愛しい隠れ美少年はサキュバスだった。

想田くんに夢中

初デート

約束の日がきた。

お互いバイトは休み、お互い家族が外出中。

睦治とは連絡先を交換して、この日のために準備してきた。

「……っ！！」

数日前はほとんど会話もできなかったし片想いかもって不安になってたけど……今は気軽に連絡もできるようになって、休日にも会う約束できるようになって、そして何より今からセックスしようとしてる。

(ついに……睦治とセックスするのか……！！)

「ふぅ……」

今俺は薬局に来てる。
昨日夢の中で睦治に『ゴムは彰悟くんが用意して。サイズわからないから……』って照れながら言われた。
だから真剣に選んでる。

(ゴムって何か生々しいよな……)

自分のサイズを手に取って一応お菓子もいくつか持ってレジに向かった。

(睦治、会った時どんな顔するだろ……)

現実の睦治とも両想いだってわかった日から俺はずっと浮かれてる。
夢の中でも睦治に好き好きアピールしすぎて「フェロモンでおかしくなってる？」って心配させちゃったし、現実でもデレデレしてるから「付き合ってるのバレるよ！」って叱られたし、空前絶後の舞い上がり方をしてる。
睦治からは前みたいに甘い匂いも感じとれないし感情が安定してるのかも。
だからフェロモンに浮かされたわけではなく単純に俺が浮かれてるだけだ。

(睦治のトラウマを刺激しないように気をつけないと)

そう決心して睦治の自宅最寄り駅で下車した。
改札を出ると遠くに黒のバケットハットを深く被って白のシンプルなTシャツとジーンズのラフな格好だけど手足が長くて目立ってる青年がいた。

(私服で街中にいると睦治の美しさが際立つな……)

「睦治ぃ～お待たせ」
「……」

睦治は緊張してるのか、赤い顔して何も言わず上目遣いで見つめてきた。

「その顔チューしたくなるんだけど」
「……家着いてからね」

(俺の気持ちを煽るの上手すぎない？)


睦治の家に向かう道中はお互い口数が少なかった。
睦治ん家はマンションで、玄関を開けると清潔でお洒落な光景が広がっていた。
玄関にはお花とお洒落な小物が置かれている。

(お母さんのセンスがいいんだろうな。)

玄関の装飾を見ながら靴を脱いだ、すると不意にぎゅっと手を握られた。

「？」
「彰悟くん……」

名前を呼ばれるだけで胸が高鳴る。
握られた手から緊張が伝わってくる。
表情が見たくて睦治の前髪を指で撫でた。

「睦治？」

すごく恥ずかしいのかぎゅっと目を瞑ってる。
俺は睦治のおでこにキスをした。

「？！」

睦治が驚いて後退りしようとしたから腰を抱き寄せた。

「睦治も俺とイチャイチャしたいと思っくれてるんだね」
「……っ、」

返事の代わりに睦治が俺に抱きついてきた。
俺は緊張から強張ってる睦治を落ち着けようと背中を撫でた。

「彰悟くんと現実でこうできるのが待ち遠しかった……」
「～っ、俺もだよ！！」

俺は嬉しくて嬉しくて睦治をギュウッと抱きしめ返した。

(今俺、現実の想田睦治を抱きしめてるんだ)

(俺からスキンシップ取ってたけど、今は睦治も触れてくれる……あぁー、幸せだ）

幸せを噛み締めて数秒抱きしめ合った後、自然とお互いに視線を合わせた。
目をそっと閉じた睦治に唇を重ねた。
俺が少し口を開くと、睦治が少し目を開いて俺の様子を確認してきた。
睦治の舌が控えめに伸びてきたからすぐに絡めた。

ちゅ……っ

舌を吸ってみると睦治の方も真似して吸ってきた。
舌を絡めると睦治も積極的に絡めてくれてキスに夢中になっていた。
その内息苦しくなったのか睦治の吐息が聞こえるようになってきた。

「しょうご、くん……」
「ベッド行く？」
「……うん。」