嘘ではなく秘め事

mitokami

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004[今夜の予定は肝試し]

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 私が参加者の事を尋ねると…肝試しの参加メンバーが、私と東条以外は地元民だった…と、言っても……。その東条ですら、学校に一番近い電車の駅から2つ先の駅が最寄り駅で、本人が言う程、遠くには住んでいない。正直な話、終電を逃して困るのは私だけだった。心做しかアウェイ感を否めない状況だ。
でも、自分から「今夜、ユリちゃんのベットで一緒に寝られるならOKさw」と言ってしまっていた手前「やっぱ、帰ろうかなw」とは言えない。
だから、取敢えず今日は、友人宅に泊まる事を家族に電話で告げ、私サイド都合を付けた。

 ユリちゃんの方は、私と東条の肝試しの参戦をメールで知らせ「了承を貰ったよw」と言い、学校から出て[一時退避する場所]まで行く為の「迎えが来るから♪」と私と東条を正門へと誘う。
その連れて行かれた正門前には…、私と一緒に進級してくれなかったヤツ…、3度目の1年生を途中で辞めた男、サンちゃんの兄である[山中ヤマナカ 藤五郎トウゴロウ]が、ユリちゃんとサンちゃんをワゴン車で迎えに来ていた……。
こうして、藤五郎トウゴロウこと、ゴロちゃんの歓迎を受けて、私と東条も迎えの車に乗せて貰い。日が暮れるまでの時間を潰す為に、私とゴロちゃんが一緒に働いているバイト先へと移動する事になった。

 因みに、これは余談・・・
明日は土曜日。私のバイトのシフトが土曜の午前中から入っていた筈なのだが…、バイト先の店長代理であるゴロちゃんの計らいで、既に私のシフトは勝手に変更され…、午後からゴロちゃんと一緒にフロアに出る事になっていた……。
どうやら今日、私が家に帰っていても、ゴロちゃん達の御迎えが来て、肝試しに強制参加させられる事が決定していたらしい。と、言う事で…今夜の私は、ゴロちゃん達とオールナイトで遊ぶ事になった。いや、寧ろ…最初っから…、私の知らない所でそう言う予定になっていた御様子だった……。

 話しは戻り、今夜の肝試しの参加者は・・・
肝試しの企画者の「ユリちゃん」と、その彼氏の「サンちゃん」。ユリちゃんの元彼で、サンちゃんの兄の「ゴロちゃん」。私の友人リカの元彼なサンちゃんのクラスメイトの「アキ」。サンちゃんとアキの部活の後輩、私的に面識の少ない「セイ君」。私と、追加参加の「東条」を含めた7人である。

 喫茶店に先に来ていたアキが、東条が男だと知った早々「誘える女子は、いなかったのかよ!」と残念そうにし、ユリちゃんを[紅一点]と会話の中で位置付けてくれた。
私は少しだけ微妙な気分になる…、アキは去年、リカと付き合っている時に十数回は、女子モードの私と会って…、一緒に遊びにも行っていた筈だった……。
 この時、私は(コイツ…私の事を忘れているのか?)と思ったのだが、しかし、どうやら、ちょっとばかり、そう言う事情とは違うらしい。
「なぁ~カラサキィ~!リカと仲良かったよな?アイツどうしてるか知らないか?俺…避けられてるみたいで会えないんだよ……。」と言って来たのだ。
(唐杉なんだけどな…、に、してもだ……。浮気した上で、リカを捨てた癖に、未練が有るとは図々しい!)と言う…、私のアキに対する評価はさて、置いておいて……。
どうもアキは[私の存在]を憶えてはいたが、私が[女]である事、及び、前に何度も一緒に遊んだ時、ちゃんと女子の制服を着ていた事について、私に興味が無さ過ぎて、記憶の片隅にすら残らなかったらしい。私に対して、とぉ~っても酷い話しである。

 更にアキは、私に[リカを呼ぶ]か[女をナンパして来い]的な事を言いやがったのである。
東条と、コノ喫茶店でが「初対面」な後輩のセイ君は、私を[女]だと認識していなくても、別に不思議は無いので、その時の反応に付いて、何の問題も無かったのだが…、[女子モードの私]と、アキの接点を知るサンちゃんが微妙な表情をしていて…、ユリちゃんが、こっそり腹を抱えて笑い…、ゴロちゃんが私の肩を優しく叩き、慰めているつもりなのか?「シロウ!アキは、女と見れば見境ない野獣君だ…貞操が守られて良かったな」と、私の耳元で囁く……。
(真面目な話…、私はアキとヤリタイ訳ではない!ヤリタイ訳ではないのだが……。女なのに男装してる事がバレ無い私の女子力の低さって、もしや絶望的なのでは?)
なぁ~んて事を…私が女として少し考えてしまうのは、変だろうか?オカシイで、あろうか?私は人知れず、苦笑いを浮かべ…、ちょっぴり心で泣いた……。

