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魔法使いとの会話で、魔法使いが目指していた目的地が判明した。それは、後宮の中央部に存在する[捨て場]と呼ばれている大穴の中だ。
移民である為に魔法使いは知らなかったのだろうけど、それは、大昔からその場所に存在する残酷な娯楽施設。俗に言う処刑場だ。そこへ落ちた者、落された者は決して助からない。空を飛べる者であっても助ける事が出来ない処刑場。落したモノ、遺品を拾う事も出来ない場所。
魔法使いが、その捨て場の底の方の壁面に、赤い扉と青い扉があると言っていたから間違い無い。あの扉は、人間の身長より高い位置に配置された扉ではなく扉を模した金属製のレリーフ、処刑場に落ちた者に仮初の希望を与えて真実を知って絶望させる、悪趣味な観戦者を喜ばせる為に存在した飾りだ。
それが、王族用の隠し通路の罠を全部外せば扉を開く事が出来る。何て事は有り得ない。魔法使いは騙されたのだろう。
縮尺も適当な隠し通路を描いた地図と城の地下付近まで描かれた比較的新しい地図。気付くのが遅れたが、それは獲物を騙す為に作られた偽物だった。
魔力消費が無駄に多く成るように細工された魔法のランタンと微量な毒が仕込まれた魔力回復薬は、こんな事に成る前に調べて置けば良かった。
大量に飲んでしまった魔法使いが体調を崩したのは、魔力酔いと言うより毒の影響だろう。気付くのが遅れたのは致命的だ。毒消しの薬で毒は消せても、毒に寄って壊された細胞の修復には時間が掛かってしまう。
自分が…、僕自身が…、無知故に騙された…と言う訳では無いけれど…腹立たしい……。と思った。
それに、後悔から自分を責める方向に向いてしまった魔法使いを慰めようと、言葉を重ねれば重ねる程、ドン底に落とし込んでしまった。男の姿ではない魔法使いに泣かれるのは困ったし、泣かせてしまった自分が凄く嫌にも成った。
だから、この憤りを魔法使いを騙して殺そうとしたであろう相手に向けようと思う。例え、この気持ちが…[魔女]である魔法使いに操られてでの思いだとしても……。
この日の日の夜、僕は魔法使いを騙した相手を求め、王宮へと忍び込んだ。正直、今回の獲物が他者の入室を拒絶し自室に引き籠り、許可を得ず入室して来た王宮騎士のプレートアーマーをフル装備した相手に対して、命乞いをして来なければ、早い段階で自死に見せかけて殺していたに違いない。違いないのだが…しかし…魔法使いよ…、オマエは騎士の恰好で何をした?国王…前髪がパッツリ切られてしまっているし…何かしらのトラウマ植え付けられた状態で…鼻水垂らして泣いてたぞ…、でも、そんな国王が、生き残る為に必死で仕掛けた罠に…魔法使いは引っ掛かったのか…、その一点に置いては、ある意味で御互い様だろう…、それを差し引いて余りある復讐分は、キッチリさせて貰う予定だが……。
それは一先ず置いておいて、国王が口を滑らせた話では、勇者と一緒に旅する仲間を御告げと称して選出していた教会の指示で、魔王討伐の旅の間に支給されていたポーションには薬物を混入させる決まりがあったらしい。勇者御一行の寿命を薬物の依存症で削り、魔王亡き後、国同士の戦争に、魔王を討伐した英雄を長期で参戦させない為の処置なのだったそうなのだが、国王は[その事]を勇者にだけは話していたらしい。勿論、僕等は勇者からそんな話を耳にしていない。そう言う事なら、教会と勇者にも御仕置が必要だな!と思う。
因みに、支給されたポーションは飲む前の時点で、魔法使いが「臭いが悪い」と言い「瓶は高級だが中身は粗悪品だな、売り飛ばしてその費用で買い替えてしまおう」と言うから売り飛ばしてしまって僕等は飲んでない。つまり、市場へ流してしまった状態だ。もう手遅れかも知れないが、早々に教会には自主回収して貰わないと不味いだろう。飲んだ人、高確率で上位ランクの冒険者への健康被害が気に成る所だ。等と言う理由で今回は帰るが、僕も、無駄に来ただけと成るのは面白くない。ちょっとした悪戯をして帰ろうと思う。
まず、メイドか誰かが王への食事を持って来たであろうカートを改造。王の部屋から金目の物を回収して乗せ、王の身包み剥いでから絨毯で包みカートへ固定。魔法使いが何かしらやって傷を付けたであろう家具を目立つ様に配置し、金目の物を隠して纏め上げてから、堂々と部屋を出て裏門へ直行。そこで門番に声を掛け「修理するらしいから捨てるなよ」と「夜明け前までには職人が取りに来るらしいから金貨と一緒に引き渡しといてくれ」と王のへそくりであろう金貨が入った袋も一緒に預けて、来た道を途中まで戻り、鎧を返却してから王宮を脱出。
