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202教室に訪れた沈黙は、これまでに茉白が感じてきたどれよりも居心地が悪かった。
きみと仲良くする気はない、ときっぱりと言われて、茉白は返す言葉を失っていた。だが、そう言い放った本人も、それ以上は何も言わず視線を落としている。
どうしよう。怒らせちゃった……。
きっと自分の言い方が悪かったのだ。いや、もしかしたら、なにか言葉の選び方が間違っていたのかもしれない。
嫌われたくなくて、そしてこの空気をなんとかしなければと必死で謝罪の言葉を選んでいたら、瀬尾は黙ったまま教室の外に向かい始める。引き戸を開ける後ろ姿の瀬尾を止める術を、茉白は知らない。
一人取り残された彼女の脳裏に、先刻の瀬尾の言葉が木霊する。
『おれ、きみと仲良くする気、ないから』
一片の笑みもなく放たれた言葉だった。
彼がどこか茉白を歓迎していない様子なのはうすうす気づいていた。それでも、直接それを言動にしてぶつけられたことはなかった。今思えば、黒川や他のパートのメンバーがフォローを入れてくれていたのかもしれない。不用意に近づこうとしたことが、瀬尾の気に障ったのかもしれなかった。
茉白は、奈摘の言葉を間に受けて勢いで行動したことに後悔していた。黒川の話題で一緒に盛り上がれるかもしれない、などというのは淡い幻想だったようだ。それにしたって唐突だったかもしれない、とも反省した。
こうなってしまっては、二人きりは気まずい。そう思って瀬尾も出て行ったのかもしれない。
でも、なにか一言くらい言ってくれても……。
茉白は少し恨めしく思いながら、さっきまで瀬尾のいた場所を見つめた。まだ教室に来たばかりで、練習の準備は何一つできていない。楽器もケースから出していなかった。
やはり、声を掛けるタイミングを間違えたかもしれない。今日このまま彼が戻らなければ、自分も彼も練習の時間を無駄にしてしまう。
自分だけ練習を始める気にもならなかった茉白だが、瀬尾を追いかける勇気も気概もなかった。
黒川さん、助けて。
心の中で呼んでみても、もちろん助けなどくるはずなかった。黒川が今日は休みだと瀬尾から聞かされたとき、チャンスだなどと思ったのは間違いだった。今は彼がいないことがただただ悲しい。
どうすればいいのか途方に暮れていると人の気配がして、瀬尾が帰ってきたのかと茉白は勢いよく顔を向ける。しかし、開けっ放しの出入り口からひょっこりと姿を現した人物は、茉白の待ち人ではなかった。
きみと仲良くする気はない、ときっぱりと言われて、茉白は返す言葉を失っていた。だが、そう言い放った本人も、それ以上は何も言わず視線を落としている。
どうしよう。怒らせちゃった……。
きっと自分の言い方が悪かったのだ。いや、もしかしたら、なにか言葉の選び方が間違っていたのかもしれない。
嫌われたくなくて、そしてこの空気をなんとかしなければと必死で謝罪の言葉を選んでいたら、瀬尾は黙ったまま教室の外に向かい始める。引き戸を開ける後ろ姿の瀬尾を止める術を、茉白は知らない。
一人取り残された彼女の脳裏に、先刻の瀬尾の言葉が木霊する。
『おれ、きみと仲良くする気、ないから』
一片の笑みもなく放たれた言葉だった。
彼がどこか茉白を歓迎していない様子なのはうすうす気づいていた。それでも、直接それを言動にしてぶつけられたことはなかった。今思えば、黒川や他のパートのメンバーがフォローを入れてくれていたのかもしれない。不用意に近づこうとしたことが、瀬尾の気に障ったのかもしれなかった。
茉白は、奈摘の言葉を間に受けて勢いで行動したことに後悔していた。黒川の話題で一緒に盛り上がれるかもしれない、などというのは淡い幻想だったようだ。それにしたって唐突だったかもしれない、とも反省した。
こうなってしまっては、二人きりは気まずい。そう思って瀬尾も出て行ったのかもしれない。
でも、なにか一言くらい言ってくれても……。
茉白は少し恨めしく思いながら、さっきまで瀬尾のいた場所を見つめた。まだ教室に来たばかりで、練習の準備は何一つできていない。楽器もケースから出していなかった。
やはり、声を掛けるタイミングを間違えたかもしれない。今日このまま彼が戻らなければ、自分も彼も練習の時間を無駄にしてしまう。
自分だけ練習を始める気にもならなかった茉白だが、瀬尾を追いかける勇気も気概もなかった。
黒川さん、助けて。
心の中で呼んでみても、もちろん助けなどくるはずなかった。黒川が今日は休みだと瀬尾から聞かされたとき、チャンスだなどと思ったのは間違いだった。今は彼がいないことがただただ悲しい。
どうすればいいのか途方に暮れていると人の気配がして、瀬尾が帰ってきたのかと茉白は勢いよく顔を向ける。しかし、開けっ放しの出入り口からひょっこりと姿を現した人物は、茉白の待ち人ではなかった。
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