5 / 61
5.初恋のお兄さん
店内にはゆったりとしたBGMが流れていた。
それを耳にした途端、ふっと気が緩む。塚本と一緒だった間は自覚していなかっただけで、実は少し緊張していたようだ。
店に入ってすぐの右手はカウンターになっている。いつもは誰かしらスタッフがいるのだが、今そこには誰もいなかった。
私は店の様子をうかがった。
客の姿はない。閉店時間が近いからだろう。奥からは、片づけでもしているような、何かをがたがたと動かすような音が聞こえてきた。
テイクアウトでもして帰ろうと考えていたが、この時間に注文するのは迷惑になりそうだと思い直す。せめて片想いの彼に会って、挨拶の一つでもして帰りたいのだけれど、と思っているところに、一人の男性がやや焦った様子で奥から姿を現した。
「いらっしゃいませ。お待たせして大変失礼いたしました。……あれ?」
彼は私を見た途端目を丸くした。同時にその口調が親しげなものに変わる。
「美祈ちゃんじゃないか。いらっしゃい」
私は微笑みながら彼を見上げる。
「こんばんは。閉店間際に来ちゃってごめんね」
「大丈夫だよ。でもどうしたの?こんな時間にここに来るのは、珍しいんじゃない?」
「駅前で飲んでたの。ちょうど帰り道だから、征也君の顔を見に寄ってみたんだ」
「そうだったんだ。わざわざありがとね」
彼は穏やかに笑い、座るよう私を促す。
少し迷った末、私はカウンターのスツールに腰かけた。
彼はカウンターの中に入り、手を洗いながら私に訊ねる。
「何か飲む?いつものカフェオレ?」
「え?いいの?じゃあ、それをホット、砂糖なしでお願いしてもいい?できればテイクアウトしたいんだけど、いいかな?」
「全然構わないよ。こっちとしてはその方がありがたい。ちょっと待ってて」
「うん。お願いします」
彼は兄の高校時代からの友人で、佐伯征也という。本来は食品総合会社の社員なのだが、その直営店として開店したこの店で、数か月ほど前から店長として働いている。しかし残り半年もしないうちに、私たちの地元にある本社に戻ることになっているらしい。
以前から兄を含めた三人で地元で会ってはいたが、こんな風に会いたい時に会えるのは彼がこの街で働いている間のことだけだ。その後も、今のようにちょくちょく会えたら嬉しいのにと思いながら、私は征也を見つめていた。
私の視線に気がついて彼が顔を上げる。
「どうかした?」
私は頬杖をついて、彼に笑いかける。
「征也君は、いつ見てもイケメンだな、と思ってね」
「やめてくれよ。三十半ばのおじさんをからかわないでくれる?だいたいね、イケメンっていうのは悠生みたいなヤツのことを言うんだよ」
悠生というのは私の兄だ。征也の言葉に「確かに」と思う。身びいきを無しにしても、兄もイケメンの部類に入る容姿をしている。しかし、私にとっては征也の方が絶対的にイケメンだ。私は身を乗り出して真顔で言う。
「からかっていないわ。だってほんとのことだもの。それに征也君は、全然おじさんなんかじゃないよ。私と六才しか違わないし」
征也は自分の手元に目を落としながらくすくすと笑う。
「そんなお世辞を言ってくれるのは、美祈ちゃんしかいないよ」
「お世辞じゃないよ。ほんとのことだってば」
「はいはい。ありがとね」
今日の征也にも、私の言葉を本気にした様子はない。彼は微笑みを浮かべながら、温めていたミルクを火からおろした。それとコーヒーを合わせてテイクアウト用のカップに注ぎ入れ、蓋をかぶせる。
「はい、できた。一応猫舌さん用の熱さにしたつもり。それと今日は俺のおごりだから」
「え、そんなのだめよ。ちゃんと払う」
「気にしないで。実はさ、この間悠生におごってもらったんだよ。そのお返しの一部みたいなものだから」
征也はもっともらしくそんな理由を口にした。
