オタク思考強めな腐女子が頑張ってみた

mitokami

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 次期東の辺境伯として育てられた俺、チュテレール・エストゥには、ガルディアと言う名の、俺より一ヶ月早く生まれた従姉が存在する。6歳を過ぎるまで出会う事の無かった血の繋がった従姉、俺の父親の弟の子供だ。
アイツは一見…、小動物とか愛玩用の小型の犬猫の様に見えるのだが…、育った環境が悪かったのか?中身は勇敢ながら獰猛…血気盛んな猟犬の類に類似している…、ちゃんと従わせる者が存在しなければ、狂暴化する種類の犬みたいな性格をしている……。更に言えば、母親を知らずに育ったからか?他の身内に会わせなかった難のある父親に5歳まで箱入り状態で育てられ、捨てられ、東の辺境伯騎士団の寮に住む祖父に引き取られ、祖父に騎士として育てられたからか?ガルディアは、貴族令嬢として規格外が過ぎ、6歳くらいから俺達と一緒に育ち、少しはマシには成ったが、今でも十分、貴族令嬢的とは言い難い。

 俺の知らない間に立ち消えて違う相手に代わっていたが、ガルディアが俺の婚約者であった時期もあり、エメラルドグリーンが入った縦巻きロールの金髪ツインテールに大きな翡翠色の瞳が印象的な猫目の、飾る為だけに存在している人形を模した様な幼女時代の肖像画が、俺の家に残っている。その短い時代が一番、貴族令嬢的だったのではないかと思われるが…、絵なので、何処まで真実が描かれているのか分からない……。若しかしたら、肖像画は画家が描いた幻想で、そんな時代は無かった可能性もある。

 現在の、俺達が出会ってからのガルディアの髪型は三つ編みで一つに弾ねられ、昔に描かれた肖像画より人形っぽさは無い。二筋のエメラルドグリーンが入った金髪と、一度目が合うと暫く目が離せなくなる大きな翡翠色の瞳は相変わらず。中身は詐欺レベルで別物だが、見た目だけは細身で小柄な為に実年齢よりも幼くも見える。本当に見た目だけは、可愛らしい少女に育っている。
 然も、その愛らしさを強調するかの如く、前髪に混ざる2房のエメラルドグリーンの髪がはねて、耳が生えている様に見える時がある。三つ編みで一纏めにした長い髪は尻尾にも見え、その耳や尻尾が、ガルディアの気持ちや気分を表す様に動いて見えるのは、俺達の気の所為では無いのではなかろうか?あの愛らしさは、完全に罠だ!今日も、ガルディアの見た目だけの愛らしさに騙され、簡単に従わせられると勘違いした馬鹿が、ガルディアに寄って血祭りに上げられている。
今日も、幼馴染である俺達…、俺か、ガルディアの現在の婚約者であるファレーズが…、ガルディアに手を出した馬鹿を救出に行かなきゃ駄目なんだろうな…、今回の相手は犯罪者っぽいし、自業自得だからと放置するって訳にもいかない……。ガルディアが相手を拘束する為にペットを呼び出したり、ペットの方がガルディアを心配して出てきてしまう前に何とかして置かないと不味い。

 俺は一つ年上のファレーズに合図を送り、互いに目で会話して走り出した。ガルディアに加勢すると見せ掛けて、上手に相手を救出する為だ。ガルディアのペットが出て来てしまうと俺達でも手出しが難しく成ってしまう。

「「ディア!(相手は)大丈夫か?」」
「あ、チュ~さんとファ~さん…、心配しなくても大丈夫やよ?」
首を傾げる仕草は可愛いけども、ガルディアのやっている事は可愛くない。周囲の空気が焦げ臭い。体術と剣術だけでなく、接触時に放電して感電させたのだろう。
金属鎧を身に着けている奴は御気の毒…、頭を蹴られた奴、御愁傷様…、金属製の武器でガルディアに立ち向かった奴は手だけだが、暫く武器は持てないだろう…、他、それなりに感電による火傷を負った事だろうが、自業自得と思って欲しい……。
「うん、取り敢えず…頓所と診療所に連絡だな…、チュテ頼めるか?」
「了解、ファーさん…、(これ以上ガルディアが)暴れない様に見張っててね?」

 そして俺達は今日も、ガルディアにストレスを掛け過ぎぬ様に、ガルディアを放し飼いし過ぎない様に、ガルディアが呼び寄せる面倒事に自ら巻き込まれに行くのだった。
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