嘘から出た実?って、いや、それ寧ろ本当の事が嘘に成ってて…

mitokami

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 大きな部屋に住んでいた幼少期には、態度の悪い家庭教師や、家主が目の前に居ないと仕事する気が無いのであろう使用人が居た事は間違い無い。
御蔭で、地味な格好をしていても目を引く程に美人な自分の母親は流民出身のめかけと言う立場で、私には半分とは言え貴族の血が流れている事を知った。

 家名に付いては、文字を教えて貰っていた頃に長ったらしい名前を幾つか書かされていた気がするのだけど、今ではすっかり忘れてしまっている。名前も同様だ。
生粋の貴族である父親に雇われている貴族出身の使用人達は私を見下し、「おい」とか「オマエ」とか言って、私の名前すら呼ぶ事は無い。昼は不定期に数時間、夜は定期的に帰って来ていたらしき母と同じ金髪碧眼だけど母親より地味な印象の父親すらもリュウと言う略称でしか私を呼ばず、母親もリュ~と私の事を呼んでいたから、そんな感じの名前だったのだろうと思われる。

 5歳の頃だったか?6歳の頃だったか?後継ぎが生まれたらしく父親の足が遠のき、貴族出身の者達が姿を消して使用人が減り、昼にも夜にも父親が姿を見せなく成った頃には、汚れ仕事を担当していた下男下女を含む使用人達が全員揃ってを消した。
多分だけど、母親と私は捨てられたのだろう。そうとしか私には思えなかった。

 その時期に、母親から【サンティエ】と言う名前を貰う事に成る。
母親が私に「その名前に恥じぬ様に、例え雑草だとしても強い意志を持って可憐に咲き誇りなさい」と言っていたから、そんな感じの意味を持つ名前なのだろうけど、その時に渡されたサンティエと言う名前が表示された身分証に表示された特徴は茶色い髪と茶色い瞳、8歳の流民出身の下女であると言う事だった。と、言う事で、母親に言われるがまま、私は両親から受け継いだ金髪碧眼をイヤーカフ型の魔道具で茶色に変色させ、顔立ちも同型の魔道具で誤魔化す事を覚えさせられたのであった。

 食うにも困る事に成った翌日。同じく魔道具で髪と瞳を茶色く顔立ちも誤魔化し【フロワ】と名乗るように成った母親から【サン】と呼ばれ、御貴族様が普段から着用するドレスを脱ぎ捨て、下女用のメイド服を着て【太陽を待ちわびる方の所の薬師見習い】と言う設定の下女擬きとして生きて行く事と成った。
素材がコットンであろうが何であろうが、コルセットの着用義務が無くなった事。一人で脱ぎ着できる動きやすい衣服で生活する事に成った事。使用人に意地悪されないし、家庭教師に意味分かんない事で怒られないし、事ある毎に舌打ちするヤツも居ないし、色々な意味で窮屈な生活を強いられなく成った事が、私に取って幸せだったのではなかろうか?と本気で思う。

 そこからの当時の生活は、夜明け前に起きて着替えて大きな建物に入り、母親と一緒に下女用の食堂で食事を貰って食べる。朝食が終わると通行証を1回又は2回提示して門を抜け、森や平原に行って母親に森や平原の知識を習い、薄く切った木片にメモを取りながら、野草・薬草・毒草等の採取と適切な処理の他に、食材の確保をしていた。採取中にが手に入ったら血抜き・解体・選別・不要な部位を廃棄する為に穴を掘って埋め、肉が魔物なら選別時に魔石の確保と言う工程が入る。
昼食は早朝に母親がフロワと名乗り調理場から貰って来た物を食べる。時に、その場でしか食べられない物も、その場で食べる事が多かった。
森や平原から戻ってから冒険者ギルドや商店へ立ち寄って、前日に作り当日使わなかった薬や取って来た物を売却。売って得た御金で、必要な物と必要に成った物の買い物する。
大きな屋敷の住処、キッチンに帰ったら売却しなかった物の選別と汚れている物の洗浄。軽く掃除して、汚れた衣類の水洗いしながら湯を沸かし、大きな盥に湯を張り、自らの汚れを落として序に石鹸での洗濯。清潔な服を着て洗濯物を外で干したら風を出す魔道具で洗濯物を乾かしつつ、母親に習ってメモを取りながら、時にメモを確認しながら、慣れてきたら何も見ずに魔法薬を作り、序に夕食を作って食べる。夕食が残りそうなら食べる前に顔見知りの庭師の爺さんに御裾分けとかして、日が暮れる前に洗濯物を取り込んで畳んだら、1日の基本的な御仕事終了。但し、1日の仕事は母親の気分に左右され、変装せず男の子みたいな恰好で庭師見習の仕事に行かされ、物忘れ多めな庭師の爺さんから得られる知識を学ぶ日もあった。
そしてどんな日も、寝る支度を整えた後は、キッチン横の寝床にしている小部屋に戻り、今日書いたメモを見ながら今日習った事を木片に書いて纏め、母親に見て貰ってから、復習を兼ねて自分で作っている自分用の本に追記して行く毎日。
就寝時には、母の母の母だったかから語り継がれてきたらしい御伽噺を母親に語られながら眠りに就いていた。

