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03 吉原柄の法被と銀狐
031 無い物強請り 4
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引手茶屋に見世の花魁が客を迎えに来る事も有る。今日は金狐様の道中が出張って来ていた。御囃子を担当する白狐と玄狐、赤目と黒兵衛が先着し、茶屋の警備をする私の元へ来てくれる。2人は篠笛の音を途切れさせぬ為、交互に笛を吹き、赤目は春画に使うターゲットであろう男をコッソリ指さし確認。[攻め×受け]で、人気の岡引きや火消しだけで無く、茶屋の護衛も餌食にするつもりらしく、数人の全身画の依頼を私にした。
黒兵衛の方は、孝造が薬物中毒を理由に吉原遊廓から追い出され、大門を通れない為に御歯黒ドブを泳いで渡ろうとして、ドブの底のヘドロに頭から突っ込み溺れ死んだ事と、春男が私に会いたがっている事を伝えて来た。
私は少し思う。揚屋入りするのに、ソウセイ様の様に大きめな船で御歯黒ドブを渡る者が存在するから深いイメージの御歯黒ドブ。実は思った程深くは無く。底の分厚いヘドロ層が無ければ歩いて渡れる可能性がある程度の深さらしいが…、一度ヘドロ層に嵌まると身動きできなくなって転んだら最後、溺れ死ぬしかない…と言う噂を耳にした事がある……。その事は吉原生まれの孝造も知っていた筈だ。泳ぐ為に飛び込むとか、意味分からない。それって、自殺か他殺のどちらかでは無かろうか?そもそも、泳げる場所もない吉原生まれの孝造が泳ごうとする?無いなぁ~…泳いだ事の無い人間よ?頭から水に突っ込んで泳ぐって発想がねぇ~わwだって、泳げる場所無いんだもん……。深さがある水面って湯屋の浅い湯船くらいなモノだよ?その湯船だって、子供でも泳げる深さがないってのw私とか、足から意外にどうやったら良いのか分からないんですけど?これって、泳ぐのに頭から飛び込むって常識持ってるヤツの犯行の可能性高いな。今度、暇があったら探りを入れてやろう。
春男の方は、金を掛けて[あの人]に会いに行けるなら、私の方に会いに来るのはもっと簡単であろう。プライスレスな上に誰の許可も不要。歩いて来るだけで良い。何の問題があると言うのだろうか?もしかして、私に対して自分に会いに来いとでも言っているのか?それって何かヤダな!物凄く腹立たしい!!
私は作り笑いを浮かべ「それ、会いたがってるのは振りで、社交辞令的なモノだよw」「本当に会いたいなら行動に出てるでしょ?」と言い。小声で小さく「会いに行ってる相手が居るんだから…」と呟いた。その翌日、アオマルが引手茶屋まで私に会いに来た。何の用事かと思えば、今まで私の居場所を知らなかったかららしい。
私の方は、アキノ兄さんは勿論…、杖術の訓練で、見世の若い衆と定期的に会っているし…、花魁道中が引手茶屋に客を迎えに来れば…、指名された花魁と、それぞれの花魁の道中メンバーと顔も顔を合わしていた……。だから、知らなかったとか、本気で想定外だった。
そこで、ふと思うのが、実の兄である春男の事。ハル兄も、私の居場所の事を知らないから、会いに来られなかったのだろうか?と、期待してしまう。これはとても浅はかな期待だった様だ。私の期待はアオマルの言葉で、一瞬の内に消し去られる。
「ハル兄も知らなかったんじゃ無いかと思って誘ったんだけど、[姉が嫌がるから]会いに行けないって断られたんだw所で、ハル兄とニシキちゃんの姉さんってどんな人?」
私はアオマルの言葉に何も答えられなかった。その代わりに目から温かい物が零れる。
私の反応に対し、愛想が良いのが取り得のアオマルが本気で動揺して、笑顔を無くし物陰に私を引っ張り込んで「えぇっ!?、嘘でしょ?!どうしよう…、ねえ!ニシキちゃんどうしちゃたの?」と小さな子供をあやす様に私を優しく抱き締め、髪を撫でる。
