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prologue
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留守電を無視、又は連絡が遅れてしまい…、施設から会社の方に電話を掛けられる事を恐れ…、そもそも、施設の人から[連絡が欲しい]と留守番電話が入っていたので…、[彼]は久し振りに[彼]にとって古巣である児童養護施設に電話を掛ける……。
憂鬱な気分で画面に触れ、なぞり、選んだ携帯電話に記憶された情報にて、画面に映し出される相手への呼び出し表示。数回のコールで電話に出たのは、予想を反し、児童養護施設[子供達の家]出身で、カウンセラーの資格を取って職員として戻って来た女性の声だった。
一気に[彼]の気分は軽く成る。
嬉しさ余って「愛羽姉さん、御久し振りです」と[彼]が名乗りもせずに挨拶すると、彼女は[彼]の声も覚えていてくれて「道方君?!」と[彼]の名を呼んでくれた。
[彼]こと、道方の表情に思わず笑みが浮かぶ、養護施設を出て以来、久し振りの緩みきった笑顔だ。
そう、母親からの虐待が原因で入所した道方にとって愛羽さんは、姉と言うより、本物の母親以上に母親の様な存在で、初恋の相手でもある。声を覚えていてくれて、名を呼んでくれただけで、喜びも一入。
会話に出したくも無い嫌な話題も、すんなり受け入れる事が出来たのは、偏に愛羽さんと言う存在の御陰だろう。
そして、愛羽さんの言葉を通し、児童養護施設から齎されたのは、会った記憶も無い相手、見ず知らずの母親の兄から来た連絡事項と言う名の決定事項。
道方の母親は…、通夜や葬儀をせず、火葬し収骨する…直葬と成る……。との事と、道方の母親が死ぬ前まで住んでいた家にて「相続の話しをするから来い」と言う話だった。
愛羽さんは、幼き日の道方を引き取る素振り所か、道方への援助すら拒否してきた道方の母方の親族に対して怒り心頭。
「気遣いや労りの言葉は勿論、相手の都合も確認せず、日程を勝手に決めて、その連絡を伝言で済ますだなんて」と道方の代わりに憤ってくれている。
道方は愛羽さんが、そう思ってくれるだけで良かった。
未婚の為に非嫡出子。父親不明の認知されていない子を持つ母子家庭だったが為に、唯一の親であった母親。
酷い虐待の末に引き離され、[帰して欲しい]と言う要望が無かった為に引き離されてから会う事の無かった母親の死。
嘗て…、温もりが欲しくて抱き締めて欲しいと望み、求めては拒絶され…、暴力を振るわれ、何が悪いのかも理解できず「ごめんなさい」「ゆるして」と繰り返し謝り続け…、何度も何度でも「おいていかないで」と追い掛け…、決別の日「何時か迎えに来てくれる」と信じ、願った……。痛くても苦しくて悲しくても母親を求めた子供の頃とは違う。今と成っては、如何でも良い。と、その時の道方には思えたのである。
そんな気持ちだとは思いもしないであろう。母親を求めていた頃の道方を知る愛羽さんは、気が進まなくても話を聞きに行く事を推奨し…、即断即決を避け、キッチリ調べ…、「借金も相続財産に成るから」と、借金が有る様子なら、借金の金額と相続税を足した額が、預貯金や残された現物財産に近そうなら、相続権を放棄する方が安全である等の相続に関する予備知識を与えてくれた。
借金を相続させ、赤字を回避し、骨の髄まで、しゃぶりに来る暴力団の類いや、金融ヤクザ(指定暴力団とは別の組織)は、何時、どの時代も、何所から接近して来るかが分らないので、注意が必要なのだそうだ。
令和と成った現代でも、任侠ドラマ的なアレやコレが、現実にある所にはあると言う。
憂鬱な気分で画面に触れ、なぞり、選んだ携帯電話に記憶された情報にて、画面に映し出される相手への呼び出し表示。数回のコールで電話に出たのは、予想を反し、児童養護施設[子供達の家]出身で、カウンセラーの資格を取って職員として戻って来た女性の声だった。
一気に[彼]の気分は軽く成る。
嬉しさ余って「愛羽姉さん、御久し振りです」と[彼]が名乗りもせずに挨拶すると、彼女は[彼]の声も覚えていてくれて「道方君?!」と[彼]の名を呼んでくれた。
[彼]こと、道方の表情に思わず笑みが浮かぶ、養護施設を出て以来、久し振りの緩みきった笑顔だ。
そう、母親からの虐待が原因で入所した道方にとって愛羽さんは、姉と言うより、本物の母親以上に母親の様な存在で、初恋の相手でもある。声を覚えていてくれて、名を呼んでくれただけで、喜びも一入。
会話に出したくも無い嫌な話題も、すんなり受け入れる事が出来たのは、偏に愛羽さんと言う存在の御陰だろう。
そして、愛羽さんの言葉を通し、児童養護施設から齎されたのは、会った記憶も無い相手、見ず知らずの母親の兄から来た連絡事項と言う名の決定事項。
道方の母親は…、通夜や葬儀をせず、火葬し収骨する…直葬と成る……。との事と、道方の母親が死ぬ前まで住んでいた家にて「相続の話しをするから来い」と言う話だった。
愛羽さんは、幼き日の道方を引き取る素振り所か、道方への援助すら拒否してきた道方の母方の親族に対して怒り心頭。
「気遣いや労りの言葉は勿論、相手の都合も確認せず、日程を勝手に決めて、その連絡を伝言で済ますだなんて」と道方の代わりに憤ってくれている。
道方は愛羽さんが、そう思ってくれるだけで良かった。
未婚の為に非嫡出子。父親不明の認知されていない子を持つ母子家庭だったが為に、唯一の親であった母親。
酷い虐待の末に引き離され、[帰して欲しい]と言う要望が無かった為に引き離されてから会う事の無かった母親の死。
嘗て…、温もりが欲しくて抱き締めて欲しいと望み、求めては拒絶され…、暴力を振るわれ、何が悪いのかも理解できず「ごめんなさい」「ゆるして」と繰り返し謝り続け…、何度も何度でも「おいていかないで」と追い掛け…、決別の日「何時か迎えに来てくれる」と信じ、願った……。痛くても苦しくて悲しくても母親を求めた子供の頃とは違う。今と成っては、如何でも良い。と、その時の道方には思えたのである。
そんな気持ちだとは思いもしないであろう。母親を求めていた頃の道方を知る愛羽さんは、気が進まなくても話を聞きに行く事を推奨し…、即断即決を避け、キッチリ調べ…、「借金も相続財産に成るから」と、借金が有る様子なら、借金の金額と相続税を足した額が、預貯金や残された現物財産に近そうなら、相続権を放棄する方が安全である等の相続に関する予備知識を与えてくれた。
借金を相続させ、赤字を回避し、骨の髄まで、しゃぶりに来る暴力団の類いや、金融ヤクザ(指定暴力団とは別の組織)は、何時、どの時代も、何所から接近して来るかが分らないので、注意が必要なのだそうだ。
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