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プロローグ
男装王女は見慣れない
しおりを挟むそれからは驚きの連続だった。ぎゅうぎゅうになりそうなほどたくさんの人たちがが行き交う街に、わたしの身長の何倍もありそうなほど大きな噴水、キラキラしたものが沢山並ぶお店。どれも初めて見るものばかりでずっとドキドキしっぱなしだった。
「ねぇ、あれも見ていい?」
「あぁ、もちろんいいよ、君は正真正銘お姫様なんだから」
(お姫様……!今まで1度も言われたことないのに…!まるで物語の主人公になったようね)
私が喜びに打ち震えていると、今までずっと笑顔を浮かべていた彼がスっと表情を消して、
「ねぇ、お姫様って、王様ってどんな存在だと思う?」
私は突然そんなことを聞いてきた彼の意図が分からずにじっと仮面の奥の青く光る瞳を見つめる。
「…物語のお姫様も、王様も、優しくて偉い人だわ」
「偉いってどんなふうに?」
「その国のみんなが幸せになれるようにしてくれるのよ、それはとても偉い事だわ」
「でもその国だけだろう?」
「だからたくさん王様がいるのよ」
彼は一瞬呆けた顔をすると、笑いを堪えきれないという風に
「そうだ、その通りだよ!…フフッ、それを忘れないでね、小さな王女様」
と言ってわたしのおでこに小さくキスを落とした。
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「今日は本当にありがとう!こんなに楽しかったのは生まれて初めてだわ!」
「そんなに喜んで貰えて僕も嬉しいよ!…最後に、まだどこか行きたいところはあるかい?」
「私、海というものを見てみたいわ。この国を囲んでいるという、大きな海!」
「……海か、分かったよマイプリンセス。ちゃんと最後まで僕がエスコートしてあげるからね」
さっきよりもぐんと高く飛んだかと思うと、
一気に急降下する
「え、速い、速いよ!大丈夫なの?!」
「大丈夫さ!僕にしっかり捕まって!」
グルグルと変わっていく景色の中で、一際輝く青色が目の前いっぱいに広がった。
「うわあぁぁあ!!凄い!これが海?!」
「…あぁ、そうだよ。どうだい?最後に見る海は」
「とってもキラキラしていて、真っ青で、まるでお空と一つになったみたい!」
初めて見る海に感動してしばらく目を奪われていると、突然、頭の中にザザッ………というノイズがかかる
【ミィ……っヶ…タ…………⠀】
「……!!……ねえ、今…何か言った?」
「ん?何も言っていないけど……どうかしたのかい?」
気のせいだったのかもしれない、ほんの一瞬だったし、周りの風の音、海の方から聞こえる波の音もとても大きいから……
「……ううん、なんでもない」
「そうか、じゃあそろそろ帰ろうか?」
「…うん」
そうしてわたしの冒険は、壮大な景色と、一抹の不安を残して静かに幕を閉じた。
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