人ならざるもの学園

幸輝

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十二話

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 ベルの声は、震えて涙声へと変わる。

「レイタ君……きさま、なんてことしてくれたのよ……!」

 ベルは、激怒して襲いかかってくるかと思いきや、鏡を握りしめたまま、わんわんと泣き始めた。
 一連の流れがわからないモモちゃんは、小声で僕に、何があったの?、と、聞いてきた。
 僕は、今までの出来事をモモちゃんに話すのであった。
 一通り聞いたモモちゃんは、うんうんと頷いてくれた。

「なるほどねぇ……」

 モモちゃんは、すっかり元気をなくしてぐったりしているベルを見てやる。

「僕も、こんなに威力があるなんて思ってなくて、ただ撃退しようとしただけで、殺すつもりはなかったんだ……」

 モモちゃんは、僕の肩をポンと叩き、ベルを背負う。

「とりあえず、学校に連れていって、保健室の先生にみてもらおう?」

 僕らの学校は、定時制もあるので、今なら先生もいる。

「私がこの子を連れていくから、レイタ君はイナリちゃんをお願い」
「わかった」

 教室の片隅で泣いていたモモちゃんと同一人物なのだろうか、とても強い頼もしい女の子に僕には見えた。
 僕は、まだ眠っているイナリちゃんを背負った。
 飛び出している尻尾が僕の手にあたる。
 イナリちゃんは、うぅ、と唸っている。
そろそろ気がつくだろうか。
 僕とモモちゃんは、それぞれを背負い、学校へと向かった。
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