次の目的地に行く前に、顔を隠した貴族の御忍び風な格好に変装。
後ろ暗い者の集まる界隈の道具屋で「とある御方の怒りを買った者を物乞いに見える様に仕立ててスラムに捨ててきて欲しい」と言う依頼と、「その者が所持していた商品を出所が分からない様に処分して欲しい」と言う依頼を取り付け「それを引き取りに王宮まで行って欲しい」と王宮御用達を証明する判子が押された店名や職人名が無記名と成った書状と、前金として王のへそくりであったであろう金貨10枚を渡し「夜明け前までに修理品と金を受け取りに来たとでも言えば通じる」と伝えて店を出た。勿論、とある御方の怒りを買った者とは、この国の王の事である。
次の目的地は、魔王討伐の旅に出た者を薬物中毒にしようとしていた教会だ。
ソレは、他の国にも存在するが、この国にも大き目な支部が存在している。忍び込んで色々調べさせて貰おう。と言う訳で、調べた結果…、巫女の占いで勇者に成れる可能性を持つ者を選出…と見せ掛けて…大きな支部が順番で担当を受け持ち…、順番が来た地域で、何の柵も無いそれっぽい人材か、政治的に邪魔な戦えるタイプの勇気ある人材と…その仲間も地域で見繕い…本部に連絡…、本部が大々的に発表してから、本人達を集め…、勇者達を旅立たせ…支援し…、邪魔に成って来た魔人族の国の王を魔王と称して少数精鋭で殺し…領土を奪う計画…ってのが…真相だった……。道理で魔王を倒しても、魔物の出現報告が減る事も無く、平和に成る訳でも無く、世界が特に何も変わっていない訳だ。知らずに頑張っていた自分に嫌気が差す。
勇者って名称は、人種差別を正当化する事の出来る魔法の言葉か?苦労して魔王を討伐した僕等って、教会の信者を増やす為の道具だったんだな、酷いが過ぎる話だ。
それより何より、知らなかったとは言え、魔人族の国民の人には本当に申し訳無い事をしてしまった。とは思うが、償い方が分からない。
嘘が蔓延し過ぎていて、人間族と言われる人間に真実を伝えても信じて貰える可能性は低そうだ。この真実は僕の手には余ってしまう。
そうだ!宰相様に丸投げしてみよう♪僕は、その場の資料を持ち運べるように纏め、リュックに入れて背負い、忍び込んだ神殿を後にして、魔法使いが療養している宰相様の御屋敷へと急いだ。
移民である為に魔法使いは知らなかったのだろうけど、それは、大昔からその場所に存在する残酷な娯楽施設。俗に言う処刑場だ。そこへ落ちた者、落された者は決して助からない。空を飛べる者であっても助ける事が出来ない処刑場。落したモノ、遺品を拾う事も出来ない場所。
魔法使いが、その捨て場の底の方の壁面に、赤い扉と青い扉があると言っていたから間違い無い。あの扉は、人間の身長より高い位置に配置された扉ではなく扉を模した金属製のレリーフ、処刑場に落ちた者に仮初の希望を与えて真実を知って絶望させる、悪趣味な観戦者を喜ばせる為に存在した飾りだ。
それが、王族用の隠し通路の罠を全部外せば扉を開く事が出来る。何て事は有り得ない。魔法使いは騙されたのだろう。
縮尺も適当な隠し通路を描いた地図と城の地下付近まで描かれた比較的新しい地図。気付くのが遅れたが、それは獲物を騙す為に作られた偽物だった。
魔力消費が無駄に多く成るように細工された魔法のランタンと微量な毒が仕込まれた魔力回復薬は、こんな事に成る前に調べて置けば良かった。
大量に飲んでしまった魔法使いが体調を崩したのは、魔力酔いと言うより毒の影響だろう。気付くのが遅れたのは致命的だ。毒消しの薬で毒は消せても、毒に寄って壊された細胞の修復には時間が掛かってしまう。
自分が…、僕自身が…、無知故に騙された…と言う訳では無いけれど…腹立たしい……。と思った。
それに、後悔から自分を責める方向に向いてしまった魔法使いを慰めようと、言葉を重ねれば重ねる程、ドン底に落とし込んでしまった。男の姿ではない魔法使いに泣かれるのは困ったし、泣かせてしまった自分が凄く嫌にも成った。
だから、この憤りを魔法使いを騙して殺そうとしたであろう相手に向けようと思う。例え、この気持ちが…[魔女]である魔法使いに操られてでの思いだとしても……。
