二人で転生を繰り返して辿り着いた先が…

mitokami

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1 零情報でアイツ捜し

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 俺は唐突とうとつに声を上げて笑い出す。「あぁ~アレも、この世界に転生して来てるのか…」自分が思うよりもずっと冷たい声が自分から発せられていた。

 それより何より…、今までずっと、アイツは転生するたびに俺より年下だったけど…、今回はしかしたら、年上なのかも知れない可能性が出て来た…、さがす人間の年齢の範囲はんいを変更して、一度探した場所をも、もう一度、年上も視野しやに入れて捜してみようと思う……。

 決意を新たにした今日、今も出会う前に失ってしまうかも知れないと言う不安はあるが、まだ、失ってしまったと言う喪失感そうしつかんは無い気がする。鏡の前で俺は、きっとまだアイツは(この世界で)生きていると言う期待を胸に、この世界特有なのだろうみょうととのった顔立ちと矢鱈やたら綺麗きれいな出で立ちを鏡に映し見ながら、国王でもある父親ゆずりのゆるくウエーブが掛かっている金髪と俺の名前の語源でもあるサファイアの様な碧眼へきがん、周囲から母親譲りだと言われている容姿ようしを生かした変装へんそうに取り掛かる。この時ばかりは、亡くなった今世の母寄りの女顔と、王命で伸ばさせられている長い髪に感謝かんしゃだ。それらはとても吟遊詩人ぎんゆうしじんを語れる変装に今日も役立っている。

「…サフィール、君はリュートを抱えて何処どこへ行くつもりですか?」
「…カ…カルセドニー兄さん?!何時いつから…」
それは、ローブのフードを目深に被った時の事だった。
第二王子カルセドニーは父親譲りの青い目を細め怪訝けげんそうな顔で周囲を見渡し、他国からとついで来た母親譲りのサラッサラのプラチナブロンドで俺より長いストレートヘアな毛先をなびかせ「その下の派手な服装で化粧をし始めたくらいの時からですよ」と俺の所まで歩いて来る。
どうやら、薄暗い酒場や街灯の下で歌うための目鼻立ちを強調するメイク作業に気を取られ、周囲への警戒けいかいおろそかにしてしまっていたらしい。

「それにしても、不用心ぶようじん離宮りきゅうですね…、警備兵けいびへい何所どこで何をしているんですか?」
無論むろん、後ろ盾無しで嫁入りした元後宮勤こうきゅうづとめの女騎士な元平民へいみんが生んだ子にびへつらう人間は少なく…、王の現役な妃達の不興ふきょうを買うのが怖くて、成り手も無く…、ここ数年は担当者不在な状況じょうきょうが続いているのが現実なのだが…、どうやら、この兄上様は知らなかった御様子……。

 そう言えば、カルセドニー兄さんと会話をしたのとか、俺から声を掛ける用事も無かったしで数年振りに成るかも知れない。カルセドニー兄さんの方から俺に声を掛けてきたのも久し振りだな…、きっと兄さんは、今まで俺に興味が無かったのだろう……。

 俺は取りえず、前世でたのであろう[営業スマイル]と言うスキルを発動させ、それと連動するスキル[錯乱戦法さくらんせんぽう]と[陽動作戦ようどうさくせん]の効果を利用して「俺が、これから行く場所に興味きょうみはありませんか?」と、カルセドニー兄さんを城下まで連れ出す事に成功した。
連れ出した理由は単純明快たんじゅんめいかい。俺が住む後宮に、警備兵だけで無く使用人すら存在しない事を気付かれたくなかったからだ。

 何せ、俺の一つ前の前世は小市民…、服の脱ぎ着や風呂にトイレを御世話されるとか無理…、家の中で他人がウロウロしてるとか有り得ない……。オマケに、自分が住んでいる後宮に警備兵や使用人を置くと、成人済みの俺は自分で管理する義務ぎむが発生してしまうから面倒めんどう
そもそも、営業スマイルで錯乱・陽動したスライムが、後宮の美化と、悪意を持って侵入する者から俺や家財を守ってくれているので、自分が住む後宮に人間を置く必要性を感じていない。例え、後宮内に話し相手と成る者が存在しなくても、孤独を感じる事が無いし、俺が住む後宮が[オバケ屋敷]と呼ばれていようとも気に成らない。
風呂に入って寝る事と着替える事、汚れた物を生活魔法で綺麗にする事くらいしかしない場所に、人間を置くつもりは無いんだよね。ボッチ大好き!ボッチ生活こそ嗜好しこう!側に誰かを…と言うなら…、アイツ以外は欲しくない……。

 それはそうと、カルセドニー兄さんは、何用で俺が住む後宮に入って来て、俺に話し掛けたのだろうか?
混乱と言う状態異常のスライムが、食料と思い込んで捕獲行動ほかくこうどうに出なかった事から、兄さんに悪意が無かったのは明白だ。嫌味を言いに…とか、嫌がらせをしに来た…とか言うわけでは無いのだろう……。

 俺は「着てみたけど、思ったのと違ったから」と言う言訳いいわけをし、少し上等な物に着替え、軽く化粧をし直し、今後の事も考えた上で、営業先の中で治安ちあんが一番の良い地域の比較的ひかくてき高級な酒場へとカルセドニー兄さんを案内する事にしたのだった。
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