私は暫く、されるがままに成って…、自分がどれだけ、姉より自分を優先して欲しいと望んでいたかを思い知った……。それが思っていたより自分でもショックだった。
悔しい。腹立たしい!辛い。悲しい。羨ましい。妬ましい。恨めしい。コレは総て、子供の頃に「嫌い」だけで片付けられた私の姉への感情だ。こんな事を思うから駄目なんだろうか?それとも、今も昔も母親を殺して産まれてきた罪があるから、姉より優先して貰えないのだろうか?でも、それなら私の願いに望みは無いだろう。
母を孕ませた父親は孕ませて母を殺した事を認めず。総て私の所為にしたのだ。親の言う事は正しいらしいし、兄に対しての望みは最初から無かったのだろう。と、知っていたけど、今やっと理解する。無い物強請りにも程が有るだろう…私……。
黒兵衛の方は、孝造が薬物中毒を理由に吉原遊廓から追い出され、大門を通れない為に御歯黒ドブを泳いで渡ろうとして、ドブの底のヘドロに頭から突っ込み溺れ死んだ事と、春男が私に会いたがっている事を伝えて来た。
私は少し思う。揚屋入りするのに、ソウセイ様の様に大きめな船で御歯黒ドブを渡る者が存在するから深いイメージの御歯黒ドブ。実は思った程深くは無く。底の分厚いヘドロ層が無ければ歩いて渡れる可能性がある程度の深さらしいが…、一度ヘドロ層に嵌まると身動きできなくなって転んだら最後、溺れ死ぬしかない…と言う噂を耳にした事がある……。その事は吉原生まれの孝造も知っていた筈だ。泳ぐ為に飛び込むとか、意味分からない。それって、自殺か他殺のどちらかでは無かろうか?そもそも、泳げる場所もない吉原生まれの孝造が泳ごうとする?無いなぁ~…泳いだ事の無い人間よ?頭から水に突っ込んで泳ぐって発想がねぇ~わwだって、泳げる場所無いんだもん……。深さがある水面って湯屋の浅い湯船くらいなモノだよ?その湯船だって、子供でも泳げる深さがないってのw私とか、足から意外にどうやったら良いのか分からないんですけど?これって、泳ぐのに頭から飛び込むって常識持ってるヤツの犯行の可能性高いな。今度、暇があったら探りを入れてやろう。
春男の方は、金を掛けて[あの人]に会いに行けるなら、私の方に会いに来るのはもっと簡単であろう。プライスレスな上に誰の許可も不要。歩いて来るだけで良い。何の問題があると言うのだろうか?もしかして、私に対して自分に会いに来いとでも言っているのか?それって何かヤダな!物凄く腹立たしい!!
私は作り笑いを浮かべ「それ、会いたがってるのは振りで、社交辞令的なモノだよw」「本当に会いたいなら行動に出てるでしょ?」と言い。小声で小さく「会いに行ってる相手が居るんだから…」と呟いた。その翌日、アオマルが引手茶屋まで私に会いに来た。何の用事かと思えば、今まで私の居場所を知らなかったかららしい。
私の方は、アキノ兄さんは勿論…、杖術の訓練で、見世の若い衆と定期的に会っているし…、花魁道中が引手茶屋に客を迎えに来れば…、指名された花魁と、それぞれの花魁の道中メンバーと顔も顔を合わしていた……。だから、知らなかったとか、本気で想定外だった。
そこで、ふと思うのが、実の兄である春男の事。ハル兄も、私の居場所の事を知らないから、会いに来られなかったのだろうか?と、期待してしまう。これはとても浅はかな期待だった様だ。私の期待はアオマルの言葉で、一瞬の内に消し去られる。
「ハル兄も知らなかったんじゃ無いかと思って誘ったんだけど、[姉が嫌がるから]会いに行けないって断られたんだw所で、ハル兄とニシキちゃんの姉さんってどんな人?」
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私の反応に対し、愛想が良いのが取り得のアオマルが本気で動揺して、笑顔を無くし物陰に私を引っ張り込んで「えぇっ!?、嘘でしょ?!どうしよう…、ねえ!ニシキちゃんどうしちゃたの?」と小さな子供をあやす様に私を優しく抱き締め、髪を撫でる。
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