人造人間(アンドロイド)

二章

16話

「これ以上言うジェーンに悪い」
腰に下げていた剣をクルエラは地面に置く。
「そうだ、人造人間について話をしよう」
思い出したようにクルエラは口を開いた。
「人造人間の寿命、ご存知ですか？」

　イエンは首をかしげる。

「寿命なんてあるんですか？」

　イエンの質問を質問で返す様子を見ると、ミナウィンはため息をつく。

「クルエラさん、世間知らずのイエンに聞いても、こうなりますよ」
「習ってないだけだ！　最近、危険な三体の人造人間についても学んだばっかりなんだし……」
「あなた何歳かしら？」
「15歳……」
「きちんと学校に行っていれば、小学校で12歳までに学ぶ事柄よ？」

　ミナウィンの厳しい発言にすっかりイエンは静かになる。

「まぁまぁ、私が一つずつ説明しましょう」

　イエンの悲しそうな表情に、クルエラは救いの手を差しのべた。

「人造人間は基本的に5年で部品が劣化してきて、交換しなければ7年後には完全に壊れてしまう」
「そんなに短いの！？」
「きちんとメンテナンスをすれば、ほぼ不老不死に近い。ただし、危険な三体の人造人間、特に頭脳形と戦闘形は危険すぎる故に、寿命が厳格に設定されている」
「人形は厳格じゃないんですね……じゃあ、その設定は？」

　クルエラは腕を組み、顔をしかめる。

「頭脳形が30年、戦闘形が20年……一応、人形は10年」
「え！？　じゃあ、人形って、もう寿命がきてるんじゃ……？」

　さすがのイエンでも、それは理解できた。
寿命は10年なのに、脱獄したのは15年前。
それはイエンが自国を発つ前に勉強した内容であった。

「人形は他の危険な人造人間よりは厳格ではないので、メンテナンスすれば伸ばすことはできます……」

　クルエラは、うーん、とうなり仰いだ。