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プロローグ
男装王女は探したい(※注)
しおりを挟むそれからというもの、ルリはわたしの部屋には来なくなった。わたし一人でも外に出てみよう、と思ったけど、何故か窓もドアもまるで壁に張り付いたみたいに全然開かないのだ。
わたしはあの時のドキドキをいまだに忘れられないままでいる。
もうすぐわたしの誕生日……つまり年に1度の姉様たちに会える日!
このことを姉様たちに言ったらどんな反応をするかしら?驚くかな?それとも…今度は姉様たちが連れてってくれるって言ってくれるかも……
ずっとドキドキが止まらない、夢を見ているような心地だった。
(最後に名前……聞いておけば良かったな……)
わたしの王子様は今頃どうしているだろう?
そして翌日、アリアナの10歳の誕生日。
いつものように姉様たちを待っていたけれど夕方近くになっても一向に現れない。
何か嫌な予感を感じたアリアナは以前試した時は全然開く気配のなかった扉へと足を向けた。
扉はビックリするほど軽く、すんなりと開いた
いても立っても居られず、王宮に続く道を裸足で走り抜け、どこかも分からないような長い廊下を1人で走る。
人の気配が全くない。不安が胸に広がる。姉様、姉様、どこなの?
ガタッっと音が聞こえた。
あの部屋だ_______________
アリアナはゆっくりとその扉を開けた。
そして目に入って来たのは
赤
かつてもっと小さい頃に見た顔、自分の親であった者達の顔が転がっていた。
いや、顔だけが転がっていたのである。
部屋はどす黒く汚れ、部屋の真ん中には巨大な、なんとも形容し難い真っ黒な塊が、モゾモゾと何かを貪るように動いている。
あまりの恐怖に扉から手を話すと、
カタン…と音が響く。その瞬間、黒い塊が形を変えて、
_______________目が合った
【⠀ナンだ、まァだイたのかァ⠀】
(逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ)
恐怖で震える手足を必死に奮い立たせて、全力で廊下を駆け抜ける。だが、10年間外に出ずにずっと部屋の中でこもっていたアリアナの体力が持つはずもなく
【 つウヵマえたァ 】
黒いのモヤのようなものに足を掴まれる。声を上げたくても喉からヒュウヒュウと音が出るだけで音が出てこない。嫌だ、死にたくない、誰か、誰か、姉様………
ザシュッ__________
肉の引きちぎれるような音と、地が震えるような低い悲鳴が脳に響く
「アリアナッ…!!早くソイツから離れなさい!!
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