「シロー!コーヒー!」
私が暇潰しに来ている様に見えたのであろう、常連客が私に「オーダーよろw」と頼んで来る。私は[肝試しをしに行くメンバー]が集まった店の角にある大きな円形のテーブル席から離れ、笑いながら「今日は自分、休みなんすよぉ~…」と言いつつ、客から御客様専用のマグカップを受け取り、厨房に入り込みカップを軽く洗って、コーヒー2杯分の伝票を作成してからカップを拭いて、サーバーからマグカップにコーヒーを移して戻って、客の座る席の伝票を追加する。

 今の今まで、此処でバイトしている事を知らなかったらしい東条が、円形のテーブルの奥の方から、私の行動をジィ~っと見ている。
一仕事終え、肝試しに行く皆が集う[その席]に私が戻ると、東条は、どうしても気になるのか?
「なあなあ!何でギンちゃんって、シローって呼ばれてんの?」と興味津々に訊いて来た。
私に[シロウ]と、勝手に名付けたゴロちゃんはニヤニヤ笑い。リカ同様、私の名前を勘違いしたままなアキが「そもそも、オマエがカラサキをギンちゃんって呼んでる方が不思議だけどなw」と言う。

 東条とアキは、互いに話し合えば良いのに、互いに人見知りでもしているのか?黙ってにらみ合う。コレを打開するには、私が出張るしか無い雰囲気だった。
でも、私は説明が面倒で…東条とアキが私を[男だと勘違い]している事を利用して…「家に泊まり合う様な深い関係になったら、ベットの中で教えてやるよw但し、後ろの貞操の補償は無いw」と、呼ばれる名前に深い意味も無いのに、意味有り気に色々装って2人を黙らせた……。のだけど、名前についての事は封じたが、違う問題が持ち上がって来る。
「「オマエ…そっち系なのか?」」と、東条とアキが不安気に訊いて来た。話しが聞こえていたらしき女性の御客様達が、訊き耳を立てている御様子が窺え…、私はちょっと、面白くなって…「そっち系って、どっち系?詳しく、君達の口から説明しておくれよw」ちょっとSっ気を出して、見下す様に2人に近付き笑ってみる……。ユリちゃんがシュチエーション萌えで喜び。御客様に混じった腐女子の歓声が微かに聞こえてきた。

 東条とアキが、自分達の考え出した疑惑を信じ始め…、何にも知らないセイ君は、本当にそう勘違いしてドン引きし…、色々知ってるゴロちゃんは、笑いを堪え切れず噴き出し、豪快に笑っている……。
サンちゃんが深い溜息を吐き、私の悪ふざけを見兼ねて何か言おうとするのだけど、ユリちゃんに口を塞がれ妨害され、「安心して!坊や達がシロちゃんにオカマ掘られる事は絶対に無いわ!そもそも、シロちゃんにだって選ぶ権利あるんだからw」と、ユリちゃんがフォローしてんだか、してないんだか…何だかよく分からない言葉で周囲を翻弄し、「このネタ飽きちゃった、これ以上とやかく言うなら…その[そっち系]の道とやらへの扉の前まで、私が連れて行ってあげるわね!」とユリちゃんが2人の尻に手を伸ばし…、何かしらやらかした御様子で…、この御話はユリちゃんによって有耶無耶にされ、終止符を打たれる事と成った。

 私は、それで、東条とアキがそっち系ではない事を確信し、(そっちがそっち系で無くて、攻めて来られる可能性が無いなら安心だw)と喜び、誰も困らないし私に実害が無さそうなので、自分に対する誤解を放置する事に決めた。

暫くすると店が混み出し、アルバイト仲間がゴロちゃんに助けを求めに来る。私は話しを耳にし、うっかり「ゴロチャン手伝ってあげなよw」と口にしてしまう。

 その結果・・・
シフトをドタキャンした奴の代わりに、私とサンちゃんがゴロちゃんに駆り出されて、私が何を言わずとも、そっち系の話しネタは、完全に誤解のまま中断され、放置される方向へと流れて行く。

 夕飯時が過ぎ、書き入れ時が過ぎて日が沈み…、店が落ち着いた頃……。
店長が出勤して、ゴロちゃんの奢りで肝試しに行く全員が夕食を食べ、学校へ忍び込むのに丁度良い時間に店を出る事となった。
そうして、ゴロちゃんが運転する車で、学校を貫く大通り沿いのコインパーキングまで行く。車を[そこ]に停車して…、去年の肝試しの時に侵入した場所へ行ったのだが…、その場所には木の杭が打たれ、有刺鉄線がグシャグシャに張巡らされていて、驚かされる事になる……。

アキ曰く・・・
何時の間にか、その場所が有名になり。休み時間や授業中、部活中に学外のコンビニに行く生徒が後を絶たなかった為、塞がれてしまったらしい。

「さて、何処から這入り込もうか?」と、ゴロちゃんが本気で悩んでいたので、私とユリちゃんは「あの道行っとく?」と笑い合い。水路に面したテニスコートの入口から、柵を越え、水路沿いの半地下な10cmの細道へと降りつつ、皆に向かって手招きをする。
そこは水路と歩道を挟んだ御隣の敷地に存在するテニスコートへ行く為に、テニス部員がこっそり使っている、秘密の通路。
半信半疑で男性陣が付いて来てくれて、結構簡単に、私達は学校の敷地内に入り込む事が出来た。
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