 因みに、母親から語られる御伽噺の中にはシェイプシフターの話が数多くあった気がする。
老夫婦に助けて貰った大きな白い鳥が恩返しする為に人間に化けシェイプシフト、老夫婦の家に転がり込み、「作業中は見ないでね」って、自分の羽毛を使った織物を作って生活を助けていたけど、老夫婦が約束を破り、鳥は人間では無い事がバレて飛んで逃げてしまう。と言う。約束を破ると恩恵が消えちゃうよって御話。
畑荒らしを捕まえ狸汁にすると宣言した爺さんに狸が復讐する為、婆さんを演技力で騙し、自分を開放してくれた婆さんを殺してババア汁にした上、婆さんに化けシェイプシフト、爺さんにババア汁を食わせた後に種明かしする。と言う。本当に悪い奴は死刑の執行猶予とか仕返しのチャンスでしかないから、罪に対する罰は猶予を付けちゃ駄目だよって御話。
他にも…、心優しい青年に助けられた狐が人間に化けシェイプシフト、嫁入りして子供まで作って、身バレして子供を残して行方を暗ます話…とか…、この手の御話系には、別の動物で類似事案があったなぁ~…とか…、猫・蛇・蛙・貝に蜘蛛…助けられて化けシェイプシフト…、逆恨みもありぃ~ので恨んで化けシェイプシフト…と…忘れてしまっている物語もあるかもだけど…、思い返せばホント冗談抜きで…母の語る噺はシェイプシフターの話ばかりだった気がしないでもない……。

 でも、その事に関して理由があったのか?無かったのか?は、今では分からない。
私の本当の年齢が9歳の時、13歳設定で売る為に長髪にしている金髪碧眼の青年、高齢で脳内がファンタジーの世界を旅している感じの庭師の下で働く【レヨン】と言う名前の下男の通行証を身分証明に、フロワと名乗っている母親の紹介で商人ギルドにて会員登録。
そのギルド証を使ってレヨンを保護者とし、貧民区近くの小さな庭付き一戸建てのまじない屋の居抜き物件を母親からサンティエが譲り受けた。と言う謎の裏工作後、私に御伽噺を語ってくれていた母親は「離宮に住んでた母娘は旅先で死んだ事にしておくから、誰かに聞かれたらそう言っといて」と言い残し、冒険者として4年毎にやって来ていたキャラバンと一緒に旅へ出て、旅先でキャラバン共々行方不明に成ってしまっていたのだ。

 その当時の私は御伽噺の中で恩返しをする白い動物の噺が御気に入りで、その所為で白い生物に良いイメージしかなかった時期。
15歳設定のレヨンとしてギルドから許可を取り、都市の外にある魔物が出る森へと薬・調味料・御茶に成る毒草・野草・薬草の採取に出掛け、親が自分を置いて旅に出た上に行方不明に成っていた事もあり、怪我をした白い子犬を不用意に拾って連れ帰って来てしまうのであった。と言う訳で、魔物が数多く出没する危険な森に、普通の動物が普通に生息しているのか如何か?って少し考えれば、拾った子犬が動物か?魔物なのか?って判断できた事であろうに、その時の私はそんな事を思い付きもしなかった。と言う御話である。

