ヒエラルキーの一番下にいる俺に、魔法という選択肢があったなら

そこの俺、

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一話

第四章 スタートが遅れた劣等生

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 生徒会書記の一件から逃れるために休んだ加賀は、遅れを取り戻すため、魔法の授業を放課後に、補習という形で僕と「中村先生(魔法の先生)」の二人で体育館に来ていた。
 もう一度確認しておきたいことがある。
 生徒会書記のとの一件から逃れるために休んだのだ。
 決して、ボコボコにされて、怪我などで休んだわけではない。
 しかし、あの日から一週間たった今日。朝、登校して校門から一歩進んだところで僕は、地面、否、空間に亀裂が入り、閉じ込められた。一限から六限まで(この学校は六限まである。)ずっとだ。
 僕は、どうしようもなく、真っ暗な所に、閉じ込められたので寝た。
・・・以外にあの中快適だった。
 そして目が覚めたら、校門付近にある、大きな松の樹に拘束されて動けなかった。全裸で。
 僕は姿を変えて、服を着た自分になろうとしたが、魔術が使えない。
 なぜかと言うと、僕達が魔術を使うには魔術回路が必要であるが、僕の魔術回路がズボンのポケットから抜かれてた。
・・・まあ、ズボンもないんだけどね。
 僕の魔術回路はスナイパーライフルだか、小さくすることができ、普段はスマホサイズの黒い塊として持ち運んでいる。が、それも抜かれている。
 そのまま僕は魔術を使えないまま、放課後を伝える鐘を聞いた。
 そして、みんなが玄関から靴を履き替え帰ろうとする。
 が、僕は全裸で動けない。
 そんな時、加賀の目の前に二つのことが起こる。
 一つは、書記がメガホンを持って大声でこちらへ注意を向けようとしている。
 一つは、加賀の身を拘束していた金属の縄と器具が校門付近の土を素材とした高速の刃により砕かれる。
「え?!どうなってんだぁ?」
 すると、声がかかり、 
「加賀!こっちだ!」
 と、左の草の茂みから招く手が出ていたのでそちらへゆく。
 逃げられたことに気づいた書記がメガホンに「こらー!変態加賀!でてこーい!」と、言っているが気にしない。
・・・というか、あの人どんどんキャラ崩壊してる気がするなあ。
 そんなことを考えていると、茂みに隠れている加賀の隣に体育座りをしている、女の子がこちらの腕を軽く指で突く。
「大丈夫か?私は四年の「霧凪 純恋(きりなぎ すみれ)」だ。」
 彼女は、黒髪を後ろで二つに分けて結い、ツインテールにしている。胸は無と言っていいほど平で、顔はちょっと大人っぽい、美人だ。服は制服だが、タイツで覆われた脚に目がいく。
「はい、大丈夫です。加賀 河割です。」
「ああ、知っている。まぁ、とりあえずこれを着ろ。」
 と、彼女はどこからか、取り出したかわからないが、着る服を持ってきてくれていたらしい。
「ありがとうございます!」
 と、僕は彼女の持っていた服を受け取り着る。ん?着づらいなあ、チャックがなんで横に付いているんだろう。
 着てから気付いた。
「ぬぁんじゃこらあぁぁ!??」
 それは、殆どの男子の夢、セーラー服だった。
・・・色が黒だから気づかなかった!
 目の前の彼女は、目から涙をこぼすほど笑う、が、堪えている。顔が真っ赤だ。
「くっ・・・。くふふっ。に、似合っているぞ」
「ふざっけんなよっ!」
 というがこれ以外は全裸という選択しかないのは事実。うるさいことは言えない。
「それより、お前はあの書記から逃げているんだろう?ならば、私が逃げ道を確保しよう。」
「え?!、でもどうやって?」
 と、彼女は自信げに、
「さっき見ただろう?校庭の土を素材とした刃が飛んでいったのを」
「あ、はい。」
「私の魔術は魔力で創った泥や土を自由に変形させることができる。無論、そこら辺にある校庭の土や、砂浜なども自由自在だ。さっきは校庭の土の密度を高めてそれを刃として飛ばしたんだ。」
