8 / 10
-8-
しおりを挟む「今日はブーツなんだね」
「う、うん。今日は仕事だったし、長靴は車には入れてなくて」
「さて、それじゃあ」
ヒロさんはにっと笑うと、私の手を取った。
「こっち来て」
「え?あの?」
私は手を引かれながら、彼の後を着いていく。その大きな手の感触に、また胸がどきどき言い出した。
並木道の真ん中で立ち止まると、彼は言った。
「ここに立ってくれない?」
「ええと?」
困惑している私に、彼は頬のあたりを指先でかくような仕草をしながら言った。
「急に言って申し訳ないんだけど、モデルになってもらえないかな?顔出しがだめなら、顔は写さないように撮るから」
「え……どうして私?」
すると彼は照れくさそうな顔をした。
「本当はこの景色を撮るだけの予定だったんだけど……。今日のリナさんがイメージ通りだったから」
「え?」
「それにね。白状すると、湖で会った時から思ってたんだ。モデルをお願いできないかなって」
どきどきが止まらなくなっている。その理由は、憧れのヒロさんの写真のモデルになれるから、なのか……?
「だめ、かな」
「えぇと、私でいいのかな……」
「うん。リナさんがいい」
ドクンと鼓動が跳ね上がる。
そういう意味じゃない、モデルとしてという意味だ――。
私は呪文のように心の中で唱える。この時間を早くやり過ごさないと、勘違いを起こしてしまいそうだ。私は急いで頷いた。
「分かった。顔を写さないならいいよ」
「ありがとう!」
0
あなたにおすすめの小説
疑惑のタッセル
翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。
目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。
それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。
でもそれは──?
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる