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想田くんに夢中
気持ちを確かめる
しおりを挟む校庭隅の人に話を聞かれなさそうな所に連れて来られた。
「あの……どういうこと?」
「……ごめん」
いつもの睦治の泣きそうな顔だ。
いや、でも目の前にいるのは想田くんだし、ここは現実の学校だからいつもみたいに抱きしめてあげられない。
「俺、サキュバスの血を引いてる人間なんだ」
「へ?なに?さきゅ……?なんて?」
俺は急な展開に付いていけないでいた。
「サキュバスっていう、人の夢に入り込む悪魔の血が流れてるんだ」
「……」
「いろいろ説明するには時間が足りないから昼休み続きの話しよう……その、ネットでサキュバスって調べてみて……」
睦治は疲れた表情をしていた。
(自分が悪魔の血を引いてるって言うのは一世一代の告白だよな……)
俺はまだ現実感が掴めないでいた。
でも睦治が冗談言うタイプでもないし、顔見たら決心して伝えてくれたのは一目瞭然だった。
授業中こっそりスマホでサキュバスについて調べた。
そしたらエロい画像がめっちゃ出てきた。
(え、サキュバスってなに?)
(睦治もこんなエロエロになっちゃうってこと?)
『性交がしたくてたまらなくなるよう誘惑してくる』って書いてるけど……俺誘惑されたっけ?
むしろめっちゃ拒否られてなかったか??
(あ……)
(この体質のせいで好きな人と揉めちゃったのかな……)
(だから仲良くなるの慎重だったのかな)
昼休み、二人で人気のない所までやって来てゆっくり話すことにした。
「俺のこと気持ち悪くない?」
「なんで?」
「だって……」
「何かサキュバスの特徴と睦治の印象が全然違うからよくわかんなかった……」
「彰悟くんっぽい解答……」
「なにそれ?」
睦治が安心したような柔らかい表情になった。
(あ、いつも見てる睦治の顔だ……)
現実の睦治が俺に心開いてくれてる。
たまらなくなって、ほっぺを撫でるように包むと恥ずかしそうにうつ向いた。
「人いないけど学校だからダメだよ」
「はーい」
俺はニヤニヤが止まらなかった。
「その……俺の体質のせいでその人の生活を左右しちゃうから……俺、恋とかしたくなかったんだ」
「どういうこと?」
「俺は好きになった人の夢に入っちゃうんだ」
「……てことは、俺たちめっちゃ早い段階で両想いだったの?!」
「うん……」
「両想いなら言ってよぉ」
何か想田くんへの想いとか睦治に話しまくってたし恥ずかしくなってきた。
「いろいろ話すのが遅くなってごめん……その、俺の感情の揺らぎで性的興奮を誘うフェロモンが出るから……彰悟くんを好きな気持ちに抗ってた……」
「?」
「現実では彰悟くんが毎日話しかけてくれるし、夢では毎日イチャイチャできてたから……俺、満たされてたんだ。だからフェロモンはコントロールできてた」
「うん……」
「でも、昨日彰悟くんに俺を好きなのやめるって言われたから一気に不安が押し寄せてきて、無意識にフェロモン出してたと思う……」
「あー……だからムラムラしたのか」
「……前にこのフェロモンのせいで好きな人を暴走させちゃったことがあって……だからもう誰も好きにならないって決めたんだ」
「じゃあ俺が最後の好きな人かもね」
「……」
照れくさいのか睦治が唇を尖らせた。
「そのフェロモンってさ、人が耐えられるものかどうかわからないけど、俺睦治になら壊されていいよ」
「彰悟くん……」
二人っきりの世界じゃないから抱きしめられないけど、睦治の前髪を指で撫でて隠れていた目をじっと見た。
「でも人の心を壊すって怖いもんね」
「……うん」
「じゃあやっぱり俺は壊れない。前にした約束絶対守る」
「……彰悟くんって、すごいよね」
「え?」
「俺が安心できる言葉、いつもくれるよね」
「睦治のことが好だからね」
俺は睦治と距離を縮めてキスしようとした。
「ヴっ」
睦治に顔を押された。
「ここ学校だよ」
「……はーい」
けど睦治が人から見えない位置で手を重ねた。
「?!」
「彰悟くん……あのさ、」
「どうした?」
「彰悟くんとセックスしたい」
「うぇ?!?!」
睦治がこれまでで一番真っ赤な顔して恥ずかしそうに伝えてきた。
サキュバスのフェロモンとかじゃなく、睦治が可愛すぎて反応しそうだった。
(睦治……自分でここは学校だからって我慢を強いたのに……こんなの一種の煽りプレイだろ……)
「彰悟くんは嫌?」
「する!!します!!したい!!」
「……何か情緒ないけど、気持ちが暴走してフェロモン出して前後不覚になりしたくないし、夢でして色欲に溺れるのは嫌だから……」
「ってことは、」
「今度二人の休みが合う時、俺の部屋でシよ?」
「うん…………うんっ!!」
(神様、睦治様ありがとう……!!!!)
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