嘘から出た実?って、いや、それ寧ろ本当の事が嘘に成ってて…

mitokami

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 異国の王子を落とす為に集められた姫や令嬢達は、政治的な難しい会話を持ち出されて早い段階で撃沈。友人候補枠の令息達バリケードも、同様の理由で友情を育む隙が無くて簡単に乗り越えられてしまったのだろう。

 まぁ、根本的にオマジナイ料理の店の従業員と認識されているレヨンがイケメン過ぎて貴族間でも有名に成っていたらしく、ブランレヨンが私の兄を自称する所為で全体的に身バレしていたので、箝口令が出され、私を偽物と認識していながらも参加者は黙っていたのだけど、后妃が余計な事を言って周知の事実が異国の人にも周知され、箝口令が勝手に解除されてしまっている状況。

 気が付いたら、我が国と隣国間の国際問題に巻き込まれ、私はその渦中の中心にいる。その理由を隣国の王子の従者が抗議の意を込めて私に語ってくれた。


 その昔、当事だった隣国の国王は、流民の踊り子だった私の母親エクレールに求婚(?)と言って良いのかは知らないけど、エクレールに対して、正式に側妃や妾妃に成りませんか?って言う要望を出していたそうだ。
因みに、その答えは条件付きでOKだったらしい。直ぐには無理だけど、エクレールが舞台に立つ事を予定している他国での公演を終えてからなら、4番目か5番目の妻に成っても良いよって答えを貰っていたっぽい。

 だが、しかし、それを知ってか?知らずにか?我が国の当時の公太子、現在の我が国の国王は、エクレールを手籠めにして後宮に閉じ込め、孕ませ、子を産ませた。との事。で生まれた子供が自分かと思うと、ちょっと嫌だけど、今は置いておこう。

 取り敢えず。当時も、隣国の公太子の4番目か5番目の妻に成る予定の婚約者(私の母親)を我が国の当時の公太子(現国王で私の父親)が寝取った事は国際問題に成り、困った当時の我が国の国王(私の祖父)は、戦争回避の為に賠償金を払い。エクレールが産んだ子供(関わりたくないけど私か…)を将来、隣国に嫁に出す事を約束して事無きを得たらしい。


 それなのに今回、アレがコレでアァ~成ってのコレで、引き渡す予定の子供(私)が行方不明との事、エクレールによる偽装の所為で、本当は生きてるけど、本物は死んじゃったって言う誤認識を強く残したと言う落ちを残して、さぁ~大変って事に成っている。

 結果的に本物を本物っぽく仕立て上げての今、皆が皆、私を偽物だと認識している所為で私が偽物と他国の人にも思われ、私は本物なのに、私が偽物扱いで契約が不履行となり、困った事に成っていた。本物は私で、生きているんだけども…、やっぱり、私が本物である証明が出来ないので、ドウシヨウモナイ現実に私が困惑中だったりする……。

 まぁ、何はともあれ、私が今現在として存在している為、本物で嘘なんて吐いていないのに、茶会に出席したからって理由で、偽証の罪に問われないかが心配である。自分の意思で姫として出席した訳じゃないのに解せない御話でもある。と、思いながら、私はブランレヨンと一緒に普段は御目に掛かれない超高級な肉の希少部位を食べ、王子に「君の本当の名前は?」と聞かれている状況なのだ。

 コレは困った。本当は死んだ設定の姫の名前が本名ではあるのだけど、きっと言っても信じては貰えないだろうし、本当の名前を言っても、ウソがばれない様に嘘を繰り返し言ったと思われる以外に無さそうな気がしてならない。そもそも、名乗るにもメモ書き無しに名乗れない名前を名乗るのは無理かもしれない。如何しよう。

 ホント、何と答えて良いのだろうか?と少し私が考えていたら、ブランレヨンが「レヨンの妹の名前はサンティエ」と口にし「サンティエは兄であるレヨンのモノ」「欲しいなら、兄である僕…いや…私の許可を得ないと駄目だよ?」とか言いやがりました。

 Q→さて、これまた如何しましょう?
 A→私には如何する事も出来ません。

 結果、私が黙っていたら勝手に解釈してくれて、隣国の王子様が「サンティエかぁ~可愛い名前だね」と私に向かって笑っていた。一瞬とは言え、私の苦悩した時間を労って欲しい気がする。
私は肉を食いながら頭を下げておく事にした。と言うか、后妃の自爆的発言発端の暴露劇(?)みたいなのの後、周囲の皆様が私達の事を遠巻きに眺めてらっしゃる現在。その場の雰囲気を無視しての御飯中。誰も私達の食事を止めないし、偽証罪で私を捕らえる様子も無い。じゃあ開き直って、もう二度と食べれ無さそうな肉を食っとくべきではなかろうか?って事で食べ続けている。

 暫く経つと、隣国の王子が笑顔ながら対応に困った様子で「…肉…好き?」と私に聞いて来た。私は少し考え口の中の肉を飲み下してから「美味しいのだったら好き」と答えるに止める。でも、そろそろ旨い肉にも飽きて来た。他のモノが食べたいかもしれない。

 そんなタイミングでブランレヨンが氷菓を取って来てくれた。柑橘系の果物を凍らせて削ったシャーベットだ。素直に受け取り一口食べるとフルーツの優しい酸味が口の中をさっぱりとさせてくれる。ホント、ちょっとした幸せを感じた。

 この時、何故か何やら御怒りモードの隣国の王子が「他に欲しいものは?」って話掛けて来た。いい加減に空気読んで欲しい、私の気持ちに気付いて欲しい。
正直「願わくば、現実逃避しなくて良い現実が欲しいです」と言いたい心境と言うか、そのモノ、ズバリ!ついつい「願わくば、現実逃避しなくて良い現実が欲しい」と言ってしまった。その所為で周囲の空気が凍り付いてしまい。雰囲気がヤベエ事に成ってしまっている。
空気を読んで適切な現場進行を行える優秀な使用人達が居なければ、外交的にもアカン事に成っていた事かもしれない。

 って事で、御茶会後、非公式の場で宰相閣下に怒られ、隣国の王子の宿泊先である離宮に私達は連行され、強制的に意味の分からない謝罪をさせられる事に成る。然も、相手方様の方にも意味が分からない謝罪である事が一目瞭然な雰囲気。優秀な使用人達は不在。
無能な御貴族様が自分は悪く無いと責任転嫁の言葉を繰り返し、自らは謝罪を一つもせずに私を罵倒し、私に謝れと繰り返すだけだった。
そろそろ、ブランレヨンの堪忍袋の緒が切れそうである。それにしても、ブランは成長したなぁ~、前なら即、本性を滲み出させ低く唸ってたよ♪一般人にも気付けるレベルの殺気を放たないなんて、感慨深いモノを感じるよ。と思う。

 そして、私が我慢を覚えた(?)ブランレヨンを見て成長を喜んでいる間に、何処かで話が纏まったらしい。

 何はともあれ、翌日には私の隣国への嫁入りが決定していた。

「私、我が国公認の偽物らしいんですけど、結婚相手が私で良ろしいんですか?」と自分の結婚相手である隣国の王子に直接言ってみたけど「問題無い」と返され、何かしら隠されてるかもしれない意図っぽいモノを読み取る事も出来ずに終わる。父親違いの兄設定で私の嫁入りに付いて来るブランレヨンの存在も容認してくれるそうだが、正気だろうか?大丈夫であるなら良いのだけど…これは隣国に行ってみなければ分からない……。

 こうして私は、兄の振りしたウェアウルフを連れて王女として隣国へと嫁ぐ事に成ったのであるが、この先もずっと、本物なのに偽物扱いは続くのである。

・・・・end(仮)・・・・

理由*設定メモ消失したので…( ´艸`)
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