その真偽については後々兄に確かめることにして、ひとまずは彼に甘えることにする。
「……じゃあ。今日はご馳走になります。ありがとう、征也君」
「どういたしまして。またぜひご利用頂ければ幸いです」
征也はわざとらしく堅苦しい言い回しをして、にこりと笑った。それからふと思い出したように私に訊ねる。
「で、今日は何の飲み会だって?」
「仕事帰りに同僚とね」
「同僚って女の子?」
「そうよ。同期の仲のいい子。どうして?」
征也に訊き返しながら、私はどきどきしていた。一緒に行ったのが誰か、ヤキモチでも焼いてくれたのだろうかと、淡い期待が胸の奥で顔を出す。
征也は真面目な顔をして言う。
「もしも一緒に行ったのが男だったら、一応把握しておこうかと思ってさ」
「何、それ。どういう心配?」
そわつく気持ちを抑えてくすりと笑い、私は彼の次の言葉を待った。
「だって、変な男にひっかかったりしたら大変だろう?」
「変な男……」
彼の口から期待していた台詞を聞けなかったことにがっかりしたが、表には出さない。そして「変な男」という単語を聞いた途端、私の頭の中に浮かんだのは、ここに来るまでずっと私についてきた塚本の顔だった。しかし、征也に余計な心配はかけたくない。また、彼経由で兄、ひいては、もともと私の一人暮らしに反対だった両親にまで話が伝わったら面倒だ。だから私はそのことには触れないまま明るく笑い飛ばす。
「私、もう二十九才の大人なのよ。人を見る目はそれなりにあるつもりだから、そんな心配いらないわ」
「いやいや、年齢だとか大人だとか、そんなのは関係ないよ。いくつになっても、美祈ちゃんは俺にとって大事な妹みたいなものなんだ。その妹を心配するのは当然でしょ」
征也が私を友人の妹、あるいは妹分としてしか見ていないことは、なんとなく分かってはいた。しかし改めてはっきりと「大事な妹みたい」だと言われると、哀しい気分になってくる。しかしその気持ちを隠す。
「ありがとう。でも本当に大丈夫よ。こう見えて結構ガードが固いのよ。むしろ、そのガードのせいでなかなか彼氏ができないんじゃないか、なんて友達から言われたりしてるんだから」
ガードが固いのは、目の前にいるあなたが理由なのよと、胸の中でこっそりと思う。
彼と出会った時、私は中学生だった。夏休みに入ったばかりの日、兄が友人である彼を家に連れて来た。名前だけは聞いていたが顔を合わせたのはその時が初めてで、そこからずっと、私は彼を想い続けている。
彼と親しくなってからの私は、直接的な表現を避けながらも、好きだという気持ちを事あるごとに彼にアピールした。彼はそれを単なる自分への好意としか思っていなかったようで、いつも軽く流されて終わっていた。悲しいことに、それは今も変わらない。
彼と恋人になりたいという願望は、常に私の中にある。一方で、心地よい今のこの関係も簡単には捨てがたく、もう少しもう少しと、告白するタイミングを長年引き延ばし続けていた。
しかし、今年二十九才の誕生日を迎え、来年はついに三十だと思った時、今が人生の一つの節目のように感じられ、突如として焦燥感が生まれた。いつまでもこのままではいけないと、十七年に渡る片想いにいよいよ決着をつけるべきだと思うようになった。期間限定ではあるが征也が近くに来たことも、その思いに火をつける一つのきっかけになったかもしれない。
決着をつけた先に思い描くのはもちろん、征也との甘い恋人生活、ひいては幸せな結婚生活に他ならない。
それを耳にした途端、ふっと気が緩む。塚本と一緒だった間は自覚していなかっただけで、実は少し緊張していたようだ。
店に入ってすぐの右手はカウンターになっている。いつもは誰かしらスタッフがいるのだが、今そこには誰もいなかった。
私は店の様子をうかがった。
客の姿はない。閉店時間が近いからだろう。奥からは、片づけでもしているような、何かをがたがたと動かすような音が聞こえてきた。
テイクアウトでもして帰ろうと考えていたが、この時間に注文するのは迷惑になりそうだと思い直す。せめて片想いの彼に会って、挨拶の一つでもして帰りたいのだけれど、と思っているところに、一人の男性がやや焦った様子で奥から姿を現した。
「いらっしゃいませ。お待たせして大変失礼いたしました。……あれ?」
彼は私を見た途端目を丸くした。同時にその口調が親しげなものに変わる。
「美祈ちゃんじゃないか。いらっしゃい」
私は微笑みながら彼を見上げる。
「こんばんは。閉店間際に来ちゃってごめんね」
「大丈夫だよ。でもどうしたの?こんな時間にここに来るのは、珍しいんじゃない?」
「駅前で飲んでたの。ちょうど帰り道だから、征也君の顔を見に寄ってみたんだ」
「そうだったんだ。わざわざありがとね」
彼は穏やかに笑い、座るよう私を促す。
少し迷った末、私はカウンターのスツールに腰かけた。
彼はカウンターの中に入り、手を洗いながら私に訊ねる。
「何か飲む?いつものカフェオレ?」
「え?いいの?じゃあ、それをホット、砂糖なしでお願いしてもいい?できればテイクアウトしたいんだけど、いいかな?」
「全然構わないよ。こっちとしてはその方がありがたい。ちょっと待ってて」
「うん。お願いします」
彼は兄の高校時代からの友人で、佐伯征也という。本来は食品総合会社の社員なのだが、その直営店として開店したこの店で、数か月ほど前から店長として働いている。しかし残り半年もしないうちに、私たちの地元にある本社に戻ることになっているらしい。
以前から兄を含めた三人で地元で会ってはいたが、こんな風に会いたい時に会えるのは彼がこの街で働いている間のことだけだ。その後も、今のようにちょくちょく会えたら嬉しいのにと思いながら、私は征也を見つめていた。
私の視線に気がついて彼が顔を上げる。
「どうかした?」
私は頬杖をついて、彼に笑いかける。
「征也君は、いつ見てもイケメンだな、と思ってね」
「やめてくれよ。三十半ばのおじさんをからかわないでくれる?だいたいね、イケメンっていうのは悠生みたいなヤツのことを言うんだよ」
悠生というのは私の兄だ。征也の言葉に「確かに」と思う。身びいきを無しにしても、兄もイケメンの部類に入る容姿をしている。しかし、私にとっては征也の方が絶対的にイケメンだ。私は身を乗り出して真顔で言う。
「からかっていないわ。だってほんとのことだもの。それに征也君は、全然おじさんなんかじゃないよ。私と六才しか違わないし」
征也は自分の手元に目を落としながらくすくすと笑う。
「そんなお世辞を言ってくれるのは、美祈ちゃんしかいないよ」
「お世辞じゃないよ。ほんとのことだってば」
「はいはい。ありがとね」
今日の征也にも、私の言葉を本気にした様子はない。彼は微笑みを浮かべながら、温めていたミルクを火からおろした。それとコーヒーを合わせてテイクアウト用のカップに注ぎ入れ、蓋をかぶせる。
「はい、できた。一応猫舌さん用の熱さにしたつもり。それと今日は俺のおごりだから」
「え、そんなのだめよ。ちゃんと払う」
「気にしないで。実はさ、この間悠生におごってもらったんだよ。そのお返しの一部みたいなものだから」
征也はもっともらしくそんな理由を口にした。
その真偽については後々兄に確かめることにして、ひとまずは彼に甘えることにする。
「……じゃあ。今日はご馳走になります。ありがとう、征也君」
「どういたしまして。またぜひご利用頂ければ幸いです」
征也はわざとらしく堅苦しい言い回しをして、にこりと笑った。それからふと思い出したように私に訊ねる。
「で、今日は何の飲み会だって?」
「仕事帰りに同僚とね」
「同僚って女の子?」
「そうよ。同期の仲のいい子。どうして?」
征也に訊き返しながら、私はどきどきしていた。一緒に行ったのが誰か、ヤキモチでも焼いてくれたのだろうかと、淡い期待が胸の奥で顔を出す。
征也は真面目な顔をして言う。
「もしも一緒に行ったのが男だったら、一応把握しておこうかと思ってさ」
「何、それ。どういう心配?」
そわつく気持ちを抑えてくすりと笑い、私は彼の次の言葉を待った。
「だって、変な男にひっかかったりしたら大変だろう?」
「変な男……」
彼の口から期待していた台詞を聞けなかったことにがっかりしたが、表には出さない。そして「変な男」という単語を聞いた途端、私の頭の中に浮かんだのは、ここに来るまでずっと私についてきた塚本の顔だった。しかし、征也に余計な心配はかけたくない。また、彼経由で兄、ひいては、もともと私の一人暮らしに反対だった両親にまで話が伝わったら面倒だ。だから私はそのことには触れないまま明るく笑い飛ばす。
「私、もう二十九才の大人なのよ。人を見る目はそれなりにあるつもりだから、そんな心配いらないわ」
「いやいや、年齢だとか大人だとか、そんなのは関係ないよ。いくつになっても、美祈ちゃんは俺にとって大事な妹みたいなものなんだ。その妹を心配するのは当然でしょ」
征也が私を友人の妹、あるいは妹分としてしか見ていないことは、なんとなく分かってはいた。しかし改めてはっきりと「大事な妹みたい」だと言われると、哀しい気分になってくる。しかしその気持ちを隠す。
「ありがとう。でも本当に大丈夫よ。こう見えて結構ガードが固いのよ。むしろ、そのガードのせいでなかなか彼氏ができないんじゃないか、なんて友達から言われたりしてるんだから」
ガードが固いのは、目の前にいるあなたが理由なのよと、胸の中でこっそりと思う。
彼と出会った時、私は中学生だった。夏休みに入ったばかりの日、兄が友人である彼を家に連れて来た。名前だけは聞いていたが顔を合わせたのはその時が初めてで、そこからずっと、私は彼を想い続けている。
彼と親しくなってからの私は、直接的な表現を避けながらも、好きだという気持ちを事あるごとに彼にアピールした。彼はそれを単なる自分への好意としか思っていなかったようで、いつも軽く流されて終わっていた。悲しいことに、それは今も変わらない。
彼と恋人になりたいという願望は、常に私の中にある。一方で、心地よい今のこの関係も簡単には捨てがたく、もう少しもう少しと、告白するタイミングを長年引き延ばし続けていた。
しかし、今年二十九才の誕生日を迎え、来年はついに三十だと思った時、今が人生の一つの節目のように感じられ、突如として焦燥感が生まれた。いつまでもこのままではいけないと、十七年に渡る片想いにいよいよ決着をつけるべきだと思うようになった。期間限定ではあるが征也が近くに来たことも、その思いに火をつける一つのきっかけになったかもしれない。
決着をつけた先に思い描くのはもちろん、征也との甘い恋人生活、ひいては幸せな結婚生活に他ならない。
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】女当主は義弟の手で花開く
はるみさ
恋愛
シャノンは若干25歳でありながら、プレスコット伯爵家の女当主。男勝りな彼女は、由緒ある伯爵家の当主として男性と互角に渡り合っていた。しかし、そんな彼女には結婚という大きな悩みが。伯爵家の血筋を残すためにも結婚しなくてはと思うが、全く相手が見つからない。途方に暮れていたその時……「義姉さん、それ僕でいいんじゃない?」昔拾ってあげた血の繋がりのない美しく成長した義弟からまさかの提案……!?
恋に臆病な姉と、一途に義姉を想い続けてきた義弟の大人の恋物語。
※他サイトにも掲載しています。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。