降り積もる雪のように

芙月みひろ

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「だ、大丈夫。雪が積もってて、クッションになったから……」

 私の答えを聞いたらすぐに、彼は起き上がるだろうと思っていた。ところが、彼は私の肩に顎をくっつけて耳元に囁いた。

「……好きです。俺を、リナさんの一番にしてもらえませんか」

 そう言って彼は、私の背中に回した腕に力を込めた。

 彼の突然の告白に驚きながら、私は辺りを舞う雪を目で追う。追いながら、じわじわと自分の気持ちに気づき始めた。

 今日はいるかな、と毎週のように湖に通った。

 仲が良さそうな白鳥のカップルを見て羨ましいと思いながら、ふと隣にいる彼を盗み見た。

 実は新調したコート姿を似合っていると言ってもらえて、ものすごく舞い上がってしまった。

 モデルをお願いされて、「リナさんがいい」と言われた瞬間、心を掴まれた気がした。

 細かいことは他にもたくさんある。数え上げればきりがなく、それらの想いはいつの間にか、まるで雪のように私の心の中に降り積もっていた。

「ごめん、今のは忘れて」

 私の沈黙を拒否と受け取ってしまったのか、彼は私から離れようとした。

「待って」

 それを引き留めるように、私は彼の背中に腕を回した。

 その弾みでぽすんと間近に落ちてきた彼の頬に、私はキスした。

「リナさん?」

 彼の戸惑う声がする。

 はにかみながら私は言った。

「次は、桜と一緒に撮ってもらおうかな」

 息を飲む彼の気配が伝わってきた。言葉に言葉で返す代わりに、彼は私にキスをする。

 そのままぎゅっと抱きしめられて、私もまた彼をぎゅっと抱き締め返した。




(了)
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