シンデレラなのか…

mitokami

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 過去の記憶を思い出したのは、葬式の時である。
自称[御父様]の[金持ちの妻]が病気で亡くなったから、と、連れて来られた御葬式の席であった。そう言えば最近、喪が明け春に成ったら本当の[御父様]に成るとか言ってた気がするけど、気の所為かな?その[金持ちの妻]が死ぬ前からそんな話をしていたよ~な気もしないではない。おい、おっさん!自分の妻を毒殺してたりとかしないよね?もし、ヤラカシテいたら私達の保身の為の生贄にしてやるから覚悟しとけよ?と思った今日この頃。

 私は母と妹と共に葬列最後尾に並び、一人だけ本当に悲しんでいる幼い子供、義妹に成る予定の少女を遠目に眺め乍ら、将来に置いて、足の爪先を自分で切り落とすように強要されるのも、白い鳩に眼球を刳り貫かれるのも、足を切り落とされるのも許容できないなぁ~と思った。つまり、イジメ駄目!絶対!!の方向で、上手にこの世界を生き抜く方法をその場で考え初め、考え続けたのである。

 そんな日から続く日常、電気・ガス・水道と言うライフラインの無い世界での生活。日々の暮らしは兎にも角にも、やる事が多くて忙しかった。日々の生活に追われながら、色々考えを巡らしている内に、何時の間にか春が来て、数日後に母親の再婚が決定した。

 ここからが正念場である。自称[御父様]と実の母、実の妹からの反感を自分へ向けないように注意しながら、先妻の娘[エラ]への虐待を阻止しなければいけない。
取り敢えずのやるべき事は、エラの私物を取り上げない事!それを皆に納得させる事である。と、言う事で、自称[御父様]と自分の母親を先に説得する事にする。

 自称[御父様]は「御父様には私と妹に淑女教育できないでしょ?」と言ったら黙ってくれた。
「御母様だって、そう言う教育は受けた事が無い筈です!」「女の戦いは最初が肝心だと私達に教えてくれていたのは御母様ではありませんか!」と言ったら御母様も静かに成った。もっと揉める事を覚悟していただけに、簡単に納得してくれたのは嬉しき誤算である。

 続いて妹の番。妹とは、姉妹水入らずで御話合いをする事にする。
「貧乏な生活をして来た私達には、これから初歩の初歩に当たる基本的な[上流階級の経験と知識]が必要と成って来る事でしょう!それを新たに妹となったエラしか持っていないのなら、恥を忍んでエラに教えて貰う他にありません!人を雇って教えを乞うにしても、知らな過ぎては足元を見られ蔑まれたり、後々蔭で笑い者にされてしまいますよ?知らなかった事を理由にアナタは自ら恥を晒したいのですか?」
これで、妹を黙らせる事にも成功した。

 初手が成功したのなら、後にやるべき事は方向性の強制。親の結婚式の前に、エラを含めぬ家族会議をしましょう。言い包める為の演説の時間です!誰の発言も許さぬ覚悟で挑みました!
「現状、我が家に優良物件を得る伝手は有りません」
「寄り良き妹の嫁入り先を得る為に、見目の良い義妹のエラを金と身分のある一定以上の優良物件への嫁入りさせる必要があるのです」
「金や地位があっても先に宜しくない所にエラを嫁にやれば、妹の嫁の行先も似た様なモノに成る事でしょう」
「家を継ぐ私も、それでは困ります」
「私も、より良い入り婿を得る為に、妹にも義妹のエラにも優良物件への嫁入りをして貰わねば困るのです」
「御父様も御母様も、より良き老後を送りたいでしょ?その為に表面上だけでも、エラ譲と仲良く出来ますよね?」
私の決死の説得で一応、家族は一致団結(?)、それなりに納得してくれた御様子だ。

 それにしても、私はどうやら運が良いらしい。家族を説得できたのも、俗に言う異世界転生に寄るチート能力と言うヤツなのかもしれない。転生前は神様とか一欠けらも信じていなかったけど、今回の事で少し心を入れ替え、少しだけでも神とやらに感謝しておこうと思う。

 そして今日から、義妹のエラが母親と住んでいた家に皆で住む事と成った訳だが、厄介事が早々に発生。
得物を見付けた獣の様に、母が真っ先に前妻の私物に手を出そうとしたのである。前妻の娘さんは悲しそうな、今にも泣き出しそうな表情をしている。勿論、これは阻止すべき案件である。
私は現在、子供である軽い身体を利用して「娘さんの許可無く遺品を処分しようとするでないわ!」と飛び蹴りをかまし、変な擬音が聞こえた気もしないでは無いが「御母様!この状態から見た感じ、まだ形見分けも出来ていない御様子です」と言いながら自分の生みの母の事は気にせず「エラさん、全部は残しておけませんので、思い出として特別に残しておきたいものを選びましょうね?」と笑顔を向けたのだが、周囲に居た自称[御父様]も、実の妹も、通りすがりの使用人は勿論、義妹と成ったエラまでもが言葉を失い唖然としていた。あ、やべっ!勢い余ってやり過ぎた感。

 この硬直した空気を換える為…いや…この空気感から逃げる為…、取り敢えず私は「御父様!御母様の介抱を御願いしますね?」と母親を押し付け…、エラと妹を連れて前妻さんの部屋の中に入った……。妹は何か言いた気だが、今回、連れては行くが意見は無視して置く。

今やるべき事は、エラの母親の形見分けであろう。
「エラさん、ここに残した物は後妻に入った母が使う事に成ります」
「コレは決定事項です」
「全てをそのままにして置く事は出来ません」
「自室に持ち帰って邪魔に成らない量、自分の御母様との思い出の品を持って帰りましょうね」
私は言葉を幾つも幾つも重ねてエラを納得させ、エラが選んだ物の他に、全部持っていくと面倒な事に成りそうなので、将来的にエラに似合いそうな貴金属数点を宝石箱からそうとは分からぬようにくすね、エラの案内でエラの自室へと運び込んだ。

 そこで残念なウオークインクローゼットと出会う。
エラの母親が体調を崩してからサイズに合わせて買うだけで、サイズの合わなくなった服や靴等の処分が出来ていなかったのだろう。酷い事に成っていた。
「エラさん、ここの物もそのままと言う訳にはいきません」
「今のサイズに会った衣料品と靴やカバン、置いておいても邪魔に成らない量の思い出の品を残して片付けましょう」
「不用品で綺麗な物は古着屋に売ります」
「同じく不用品のそうでない物は教会に寄付しましょう」
まあ、そんな感じで色々やって片付けて、私達姉妹の荷物も片付けてから、屋敷に居た少ない使用人を荷物持ちにして古着屋へ行き私が代表して値段交渉。そこで小銭を稼いでから、売れなかった不用品を教会に寄付。教会に人脈を繋いでから帰宅して気付く。

「義姉様、上の義姉様は何時もこんな感じなのですか?」
「…そうね、何時もこんな感じだわ…、思い立ったら何処までも一直線に突き進んでいくのよ……」
「そうなんですね!何だか、元気だった頃の私の御母様に似ていてビックリです」
「…アンタ…思いの外、苦労してたのね」
「…?…御母様が御病気を患ってしまって大変だったけど、苦労はしていないですよ?義姉様は苦労されてたんですか?」
「そうね…、それ程の事では無いかしら?」
何時の間にか妹と義妹であるエラは、何故だか私には分からないけれど、互いに微笑みを向け合う程に仲良く成っていた。
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