 俺は、ふと思ったことを口にしてしまった。
「うぇ、泥かよ汚ねぇ」
 すると彼女は泥で創った刃渡り二十センチほどの剣を逆手で持ち
「貴様?服を破いて、書記のところまで運んでやってもいいんだぞ?」
「す、すいませんしたぁ。」
・・・見た目は美人なんだけどなあ。
「謝ったから許す。」
・・・ちょろいな。
 そして、
「私が、この地面の土を変形させてトンネル創るからそこを通じて、玄関前まで行くんだ。」
「でも、トンネルなんて創って怒られないんですか?」
「大丈夫だ。お前が出たらすぐ戻す。だから、もたもたしてると閉じ込められるぞ?」
・・・もう閉じ込められるのは嫌だ。
「今なら、書記は樹の方へ注意がいってるから大丈夫だ。玄関へは注意は向かないさ。」
 玄関から、約五十メートルほどの距離があり、樹の方に顔を向けると玄関へ背を向けることとなる。これならいける!
「わかりました。」
 と言った直後。足元から三十センチほど前に地下への入り口が出来ている。
 入り口は地面に一メートルの正方形としてそこにあり、階段で地下に入れるようになっている。
「私の魔力で土の表面には膜が出来ているから、土が落ちる心配はないし、虫も入って来ない。心配せずいけるぞ。」
 だが、と彼女は
「あと、三十秒ほどで魔術のクールタイムが来るから、早く行ったほうがいいよ。そうだねえ、ここから百メートルくらいかな。加賀、運動神経悪いんだろ?はよ行け。」
・・・ふっ、見くびってもらっちゃ困るぜ先輩。僕の百メートルのタイムは二十五秒だ!
 と、加賀は「はい!」とだけ言い、階段を駆ける。
 あ!あと。と、先輩の声が聞こえ、
「だいぶ急いで創ったから、道はすごい曲がり道だよ~」
・・・早く言って欲しかった。曲がり道ということは、直線距離より時間がかかる。
 加賀は一心不乱に薄暗い道の曲がり角を曲がることを繰り返し、走る。
 すると、光の差し込む階段、おそらく出口だろう。
 そこめがけて走り、滑り込むようにして、トンネルから出る。
 直後、トンネルから出ようとした加賀の身体は無事出れたが、彼の両足首は地面にのまれた。
 今、うつ伏せの状態ではまっている。
「くそっ!ああ!ぬけろ!」
 力いっぱいに足を出そうとする。
「うおぉあぉぉああ!」
 すると、地面から泥だらけになった素足が出てきて、地面から抜けた反動で見事綺麗な開脚前転を決める。百点だ。
「いててて・・・」
 しかし、この学校の玄関は校庭の境目に階段はなく、玄関にいた学生達にその開脚前転をばっちり見られた。
 書記から逃れた喜びに気を取られていた加賀はセーラー服で、しかしノーパンで、しかし開脚前転決めて脚が疲れ、尻餅をつき、脚はM字に開いた。
 それに気づいた学生達の中の一人の女子は、大きく甲高い響くこえで、
「変態だぁーーーー!!!」
 その声に反応した、周りの学生、近くにいた教員、書記は、そちらを見るが、
 近くにいた中村先生がものすごい速度で、セーラー服の加賀をお姫様抱っこし、校舎へと連れ去って行った。

 そして、職員室にセーラー服で連れて行かれた僕は、
「一週間も休んだ挙句、今日は朝登校している姿を目撃した奴がいたのに出席していなかったから、どうしかたと思ったが・・・。セーラー服でノーパンで授業をサボって放課後のこのこやってくるとは・・・」
「中村先生!違うんです!誤解です!他の先生もそんな目で見ないでください!あのですね!これには深い事情が・・・」
「ええい!うるさい!補習だ!その格好のまま十五分後に体育館に来ること!」

 そして、体育館についてセーラー服で待っていると、ジャージに着替えた中村先生がやって来て、
「よし、ちゃんとその格好できたな。その、なんだ・・・以外に似合ってるぞ。」
「そんな訳無いじゃないですか!」
 悪い、悪い、と言い、中村先生は
「早速だが、補習課題を言うぞ。」
 それは、
 それは?
「この学園全体を使い、お前の魔術で俺を倒すまで行う模擬戦闘だ。」
 
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