 当事の私の本当の年齢は11歳。
まだ子供と言う事で許し、と言うモノだったと思って見逃してやって欲しい。と、将来的に思う事に成るのは言うまでも無い。

 この頃、下女用の通行証が13歳設定に成っていたので、サンティエとして茶色い目と髪にし、誰の紹介が無くても成れる冒険者ギルドに登録。
この時に住んでいた場所は、下男下女が動物を飼ってはイケナイと言う決まりが存在する場所だったそうだ。それを住処に帰る為に子犬を連れ門を通ろうとして引き留められ注意された時に初めて知った。知って思った事…決意した事は…、母親が出て行ってから食堂に出入りさせて貰えなく成ってて…そこで知り合った薬目当てで近付いて来た人達とは「仲良くしては駄目って言われたから」と言われた上で疎遠と成り…世話に成ってた庭師の爺さんも引退して息子夫婦に引き取られて行ったし…で…、そこに居座るメリットが無かったから…、よし、引っ越そう!だった……。

 そう思ったが吉日。同日の昼から、商人2年目のレヨン(15)とサンティエ(13)が子犬と一緒に住むと言う雰囲気を周囲に向けてアピール開始。
譲られてから前に住んでいた人の御呪おまじないの本を参考に色々作ったり、庭でレアな植物を育ててみたり、書庫や倉庫代わりにしていた貧民区近くの小さな庭付き一戸建てへと、今まで住んでいた場所で使っていた薬や料理を作る為の道具、残されていた母の私物と自分の私物、倉庫に保管されていた蠟燭や石鹸、リネン類等の備品をアイテムが沢山収納できる魔道具を使って持って行けるだけ勝手に貰って来て、私は生活拠点をそこへと移した。

 余談と成るが、子犬の名前は、ココホレワンワンって話に出て来る白い犬の名前を貰ってブランに決定した。翌年、そのブランが思ってたより大型な成犬へと成長してしまい「犬って、ここまで大きく成るんだっけ?」と思わないでもない事案があったりする。が、当事の私は気に成らなかった。

 レヨンとして16歳と偽った12歳の頃。
私は周囲の本物の16歳や17歳に成る青年達の成長を目の当たりにして、そろそろ男設定の限界を感じつつ、暫くはその事をブランに愚痴りに愚痴り、シークレットブーツに手を出す等の試行錯誤したけど途中で厭きてしまう。
然も、薬は薬師で無ければ調薬しては成らず、薬師に成るには貴族の後ろ盾が無いと駄目って言う法律が出来て、薬を高額で買い取ってくれる商人ギルドへの出入りする理由が消滅。その代わりに魔法薬の高騰で元まじない屋に助けを求めに来る人が意外と多かったので、前住んでいた人の許可証を受け継ぐ形式でまじない屋の経営を開始。
まじない屋で生じる税金は、生活が成り立つだけの売り上げが出来た頃から地域の商人組合の人が取りに来てくれる様に成ったし、ブランと出掛ける冒険者活動が楽しく成ってしまってたしで、レヨンとしての活動を放置し、サンティエとしてしか活動しなく成る。

 私の本当の年齢が13歳に成った頃に成ると、4年毎にやって来ていた大きなキャラバンも、母親と一緒に行方不明に成った所為で来ていないし、親に対する未練を断ち切るには良い区切りだと言う事で、母親に言われて伸ばし続けていた髪を切って売って、当事レヨン(17)設定の御下がりを着ていると言う名目で、サンティエとして男装を開始する。
髪の変色や顔立ちの誤魔化しが未熟だった時期、私が母親の冒険者としての仕事の手伝いをしていた時期から私を知る古参の冒険者ギルドの人達からはって言って貰えたけど、そうじゃない冒険者ギルドの人達からは「嫁の貰い手が無くなるぞ」って指摘を受けた。が、この地域の結婚適齢期は16歳から20歳、本当に15歳なら気に成ったかもしれないが本当は13歳なので気にしない事にした。

 翌年、本当の年齢は14歳だけど、茶色い目と髪のサンティエ設定が16歳に成った。
その頃、気付けば1年以上もの間、レヨン設定を完全に放置し続けてしまっていた結果が出る。突然、レヨンとして登録していた商人ギルドの受付の人達が、18歳設定のに会いに来てしまったのだ。

 今更ながら…、商人ギルドを退会して置けば…とか…行方不明に成る設定で魔物の森へ入る許可を得てから放置すれば良かった…とか思う事に成った…と言う事で後悔する……。
この時、ブランに自分の不安を悟られないよ~にしていれば、未来は良い方か悪い方かは分からないが、変わっていたかもしれない。
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