この日の日の夜、僕は魔法使いを騙した相手を求め、王宮へと忍び込んだ。正直、今回の獲物が他者の入室を拒絶し自室に引き籠り、許可を得ず入室して来た王宮騎士のプレートアーマーをフル装備した相手に対して、命乞いをして来なければ、早い段階で自死に見せかけて殺していたに違いない。違いないのだが…しかし…魔法使いよ…、オマエは騎士の恰好で何をした?国王…前髪がパッツリ切られてしまっているし…何かしらのトラウマ植え付けられた状態で…鼻水垂らして泣いてたぞ…、でも、そんな国王が、生き残る為に必死で仕掛けた罠に…魔法使いは引っ掛かったのか…、その一点に置いては、ある意味で御互い様だろう…、それを差し引いて余りある復讐分は、キッチリさせて貰う予定だが……。
それは一先ず置いておいて、国王が口を滑らせた話では、勇者と一緒に旅する仲間を御告げと称して選出していた教会の指示で、魔王討伐の旅の間に支給されていたポーションには薬物を混入させる決まりがあったらしい。勇者御一行の寿命を薬物の依存症で削り、魔王亡き後、国同士の戦争に、魔王を討伐した英雄を長期で参戦させない為の処置なのだったそうなのだが、国王は[その事]を勇者にだけは話していたらしい。勿論、僕等は勇者からそんな話を耳にしていない。そう言う事なら、教会と勇者にも御仕置が必要だな!と思う。
因みに、支給されたポーションは飲む前の時点で、魔法使いが「臭いが悪い」と言い「瓶は高級だが中身は粗悪品だな、売り飛ばしてその費用で買い替えてしまおう」と言うから売り飛ばしてしまって僕等は飲んでない。つまり、市場へ流してしまった状態だ。もう手遅れかも知れないが、早々に教会には自主回収して貰わないと不味いだろう。飲んだ人、高確率で上位ランクの冒険者への健康被害が気に成る所だ。等と言う理由で今回は帰るが、僕も、無駄に来ただけと成るのは面白くない。ちょっとした悪戯をして帰ろうと思う。
まず、メイドか誰かが王への食事を持って来たであろうカートを改造。王の部屋から金目の物を回収して乗せ、王の身包み剥いでから絨毯で包みカートへ固定。魔法使いが何かしらやって傷を付けたであろう家具を目立つ様に配置し、金目の物を隠して纏め上げてから、堂々と部屋を出て裏門へ直行。そこで門番に声を掛け「修理するらしいから捨てるなよ」と「夜明け前までには職人が取りに来るらしいから金貨と一緒に引き渡しといてくれ」と王のへそくりであろう金貨が入った袋も一緒に預けて、来た道を途中まで戻り、鎧を返却してから王宮を脱出。
次の目的地に行く前に、顔を隠した貴族の御忍び風な格好に変装。
後ろ暗い者の集まる界隈の道具屋で「とある御方の怒りを買った者を物乞いに見える様に仕立ててスラムに捨ててきて欲しい」と言う依頼と、「その者が所持していた商品を出所が分からない様に処分して欲しい」と言う依頼を取り付け「それを引き取りに王宮まで行って欲しい」と王宮御用達を証明する判子が押された店名や職人名が無記名と成った書状と、前金として王のへそくりであったであろう金貨10枚を渡し「夜明け前までに修理品と金を受け取りに来たとでも言えば通じる」と伝えて店を出た。勿論、とある御方の怒りを買った者とは、この国の王の事である。
次の目的地は、魔王討伐の旅に出た者を薬物中毒にしようとしていた教会だ。
ソレは、他の国にも存在するが、この国にも大き目な支部が存在している。忍び込んで色々調べさせて貰おう。と言う訳で、調べた結果…、巫女の占いで勇者に成れる可能性を持つ者を選出…と見せ掛けて…大きな支部が順番で担当を受け持ち…、順番が来た地域で、何の柵も無いそれっぽい人材か、政治的に邪魔な戦えるタイプの勇気ある人材と…その仲間も地域で見繕い…本部に連絡…、本部が大々的に発表してから、本人達を集め…、勇者達を旅立たせ…支援し…、邪魔に成って来た魔人族の国の王を魔王と称して少数精鋭で殺し…領土を奪う計画…ってのが…真相だった……。道理で魔王を倒しても、魔物の出現報告が減る事も無く、平和に成る訳でも無く、世界が特に何も変わっていない訳だ。知らずに頑張っていた自分に嫌気が差す。
勇者って名称は、人種差別を正当化する事の出来る魔法の言葉か?苦労して魔王を討伐した僕等って、教会の信者を増やす為の道具だったんだな、酷いが過ぎる話だ。
それより何より、知らなかったとは言え、魔人族の国民の人には本当に申し訳無い事をしてしまった。とは思うが、償い方が分からない。
嘘が蔓延し過ぎていて、人間族と言われる人間に真実を伝えても信じて貰える可能性は低そうだ。この真実は僕の手には余ってしまう。
そうだ!宰相様に丸投げしてみよう♪僕は、その場の資料を持ち運べるように纏め、リュックに入れて背負い、忍び込んだ神殿を後にして、魔法使いが療養している宰相様の御屋敷へと急いだ。
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