2 / 13
prologue
002
しおりを挟む
留守電を無視、又は連絡が遅れてしまい…、施設から会社の方に電話を掛けられる事を恐れ…、そもそも、施設の人から[連絡が欲しい]と留守番電話が入っていたので…、[彼]は久し振りに[彼]にとって古巣である児童養護施設に電話を掛ける……。
憂鬱な気分で画面に触れ、なぞり、選んだ携帯電話に記憶された情報にて、画面に映し出される相手への呼び出し表示。数回のコールで電話に出たのは、予想を反し、児童養護施設[子供達の家]出身で、カウンセラーの資格を取って職員として戻って来た女性の声だった。
一気に[彼]の気分は軽く成る。
嬉しさ余って「愛羽姉さん、御久し振りです」と[彼]が名乗りもせずに挨拶すると、彼女は[彼]の声も覚えていてくれて「道方君?!」と[彼]の名を呼んでくれた。
[彼]こと、道方の表情に思わず笑みが浮かぶ、養護施設を出て以来、久し振りの緩みきった笑顔だ。
そう、母親からの虐待が原因で入所した道方にとって愛羽さんは、姉と言うより、本物の母親以上に母親の様な存在で、初恋の相手でもある。声を覚えていてくれて、名を呼んでくれただけで、喜びも一入。
会話に出したくも無い嫌な話題も、すんなり受け入れる事が出来たのは、偏に愛羽さんと言う存在の御陰だろう。
そして、愛羽さんの言葉を通し、児童養護施設から齎されたのは、会った記憶も無い相手、見ず知らずの母親の兄から来た連絡事項と言う名の決定事項。
道方の母親は…、通夜や葬儀をせず、火葬し収骨する…直葬と成る……。との事と、道方の母親が死ぬ前まで住んでいた家にて「相続の話しをするから来い」と言う話だった。
愛羽さんは、幼き日の道方を引き取る素振り所か、道方への援助すら拒否してきた道方の母方の親族に対して怒り心頭。
「気遣いや労りの言葉は勿論、相手の都合も確認せず、日程を勝手に決めて、その連絡を伝言で済ますだなんて」と道方の代わりに憤ってくれている。
道方は愛羽さんが、そう思ってくれるだけで良かった。
未婚の為に非嫡出子。父親不明の認知されていない子を持つ母子家庭だったが為に、唯一の親であった母親。
酷い虐待の末に引き離され、[帰して欲しい]と言う要望が無かった為に引き離されてから会う事の無かった母親の死。
嘗て…、温もりが欲しくて抱き締めて欲しいと望み、求めては拒絶され…、暴力を振るわれ、何が悪いのかも理解できず「ごめんなさい」「ゆるして」と繰り返し謝り続け…、何度も何度でも「おいていかないで」と追い掛け…、決別の日「何時か迎えに来てくれる」と信じ、願った……。痛くても苦しくて悲しくても母親を求めた子供の頃とは違う。今と成っては、如何でも良い。と、その時の道方には思えたのである。
そんな気持ちだとは思いもしないであろう。母親を求めていた頃の道方を知る愛羽さんは、気が進まなくても話を聞きに行く事を推奨し…、即断即決を避け、キッチリ調べ…、「借金も相続財産に成るから」と、借金が有る様子なら、借金の金額と相続税を足した額が、預貯金や残された現物財産に近そうなら、相続権を放棄する方が安全である等の相続に関する予備知識を与えてくれた。
借金を相続させ、赤字を回避し、骨の髄まで、しゃぶりに来る暴力団の類いや、金融ヤクザ(指定暴力団とは別の組織)は、何時、どの時代も、何所から接近して来るかが分らないので、注意が必要なのだそうだ。
令和と成った現代でも、任侠ドラマ的なアレやコレが、現実にある所にはあると言う。
憂鬱な気分で画面に触れ、なぞり、選んだ携帯電話に記憶された情報にて、画面に映し出される相手への呼び出し表示。数回のコールで電話に出たのは、予想を反し、児童養護施設[子供達の家]出身で、カウンセラーの資格を取って職員として戻って来た女性の声だった。
一気に[彼]の気分は軽く成る。
嬉しさ余って「愛羽姉さん、御久し振りです」と[彼]が名乗りもせずに挨拶すると、彼女は[彼]の声も覚えていてくれて「道方君?!」と[彼]の名を呼んでくれた。
[彼]こと、道方の表情に思わず笑みが浮かぶ、養護施設を出て以来、久し振りの緩みきった笑顔だ。
そう、母親からの虐待が原因で入所した道方にとって愛羽さんは、姉と言うより、本物の母親以上に母親の様な存在で、初恋の相手でもある。声を覚えていてくれて、名を呼んでくれただけで、喜びも一入。
会話に出したくも無い嫌な話題も、すんなり受け入れる事が出来たのは、偏に愛羽さんと言う存在の御陰だろう。
そして、愛羽さんの言葉を通し、児童養護施設から齎されたのは、会った記憶も無い相手、見ず知らずの母親の兄から来た連絡事項と言う名の決定事項。
道方の母親は…、通夜や葬儀をせず、火葬し収骨する…直葬と成る……。との事と、道方の母親が死ぬ前まで住んでいた家にて「相続の話しをするから来い」と言う話だった。
愛羽さんは、幼き日の道方を引き取る素振り所か、道方への援助すら拒否してきた道方の母方の親族に対して怒り心頭。
「気遣いや労りの言葉は勿論、相手の都合も確認せず、日程を勝手に決めて、その連絡を伝言で済ますだなんて」と道方の代わりに憤ってくれている。
道方は愛羽さんが、そう思ってくれるだけで良かった。
未婚の為に非嫡出子。父親不明の認知されていない子を持つ母子家庭だったが為に、唯一の親であった母親。
酷い虐待の末に引き離され、[帰して欲しい]と言う要望が無かった為に引き離されてから会う事の無かった母親の死。
嘗て…、温もりが欲しくて抱き締めて欲しいと望み、求めては拒絶され…、暴力を振るわれ、何が悪いのかも理解できず「ごめんなさい」「ゆるして」と繰り返し謝り続け…、何度も何度でも「おいていかないで」と追い掛け…、決別の日「何時か迎えに来てくれる」と信じ、願った……。痛くても苦しくて悲しくても母親を求めた子供の頃とは違う。今と成っては、如何でも良い。と、その時の道方には思えたのである。
そんな気持ちだとは思いもしないであろう。母親を求めていた頃の道方を知る愛羽さんは、気が進まなくても話を聞きに行く事を推奨し…、即断即決を避け、キッチリ調べ…、「借金も相続財産に成るから」と、借金が有る様子なら、借金の金額と相続税を足した額が、預貯金や残された現物財産に近そうなら、相続権を放棄する方が安全である等の相続に関する予備知識を与えてくれた。
借金を相続させ、赤字を回避し、骨の髄まで、しゃぶりに来る暴力団の類いや、金融ヤクザ(指定暴力団とは別の組織)は、何時、どの時代も、何所から接近して来るかが分らないので、注意が必要なのだそうだ。
令和と成った現代でも、任侠ドラマ的なアレやコレが、現実にある所にはあると言う。
0
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる