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 肉体が男である人間が女装してるからって、オカマと一括りに考えるのは間違っている。と言う持論を展開させ、ナルシストの末に女装する者の種類の話に手を出し説明。彼等の殆どは、身も心も男である事が多い。
流動性のある精神的な性別を所持する者の中で女装する男と言う種類もいるが、その半分程は精神的に男が主体で、残りは女性主体の精神を持っているらしい。(私個人的には、女性主体の人て、もっと多いんとちゃうかな?て思てる)
他に、性別の自覚の無い男の女装する者にも種類があると私は認識している。相手に向けるのが恋愛感情なのか?性的欲望なのか?庇護欲等から来る感情なのか?そもそも恋愛感情や性的欲望を所持しているのか?否か?Aセクシャル系で、持つ事も抱く事もできない存在なのか如何か?や、SMとは別枠の主従関係を求める性癖にまで手を出して話をしてしまうと、種類が多過ぎて図解説明の必要も出て来る気がするが、肉体が男で女装している縛りに言及してでの時点で多様性が多過ぎて、自分が知らない肉体が男で女装している者が存在しているのではないか?と言う期待を持って、私は人生を過ごしているのだが、どうだろう?

 …そんな事をアンジュに話して聞かせた…今日この頃…、皆様は如何御過ごしでしょうか?私はとうとう…婚約者であるファレーズの寄って口の中に入れられた飴玉と…口元に押し当てられた掌に寄って黙らされ口を閉ざさせられた所です……。
危ないなぁ~もう!これ呼吸のタイミングに寄っては飴ちゃん喉の方に行って咽るか、喉に詰めてまう案件やで!!と言う事で、その事に、口を塞がれ言葉に成らない声で抗議するも「後で俺が何でも言う事聞いてやるから、そろそろ黙って大人しくしてような?」とファレーズが言うので、柑橘系の飴ちゃんは好きやし大人しくする事にしたった。
そや、後で絵のモデルにでも成ってもろたろ!今回はファーさんからの申し出やし、頼めばチューさんとかに壁ドンとか床ドンとか横から後ろからとかしてくれはるやろか?ちょっと楽しみやな♪(注意・・! ガルディアは、チュテレール自分の趣味に巻き込むつもりらしいが、チュテレールからの了解を得ていない以前に、まだ、チュテレールに打診もしていません!何時も通り、事後承諾を取る予定みたいです)

 こうして私は、最近では定位置に成りつつあるファレーズの膝の上に抱き抱えられ、満足気なファレーズに髪を撫で梳かされ、更には餌付けされそう・・・・に成っている。何故にされそう・・・・か?に付いては、今、口の中に飴ちゃん入ってるからやねんけどな!
因みに、王族主催のパーティーメニューは、メシが旨過ぎてマズイ!喰い過ぎに成りそうやわぁ。と、言う別件ネタもあるけど、今はその時で無いので置いておこう。

 時に、誰も口を開かず。静かに黙って私達の方を見ていた者達が騒めき出す。
私の持論に対し呆気に取られ黙っていたアンジュも、私がファレーズに寄って自主的に回収された事に寄り、正気を取り戻したらしい。

「やっぱり、御邪魔令嬢!オマエが犯人ね!!」
「…(何のやねん)…」
「攻略対象を悪役令嬢とくっ付けるとか、どれだけ私の邪魔をしたら気が済むのよ!」
「…(それに付いては、何もしてへんし、冤罪やわ)…」
「ホント!恩を仇で返すとか、何様のつもりなの?私が主人公!ヒロインなのよ!!」
「…(昔の事やったら祖父が謝礼払った上に、要望通りの貴族に母子共に引き取られる様に手配したて言ってたけど、更に見返りを求めて来るんか?強欲やなぁ~)…」
「攻略対象は私が攻略を始めたら、私に惹かれ、私に恋をし!最後には私に平伏すべきなのよ!アンタが邪魔した所為で低レベルな攻略対象一人しか攻略できなかったじゃない!」って、それ、言ってえぇのんか?アンちゃんは周囲が見えてへんみたいやね。

 私が(声に出して反応するのが面倒臭くて)無表情で暫く黙っていたら、ファレーズは兎も角、チュテレールが会話に参戦してくれた。
「男爵令嬢!オマエこそ何様だ!!国王陛下の御前だぞ!」
チュテレールの言う通り、確かにその通りである。が、攻略されていない攻略対象のヒロインへの態度が悪過ぎやしないだろうか?ファレーズも眉間に皺を寄せ、こっちが怖く成る程の鋭い視線でアンジュ譲を見ているし、例外なく周囲の人間全て・・が、[今、オマエ、何って言った?]って感じの視線をアンジュに向けていた。これぞ、俗に言う自爆と言うヤツであろうか?

 それより何より、チュテレールを筆頭とした男性転生者の皆様が「オマエも俺達と同じ転生者だろ?」と言って詰め寄りアンジュを取り囲み、これからヒロインアンジュに対してネタ晴らしをするっぽい。出来れば私を巻き込まない方向で御願いしたき所存である。が、どう成るだろう?

 アンジュは取り敢えず驚き「攻略対象が転生者だなんて…って…、アンタ達!女性用のゲームに手を出すだなんて…中の人はキモオタ?今イケメンでも、キモイんですけど…」と、斜め上の発言で男の転生者達に牽制?実際は牽制だったのか如何か知らんけど、男性陣は出鼻を挫かれ一歩引いていた。
その所為で、その後に続く男性転生者の皆様の「アザトイ女に誰もが惚れると思うな」等の言葉が負け犬の遠吠えにしか聞こえない不運。
傍から見てて、ちょっと面白いのだが、勢いを取り戻したアンジュが暴挙に出ても面白くないので、私はファレーズの膝の上から降り、ミスリル合金製のハエタタキを手にアンジュに魅了されたままの王子の元へ歩み寄り、大きく振りかぶってヴォルカン王子の後頭部をハリセンで叩く要領で一度バシコ~ンと叩き、解呪を試みておいた。敵の見方は一人でも存在しない方が都合が良いだろう。と言う配慮である。

 この気配りは功を奏し、アンジュの至らない発言で解けかけていた魅了は完全に解け、結果的に、不可抗力で魅了された挙句の果てに婚約者に捨てられた可哀想な王子様が取り残される事と成る訳だが、ここは一つ、ヴォルカン王子には女性不信にでも成って貰って、慰めてくれた男友達と深い関係に陥って欲しいモノです。と言う強めな願望を贈らせて頂きたい案件。

 そして、これで権力を持つアンジュの見方は存在しなく成った。自爆的な発言で、長らく魅了され続けていた者も、それ程強く魅了されていなかった騎士達への魅了も既に解けている。でも、アンジュは自分の非を認める事無く、堂々としていた。
国王から処罰を受けても、騎士に連行される最中でも「次こそは逆ハーを完遂して見せるんだから」とか言っていた。この人生て、私は面倒臭いからした無いけど、やり直しできるんやろか?やり直した所で、倫理観が皆無なアンジュをヒロイン対応で物語が受け入れるんやろか?と言う思いもあり、思う所があって、意味が伝わるかどうかは別として「王子様と身分差のある恋を成就させれるんは、王子様に婚約者も配偶者も存在せぇへんかった幸運の下で、王子の配偶者が誰でも良いって条件が揃っとったシンデレラとか、美女と野獣の物語の中だけとちゃうかな?」とアンジュに伝える。アンジュは既に猿轡を嚙まされていて何かしら私に悪態っぽい事を返して来たっぽいけど、何を言っていたか不明。その後もそれを知る余地は無かった。
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