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2 掴まらない…

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 初っぱなから…うつ……。とうとう、カルセドニー兄さんがリセと勝手に名付けたスライムを俺の住む離宮から連れ出し、大事故を起こしやがりました。

 今まで俺の住む離宮にて、兄さん達を呼びに来た何名の従者じゅうしゃや、幾人いくにんのメイドが、首から下を丸い巨大化したスライムに包まれ、スライムに寄って脱がされ、俗に言う[あられもない姿]をさらす事に成り、スライムに寄ってある意味[果てる]まで、心が折れるまで痴態ちたいを演じさせられ、言葉で言い現すには言い辛い恥辱に塗れたはずかしめを受ける事に成った事でしょうか?これは、殺す事や傷付ける事を禁じる事で生まれた弊害です。スライムに捕まると、精神の方はスライムに認識できない事柄な為に放任ですが、肉体に傷を付けない範囲で体液を搾り取られる事に成るのです。(カルセドニー兄さんは、目の前で見た事すら忘れてしまったんですかね?)

「わ…私は、こんな事に成るとは思ってもいなかったのです!」(※カルセドニー兄さんマジで半泣き)
「いやいや…カルセドニー兄さん…俺は事前に何度も言いましたよね?注意事項として繰り返し伝えもしたよね?どんな事に成るのかも、実際に幾度かは見ましたよね?」
「…え…だって…悪意を持って、私の執務室を訪れる令嬢が存在するとは思わなかったんですもん」
「思わなかったんですもんって…」

 御令嬢はカルセドニー兄さんのストーカーだった御様子。その御令嬢と言う生き物は、カルセドニー兄さんの執務室に忍び込み、カルセドニー兄さん座席にて、何時いつの間に盗んだ物かは不明のカルセドニー兄さん使用済みなにがしかを手にしながら、まぁ~何と言うか、秘め事に耽りながらも、俗に言う負の感情を抱いてしまったらしい。
御見合い用に送り込まれた肖像画、引き裂かれた状態の証拠はスライムが御令嬢から剥ぎ取った衣服等と一緒にスライムの中で、そのままの状態を維持し保管されていた。

 因みに御令嬢は、俺がカルセドニー兄さんの執務室に呼び出されるまでの間に、何度か意識を取り戻し、悪態を吐き、その負の感情に反応したスライムに寄り、18禁と成るであろうエロな事態を繰り返しスライムから受けていたとの事。
スライムが捕らえた不審者(御令嬢である筈のカルセドニー兄さんに付いたストーカー)の提出指示を出す為、俺がカルセドニー兄さんの執務室に辿り着いた頃には、エロさよりキモさが先立つ御令嬢であったモノができあがっていたのだが、細かい詳細は、見て気持ちの良い状態では無かった為、割愛させて頂こう。(どうせ見るなら、キモさを感じない一番良いエロイ状態の時を見たかったなぁ~)

「…で、如何どうするんですかコレ…、俺は責任取りませんよ!スライムを飼ってたのは俺だけど、持ち出して、こんな事に成ったのはカルセドニー兄さんの所為ですからね!」
「私だって責任取るのは嫌ですよ!そもそも、私が下賜かしする訳もない私の私物を勝手に所持してる令嬢とか…普通に怖いし…、気持ちが悪いじゃないですか!」

 後日談、この御令嬢は窃盗の疑い等で修道院送りと成り、スライムの事に関しては、怪我を負わせた訳でも無いので無罪放免と言う事に成りましたとさ、めでたし?めでたしなのか?(性的暴行も怪我の内として処理される世界もあるけれど…、今世の世界では、相手がスライムだからか?その事情はノーカウントと言う事に成ったみたいだ)
そして、他にもストーカーが存在しては気の毒…、いや、それだけでは無く…、それ以前に、そう言う者が跋扈ばっこする環境は、城のセキュリティー的に問題があるのでは無いか?と言う意見と指摘を受け…、思い付きと悪ノリも含め…、カルセドニー兄さんの寝室や他の兄さん達の寝室を無人にする環境を故意に作り、スライムを仕掛けてみて…、その日の内に、俺は深く大きく溜息を吐く事に成るのである…ぶっちゃけ大漁でしたマジで……。

 更にその後の後日談…、俺は他に余計な被害を出さない為の後処理時…、スライムに…異物を吐き出すのと、小さくなって硝子の小瓶(使用済みの回復ポーション容器)へ入る様に固有スキル[営業スマイル]を駆使して指示を出しながら…心底思い、呟く……。
「…俺が掴まえたいのはアイツであって…、兄達に付いたストーカーどもを捕まえたかったのでは無いのだぞ…」と、でも俺の独り言は、誰に聞き咎められる事も無く普通に何事も無かったかの如くに周囲の人に聞き流された。

 兄達はスライムに捕らえられたストーカーらしき者達の存在を確認し、困惑した顔を見せ「あ~…うん…、女っ気の無い戦場でならば、男同士でなぐさめ合うってのはたしなみとしてあったにはあったけど…」とアガット兄さんとジャッド兄さんが言う。(そう言えば…、どこぞかの前世で出会った腐女子も、そう事柄が存在していた事を嬉しそうに明言してたな……)
「え?戦場ではそんな嗜みがあるのですか?だから私に対して、そう言う嗜好しこうを向けるやからがいたのですね…、私はてっきり、女扱いされているだけなのだとばっかり…」とカルセドニー兄さん。(カルセドニー兄さんの場合は多分、そう言う嗜みとか関係無く、御自身の魅力で釣れてしまった…ガチでマジな御話的アレなのではないかと…)と、まぁ~、何と言うか、男が男のストーカーにも狙われてるとか、気の毒だねって御話だ。皆、異性や同姓関係無くても良いが、普通の恋愛して欲しい。ストーカーはダメ!絶対!!

 ここで予断と成るが、今回の事で俺以外の我が王家の家系も、結構、性別関係無くモテている事が発覚したのは言うまでも無いであろう。
(俺も、モテたくはあるけど…、こう言うモテ方だけは、嫌だし、求めてないし、勘弁して欲しいかな…、城下で、荒くれ者達になら違う意味でモテてる俺が、そんな事を思うのもなんなんだけど……)と、色々考えてたら密かに凄く虚しくなった。モテるなら、金で買えない種類の綺麗な女性とかにモテたいと星に願う。
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