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03 吉原柄の法被と銀狐
026 色も恋も…
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四ツ目屋からアオマルが派遣されて来て、私の仕事に[アオマル担当]と言う仕事が増えてしまった。アオマルは、私の寄親である秋之丞には劣るが…、我が血縁の兄の春男や、その友人の孝造、見目重視の若い衆並みにイケメンで有りながら…、彼等とは違って、総ての女性に馴れ馴れしく、愛想が良かったのだ……。
御陰で、アオマルを将来有望物件と判断した女の戦いが見世の内外で頻発し、痴情の縺れ的なトラブルが絶えなかった為、茜様権限に寄り、アオマルの求婚を瞬殺した私に[アオマルの世話係兼、教育係]と言う仕事が課せられてしまった。
その初日「見世では、四ツ目屋の[長命丸]や[蝋丸]の注文が入ったら、竹の茶筒に注文された個数を入れて、急須に入れた御茶と一緒に配膳する事に成っているんだ。それに習って、新しく品揃えを増やす時は、四ツ目屋の商品に合う、中身がそれとは判断付き辛い入れ物と違和感の無い配膳の段取りを考えておいて欲しい」
「難しいな…、あ、所で…、茶筒って持って帰って良いの?」
「持ち帰りがある場合は、注文を貰う時に入れ物を選択して貰っている。御客様が持参した印籠に入れる場合もあるし、贈り物用に漆塗りの箱や桐箱、巾着袋に守り袋仕様の小袋、柄付きの和紙で包んだ物とか色々と、有料で準備してあって受け渡し方法も選べる仕組みに成っている」
「有料…商売上手だなぁ…」
「茜様が商人気質だからねwあ、後、箱とか入れ物の発注は基本、私か…今は揚屋町の方に仕事で出ている塗りの職人の春男に言ってくれれば伝手を使って依頼できるから、気軽に何でも言ってくれ」
「そっか、それなら」
「但し!私に対して嫁に来い、及び、結婚してくれ関連の依頼は却下させて頂く」
「一瞬、打ち解けてくれた気がしたのに…、何だよ、その食い気味な切り返しは!」
「何度も言わすな!面倒くせぇ!!モテんだから、そっから選べ!私を巻き込むな!」
「冗談じゃ無い!数人掛かりで襲って来る様な女とは嫌だ!!」
「…(姐さん達か?一体アオマルに何をした?)……。」
既に何かと遭ったみたいだった。
その日の宵の口に春男が店に帰って来るなり「僕を今晩から隣に置いて下さい!」と言って、[ニシキから、春男に乗り換えた]的な誤解を受けているアオマルを見掛ける事と成る。アオマル的には寝床の交渉がしたかったみたいだ。
暫く見世に住み込みに成るに当たり…、アオマルも私達と同じくアキノ兄さんの部屋で寝泊まりする事に成った訳なのだが…、同じく、先にアキノ兄さんの部屋に住み込んでいる黒と白の少年少女、黒兵衛と赤目が意地の悪い事を言って…、アオマルの不安を煽ったらしい……。
本当な話、油断していると後ろの処女を狙われる的な事柄は、事実半分、面白半分、衆道文献をこよなく愛す赤目の冗談半分な軽口だったのだろうけど、四ツ目屋の倉庫番から見世での商品管理に成ったアオマルに取っては衝撃的な事実であったのだろう。
「性的な事柄に興味が薄いと言う君等兄妹は僕に取っての頼みの綱だ!どうか僕の事を嫌わないで欲しい」と言ってしまう程に、たった1日で相当追い詰められてしまった様子が見て取れる。
そんなアオマルを心配し、淫具や媚薬を売る四ツ目屋の商品を管理する上で、その程度の事で狼狽えるとか、致命的欠陥では無かろうか?と思っていた訳なのだが、仕事には支障を来さないらしい。商品説明には抜かりなく、商品の取り扱いや製造にも通じていて、しっかり仕事は出来るタイプな様子だ。
俗に存在する卑猥な事を言ってセクハラするヤツが、実は初心、経験が極端に少なかったり、処女や童貞で、そう言う場面に遭遇すると真っ赤になってしまう。と言う。アオマルは[性的に御子様]な生き物なのかもしれない。
私は少し気になる事が有り、後日「何故、私を[嫁に]と求めるんだ?怒らないから訳が有るなら教えてくれ」と、直接アオマルに訊いてみた。
「四ツ目屋の人間だから…」
「それじゃ意味わかんねぇ~よ」
「下手とか、言われるのも、思われるのも嫌なんだよ!」
「はぁ?」
「だからね!僕は他の男と比べられたくないんだってば!」
「え?」
「だって、ニシキちゃんは性的な事に経験も興味も無いんだろ?」
「えぇっ?!興味の方は、無い訳じゃ無いぞw(男色春画専門の絵師だしねw)」
「じゃあ…何故、見目の良い僕の誘いを断った!」
