たんぽぽ 信一・維士

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信一 対談

2012年 春 信一

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2012年 春 日曜日 信一

 流れ通りに、何回もおれは確認した。
他の人の絵に興味があるか、(信一、ドク 返答次第で掘り下げ)
いつ頃から描いた( )
何を思って描くのか( )
信一ドクの絵 掘り下げ その返答 ドク
今描きたい絵はあるのか、( )
今どんなところで描いていてのか( )
これからの夢 ( )

 朝早くからおれの部屋は次から次と人だらけだった。あれよあれよと言う間にスタジオに変わった、その隅での確認作業だった。
 
 ドクが来た、
 ありがとうとおれは言った。

 1年ぶりで会うと、凄い眩しい自信なのか、髪は伸びて肩のあたりだ。周りのスタッフも息を呑む気配がする、その隣のチューリップもドク程ではないが、凄いの一言だ。

 2人ともスーツ姿で一流のモデルのようだ。
 大丈夫かなおれ、霞んでないか、たぶん霞んでいるなぁ、大丈夫だと自分を励ました。

対談を初めてた、
「画家ドクさんと対談光栄です、田真信一です。今日は宜しくお願い致します。」

「宜しくお願い致します」

「気になっていたんですが、ご自分の絵以外で好きな画家とか興味のある絵とかありますか、おれは自分で絵を描いてCDとかで発表してますが、ドクさんの絵を2枚TVの前に飾って毎日話し掛けています。TVに出ているおれが、TVを見ないって言ったも同然ですね、
この絵は生まれて初めて、体が震えた絵です」と、言って椅子の絵を見せた。

「ありがとうございます、僕は他の人の絵に興味はありません。強いて言えばチューリップが好きです」

「ドクさんの個展とチューリップはセットでしたね」

「はい」

「チューリップについてもっと聞きたいですが、話を絵に戻して、いつ頃から描き始めましたか、おれはデビューのきっかけになった曲の投稿サイトように描いたのが始まりかな、
描きたくて描いたわけじゃないので少し微妙ですが」

「僕は、小3くらいです」

「それから、ずっとですか、ブランクは」

「ずっとです」

「凄いですねぇ、経歴を見ると2年前に東東大卒業してその後画家で食べているのかぁ 凄過ぎて、高卒のおれじゃ話し、あいませんね」と、余計な事を言ってしまった、あっ周りの空気が変わった、何言ってんだ、元に戻せと別のおれが急かす、

「うぁ、申し訳ない、不甲斐ないので自虐が、でました」

「特に気にしません」と、ドクがどうでも良いように言った。

 あっまた上から来られた、思い出した最後の日と同じだった。

「小3の時、何かきっかけがあったのですか」

「何もないです、後で思い出すかもしれません」と、ドクがこの対談をやりたくないのを言葉で出した。

「じゃ思い出したら教えて下さい、今迄他人行儀でしたが、読者のみなさん、おれとドクさんはかなり親しかった、過去形ですが、」

「そうですか」と ドクは聞き返しの返答してくれた。

「毎日ドクさんの絵を見て、ドクさんの顔思い出すので、毎日会っているように錯覚してしまいました、親しかったではなく、親しいつもりだった、ですね、」と、おれは答えた。

 この茶番の対談で1年前の答えを見つける事は出来るのか、無理そうだ。

 残りの流れの台本を飛ばして、夢を聞いて終わりにしようと思った、

「最後に、ドクさんの夢、教えて下さい、本当は対談なので会話が出来ればよかったけど、話しの組み立てが下手で、インタビューになってしまいドクさんには申し訳なかったです。

 まずおれの夢からですが、
いざ夢って考えて思った事は、生きることかなぁ、、ドクさんも、読者さんも、おれを見て驚いたと思う、察してくれ、なんてカッコつけている場合じゃないくらい変わったでしょう、
 今まで、脚光をたくさん浴びてきた、今は陰の部分かなぁ、

 おれのばあちゃんが、大きい光には大きな陰だよ気をつけろと、言ってたんだ、その意味が今わかるよ、後どのくらいか、わからないけど、夢は生きる事かな、少し大袈裟ですが、、でドクさんは」と、おれが言うと、ドクは何かを考えている顔で、

「僕の夢は絵を描き続けたい、信ちゃんの、、、生きたいと一緒だよ、、

 僕、数ヶ月に1回知り合いに、会いに施設に行くんだ、その人は痴呆で、僕を自分の中学生の子供だと勘違いして、いつも会うと、

(笑って生きてちょうだい、お願い笑って、辛くさせて、ごめんなさい、)って言って泣くんだ。当時言えなくて後悔した言葉を今、言っているんだ。生きるって大変だよね。

 信ちゃん、性格悪いから友達いないよな、
僕がなってあげるよ、これから宜しく」と、ドクがおれの目を見て、ゆっくり言った。

「イシ、ありがとう、施設に入っている人はイシと出会えてよかった、ありがとう、おれはずっと寂しかった」おれは、思わず言った、泣いた。

おれの主催の対談に涙が止まらない。

 社長がまとめてくれた、スタッフみんながもらい泣きしていた。撤収した。
 2人が帰るところに、おれが、

 「イシ、おまえからメールして欲しい、明日から毎日暇だ、いつでも良い、ばあちゃんの事ありがとう、メール待っている」と、おれはすがるように言った。
隣のチューリップは面白くなさそうな顔を
していた。

「わかった、じゃあ」と、イシは言って帰った。
皆んなが帰って1人だ、
寂しかった。


 答えなんて悩む必要なかった、子供が欲しい物を手に入れるまで、駄々を捏ねて、手に入れた瞬間飽きるのと同じ事だった。

 本当に欲しい物ではなかった、あの椅子の絵を描いたドクが欲しかったのか自分の心が定かではないが、あの時は、イシではなかったのは確かだ。

 イシはおれの家族を見ておれが隠してた部分を見抜いた、我儘な、はだかの王様のおれを知って、おれより悩んだ末の話合いだった、全て振り回していた。
 まだ20時だ。家に電話した、

「おれ明日昼に帰る、日帰りだよ」と言う
母さんが待っていると、言ってくれた。
電話を切った後、おれの事(待っている)人がいたんだって、泣けた、病気のせいか、涙腺が緩い。

 ドクの絵は今日の対談用に出したが、今のおれには、見れないのでしまった。
イシも大学3年までの絵は見ないって言っていたなぁと思い出した。絵はドクで実際の人はイシだった勝手に思ってた、
(早く売りたい)と言っていた事も思い出したが、今さらおれに売らせろなんて、言えないなぁ。

 母さんに会って何を言うか、その場で考える事にした。退院間もないので疲れた、寝れないが、横になって目を閉じた。



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