次期君主は山猫を飼い慣らしたいらしい

mitokami

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No03 次期君主は山猫を飼い慣らしたい

024 天葬の山

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 シャンマオの知らない所で、シャンマオよりシャンマオを知る事を目指す。ジエンの人心掌握に寄る包囲網が張り巡らされ、情報網が構築され行く中…、シャンマオは販売用の化粧水を煮出したり、煮出した物からガラス器具で成分を抽出したり…、香り良い油を取る為に実を砕いたり、弱い炎で加熱分離させたり…、手が離せる時には、片手間に本を読んだりと…、色々忙しく、商品の作成に勤み…、充実した時間を過ごしていた……。
コレはシャンマオが愛する。何時もと変わらない静かな1人の時間。
正確に言えば…、液体が地味に沸騰し、小さく泡を出す音、その為に微かに振動し、硝子器具と機材を支える金属器具が奏でる音、器具を通り、吹き出す蒸気の音…、チョイチョイ身近に…、この辺で一番大きい禿鷲が1羽、室内に入り込みシャンマオの横に居たりもするが…、それは、シャンマオにとって一番の基本となている日常であった……。

 その顔は怖いけど、とても優しい禿鷲。幼き日のシーツーとシャンマオが命名隊長ドゥイジャンは、何故か、昔から砂浴びする時に季節の花の花弁を砂地に混ぜ砂浴びをしているので、何時も良い香りがしている。シャンマオが、この廃村で1人になってからは…、何処かに薔薇の花が咲いている限り…、シャンマオと同じ感じの香りを身に付けて、シャンマオに寄り添ってくれ…気遣いの出来る…気の良い禿鷲なのだ……。
今日も、シャンマオの様子を見に来たのであろう、ドゥイジャンは器用に扉を開けて室内に入り、シャンマオが寝床にしている場所に陣取り「そろそろ休憩しろよw」と言わんばかりに、嘴に咥えた果物の実が付いた木の枝を揺らし音を立てて、休息を取るように催促し出す。

 シャンマオは「ドゥイジャンには敵わないなw」と苦笑し、火を消して、そのまま置いておけない物だけ片付け、蓋をし、ドゥイジャンの前で目線を合わす様に屈み、枝付きの果実を受け取った。
今日のドゥイジャンからの差し入れは、シャンマオでも気兼ねせず、そのまま食べられる物だった。時々、まだ食べるには早く青い果実や、人間には生で食べられない物、何処かの人間から掻っ払って来たであろう物が混じっているのだから仕様が無い。今回、シャンマオは胸をなでおろし…、ドゥイジャンが持って来た枝から蜜柑と葉を取り、葉は茶葉用に、蜜柑の皮は陳皮ちんぴ用に干す為、乾燥させる為の籠に保管して…、皮を剥いた中の実だけ持ってドゥイジャンの横に座わって実を食べ始め…小さく呻く…柑橘系の酸味が風邪気味の喉に染みたのだ……。

 シャンマオは大きく溜息を吐き「やっぱ、人里に毎週降りてくの面倒だなぁ~…、採取と生成、機材の手入れに、使う布の洗濯の時間も削れないから、普段の掃除・洗濯・菜園の世話や、狩りの時間が足りなくなってんだよな……。」とドゥイジャンに愚痴って、そのまま寝転がる。
ドゥイジャンは腰を上げ、嘴でシャンマオに器用に毛布を掛け、添い寝する様に座り直し、シャンマオを翼で抱き寄せ、今日は柑橘系の木の香りもする翼でシャンマオを温めてくれた。
温かく柔らかい羽毛がシャンマオに触れて安らぎを与え、何時の間にか積もり重なった疲労がシャンマオの思考力を奪って行く。
「次、山を下りるまでにやっとかなきゃ駄目な作業…あるのに……。」
こうして、シャンマオの体調を心配したのであろう、ドゥイジャンにシャンマオは寝かし付けられてしまうのであった。

 その頃、ジエン達一行は…、山の麓まで来ていた。
本当なら午前中に目的地に着いている筈だったのだが…、ジエンが寄り道し、交友関係を広げると言う名の道草を食い、昼食を屋台飯で食べる事に成り…、意外と繊細なドウンが飯も食えない程弱っていて、移動も遅くなり…、本来なら目的地から下山を考えなければ不味い時間に、まだ、山に登れず、麓で…、目印を探しウロウロする事になっていたのだ……。
ハオシュエンとハオユーは、口々に「「登るのは、明日にしませんか?」」と言ったのだが、ジエンは「そうか、オマエ達はそうすると良い」と言い。まだ、顔色の優れないドウンもジエンと一緒に行くと言うので、仕方無しに同行する事にする。
「覚悟決めなきゃだな…」
「ジエン様もドウン様も…、僕等が何言っても聞かなそうだもんねw」
「神にでも祈っとくか?」
「天に向かって?何か逆に御迎えが来そうで怖いねw」
「確かに……。」
ジエンとドウンは、年上な配下達の気持ちも知らずに、地図に書き込まれた目印を必死になって探していたのであった。
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