「はあ?ん~なの、面倒臭そうだからに決まってるだろ?顔が良ければ、総て良いって訳じゃ無いだろ?そもそも見目平均値高くて出来る男の多い見世で、アンタの何処に惚れろと?」
アオマルよ…、色恋すら関係無い下らない理由で、人間として残念過ぎやしないか?求婚して来るなら恋愛フラグぐらい寄こしやがれ!御子様にも程があるだろ……。
御陰で、アオマルを将来有望物件と判断した女の戦いが見世の内外で頻発し、痴情の縺れ的なトラブルが絶えなかった為、茜様権限に寄り、アオマルの求婚を瞬殺した私に[アオマルの世話係兼、教育係]と言う仕事が課せられてしまった。
その初日「見世では、四ツ目屋の[長命丸]や[蝋丸]の注文が入ったら、竹の茶筒に注文された個数を入れて、急須に入れた御茶と一緒に配膳する事に成っているんだ。それに習って、新しく品揃えを増やす時は、四ツ目屋の商品に合う、中身がそれとは判断付き辛い入れ物と違和感の無い配膳の段取りを考えておいて欲しい」
「難しいな…、あ、所で…、茶筒って持って帰って良いの?」
「持ち帰りがある場合は、注文を貰う時に入れ物を選択して貰っている。御客様が持参した印籠に入れる場合もあるし、贈り物用に漆塗りの箱や桐箱、巾着袋に守り袋仕様の小袋、柄付きの和紙で包んだ物とか色々と、有料で準備してあって受け渡し方法も選べる仕組みに成っている」
「有料…商売上手だなぁ…」
「茜様が商人気質だからねwあ、後、箱とか入れ物の発注は基本、私か…今は揚屋町の方に仕事で出ている塗りの職人の春男に言ってくれれば伝手を使って依頼できるから、気軽に何でも言ってくれ」
「そっか、それなら」
「但し!私に対して嫁に来い、及び、結婚してくれ関連の依頼は却下させて頂く」
「一瞬、打ち解けてくれた気がしたのに…、何だよ、その食い気味な切り返しは!」
「何度も言わすな!面倒くせぇ!!モテんだから、そっから選べ!私を巻き込むな!」
「冗談じゃ無い!数人掛かりで襲って来る様な女とは嫌だ!!」
「…(姐さん達か?一体アオマルに何をした?)……。」
既に何かと遭ったみたいだった。
その日の宵の口に春男が店に帰って来るなり「僕を今晩から隣に置いて下さい!」と言って、[ニシキから、春男に乗り換えた]的な誤解を受けているアオマルを見掛ける事と成る。アオマル的には寝床の交渉がしたかったみたいだ。
暫く見世に住み込みに成るに当たり…、アオマルも私達と同じくアキノ兄さんの部屋で寝泊まりする事に成った訳なのだが…、同じく、先にアキノ兄さんの部屋に住み込んでいる黒と白の少年少女、黒兵衛と赤目が意地の悪い事を言って…、アオマルの不安を煽ったらしい……。
本当な話、油断していると後ろの処女を狙われる的な事柄は、事実半分、面白半分、衆道文献をこよなく愛す赤目の冗談半分な軽口だったのだろうけど、四ツ目屋の倉庫番から見世での商品管理に成ったアオマルに取っては衝撃的な事実であったのだろう。
「性的な事柄に興味が薄いと言う君等兄妹は僕に取っての頼みの綱だ!どうか僕の事を嫌わないで欲しい」と言ってしまう程に、たった1日で相当追い詰められてしまった様子が見て取れる。
そんなアオマルを心配し、淫具や媚薬を売る四ツ目屋の商品を管理する上で、その程度の事で狼狽えるとか、致命的欠陥では無かろうか?と思っていた訳なのだが、仕事には支障を来さないらしい。商品説明には抜かりなく、商品の取り扱いや製造にも通じていて、しっかり仕事は出来るタイプな様子だ。
俗に存在する卑猥な事を言ってセクハラするヤツが、実は初心、経験が極端に少なかったり、処女や童貞で、そう言う場面に遭遇すると真っ赤になってしまう。と言う。アオマルは[性的に御子様]な生き物なのかもしれない。
私は少し気になる事が有り、後日「何故、私を[嫁に]と求めるんだ?怒らないから訳が有るなら教えてくれ」と、直接アオマルに訊いてみた。
「四ツ目屋の人間だから…」
「それじゃ意味わかんねぇ~よ」
「下手とか、言われるのも、思われるのも嫌なんだよ!」
「はぁ?」
「だからね!僕は他の男と比べられたくないんだってば!」
「え?」
「だって、ニシキちゃんは性的な事に経験も興味も無いんだろ?」
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「はあ?ん~なの、面倒臭そうだからに決まってるだろ?顔が良ければ、総て良いって訳じゃ無いだろ?そもそも見目平均値高くて出来る男の多い見世で、アンタの何処に惚れろと?」
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