くん好きなのやめるべきかも」
「えっ」
「想田くん、彼氏いたかも」
「えっ？！」
「俺……睦治と仲良くなれたから想田くんとも仲良くなれると思ってたけど……想田くんにとっては俺はどーでもいいクラスメイトなんだよ……」
「え？え……なんで？想田くんは彼氏いないし、彰悟くんのことどうでもいいとか思ってないから！！どうでもいいなら放課後心配して声かけないよ」
「なんで睦治にわかるんだよ……」
「わかるよ！！俺が想田睦治だから！！」
「……でも、想田くん『特別に思ってて、笑って話し合える仲の人』がいるんだよ」
「……津山くんのこと？」
「そう」
「津山くんは中学が一緒で……その、彼の家とうちの家がすごく特殊だから、それで繋がりができただけ！」
「ふーん……」
「ふーんって、信じてないの？」
「だってこれ俺の夢だもん」
「そうだけど……」
「毎晩自分に都合がいい夢ばっかり見てるし、想田くんも迷惑だよな……」
「彰悟くん……」
「俺、睦治ともイチャイチャするのやめる」
「え……俺のこと好きじゃなくなるの……？」
「……そうしないと想田くんに嫌な思いさせるもん」
「……っ、」

次の瞬間、甘い誘われるような香りがした。

「え、睦治……何かした？」
「え？」

妙に心臓がドキドキして、……股間がムズムズしてきた。

「何か睦治から甘い匂いがするんだけど……」
「え、ウソ……っ、」

睦治が泣きそうな顔をして俺から距離を取った。

「睦治どうしたの？泣かないで……」

俺はいつも通り安心させようと起き上がって睦治を抱きしめようとした。

「彰悟くん、近づかないで……！！」
「え……」



ピピピピピピピピピピ……



そこで目が覚めた。
起きると朝勃ち……というか、完全勃起していた。
今までも夢で睦治とイチャイチャして緩く反応することはあったけど脈絡なく勃起したのは人生初めてで違和感ありありだった。

(俺なんかストレス溜まってるのかな？)

(疲れマラってやつ？)

処理して仕度していつも通り登校した。
処理する時、頭の中で睦治とキスしてる時のことが頭に浮かんだ。

(……こういうのがダメなんだって。)

(それに今日の夢は睦治にまで拒否られたし……)