9 / 10
-9-
しおりを挟むふわふわと雪が舞う中、私は初めてのモデルを経験した。
撮影が終わると、私たちは道の端に寄って、彼がスマホに落とした写真データを確認した。
「どうかな?いい感じに撮れたと思うんだけど」
私は唸った。
どれも素敵で、どれかを選ぶなんてできない写真ばかりだ。しかも、これが本当に私なのかと驚くほどだ。
「本当にすごいね、ヒロさんって」
感嘆の声を上げる私に、彼はくすぐったそうな顔をした。
「ありがとう。所詮素人写真だけどね。でも、リナさんにそう言ってもらえると嬉しいな。いくつか選んで編集してみるから、最後はリナさんが選んでくれる?」
「えっ、いいの?楽しみ」
ヒロさんは笑みを浮かべると、カメラを片付けながら言った。
「さて、撤収しようか。お腹減ったでしょ。モデル代の代わりに、ご飯ご馳走するのでもいい?」
「うん、ありがとう」
私は素直に頷いた。今度何かの時にお返しすればいいのだ。今度があれば、だが。
「どこに行く?」
そう言いながら、私は自分の荷物を置いておいたベンチの方へ体を向ける。その時雪にブーツの足が取られてしまい、バランスを崩した。
「あぶない!」
驚いたヒロさんが、慌てて私に手を伸ばした。
私はとっさに彼の手を掴んだ。しかし間に合わなかった。積もった雪の上に、そのまま背中を下にして倒れ込んでしまった。ヒロさんを道連れにして。
「ごめんなさいっ!」
急いで体を起こそうとして、はっとした。背中にたくましい腕の感触があった。
ヒロさんが抱き止めてくれた――?
「大丈夫だった?」
顔のすぐそばで私を気遣う彼の声がして、飛び出そうになるほど心臓がドクンと高鳴った。
0
あなたにおすすめの小説
疑惑のタッセル
翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。
目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。
それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。
でもそれは──?
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる