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003 あやかしの食卓 2
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軽食を食べた後、泰親は、頭痛と酷い眠気に襲われた。それに気付き「仮眠が取れる場所を貸したげる」と微笑む葛葉…、その会話の途中で頷きつつも意識を手放した泰親…、そして、妖士に寄って泰親がベットに運ばれたと言う事は、ちょっっとした小ネタと思って頂いて……。
ここで本題、その最中にも、泰親を呼び続けていた携帯電話の着信音。
現世と表裏一体で、普通の人の目では垣間見る事も出来ない幽世にて、着信の度に携帯電話に向かって飛んで来ようとし、樟の林に阻まれ、妖士に寄って虫取り網で捕獲され虫籠に詰められる空を舞う虫達。葛葉は泰親を休ませた客室の窓を開け放ち空を見上げ「小ぶりね…もう少し大きければフライでも良かっただろうに……」と溜息を溢し、樟の林の上から「かき揚げとかならどうですか?」と言う妖士に対して「気分じゃ無い。今はグラタンかドリアな御口だわw」と、泰親の眼鏡を外し、泰親の前髪を手櫛でかき上げながら、少しばかり遠距離めであるのにも関わらずに声を張らず妖士と普通に会話をしていた。今日の昼御飯は洋食らしい。それと、泰親は、まだ知らないけれど、人知れずの摩訶不思議現象が、この場所では普通に存在していた。
風が吹き、木々が揺れ奏でられる音と樟の香りの共演。リラックス効果を得た風が泰親の頬を撫でる。
暫くして目を覚まし眼鏡を探す泰親に対して、葛葉は「もう、視力を補強する眼鏡は必要無いのよ」と声を掛けた。泰親は何を言ってるんだ?と言わんばかりの表情で目を擦り…、次の瞬間、目を見開き、周囲を見渡し、クリアな視界に戸惑う……。そんな泰親に対して葛葉は「落ち着かないなら、ブルーライトカットの度無しの眼鏡を進呈してあげるw」と言いながら、泰親が所持していたダサイ眼鏡よりスタイリッシュなデザインの伊達眼鏡を手渡した。何故か泰親は、今は眼鏡が無くても見えるのに、葛葉から手渡された眼鏡を掛け、落ち着いた御様子だ。その心理を理解するのは難しいが、眼鏡属性愛好家の為に、これはこれで良しとしよう。
街の喧騒は勿論、虫の音、鳥の声すら聞こえて来ない。木々のザワメキ以外存在していない静かな部屋。樟が防音に適しているとは言え静か過ぎる室内。泰親も流石に、そろそろ違和感を覚えて鳥肌を立て、ソレを誤魔化すかの様に「目が見えるように成ったのって、超常現象的なアレだったりしてw」と冗談めかして、その言葉を口にする。葛葉は、その発想力に感心したかの御様子で「あらやだw面倒な説明は不要みたいねww」と笑い「ラノベって分類の小説の御陰かしら?最近の人の子は人智を越えた領域に寛大で助かるわ♪」と喜んで…ピンッと上に向かって尖ったモフモフの耳と、9本のモッフモフな尻尾を泰親に見せ…「百聞は一見にしかず♪見て察して御狐様である私を敬いなさいwもう今日から君は、10世紀頃から稲荷大明神の御使いをやっている私の部下なのよw」と言った。
泰親は外れて欲しかった苦手なオカルトの類いと言う予測が当たり、放心し、葛葉の最初の方の言葉以外を聞き流し、葛葉の背後で「平安時代末期には妖狐と呼ばれて、日本三大妖怪の一匹として名を馳せていませんでしたか?」と妖士が茶々を入れたのも聞き逃す。
暫しの時間を経て、ゆっくりファンタジックな現実を受け入れていく泰親。そんな現実を逃避した泰親の意識と気持ちが戻って来るまでに、葛葉の指示で昼食が食べられる様に準備されていく室内。時間の経過と共に部屋の空気は、仄かに甲殻類系の風味と、チーズの焼ける香りを漂わせ始めていた。次第に強くなっていく美味しそうな香りに腹を鳴らし、泰親は現実へと戻って来る。
そんな泰親の目の前には…、9本の尻尾を一本に纏めて優雅に揺らし、紅茶を飲みながら耳をピンッと立てた葛葉と…、泰親が記憶している妖士の顔そっくりな怖い顔の能面を被った妖士の姿があった……。妖士の能面の面構えを目にし、意識を再び飛ばさずとも言葉を無くす泰親。
妖士に笑わそうと言う意図も、場の雰囲気を和らげようと言う気配りも無いのだが、現在、泰親の目には、妖士の御陰で、葛葉の姿が仮装の様に見えていた。これは偶然か?それとも神的な何かの悪戯か?と言うネタ的なエピソードはさておき…、魂が抜けた様にボ~っとしていた泰親が、意識を持って自分達を見ているのに気付いた葛葉は、嬉しそうに手をポンッと叩き…「冷める前に戻ってきてくれて良かったぁ~♪一緒にグラタン食べましょw」と微笑む……。
こうして始まった夕食。葛葉の「美味しいでしょ?」「妖士の手に掛かれば、不遇食材も美食で美味に変わるのよw」「泰親は今日から毎日、美味しいゴハンが食べられる事に感謝なさいよね♪」と言う意味深発言を無視するならば、食器の音を微かに鳴らし、恙なく進む食事。
葛葉の話を聞き流し続け、時折、妖士の方を見て一瞬、ピタッと動きを止める泰親。見られている事に気付く度「グラタンを注ぎ足しましょうか?」と言い、泰親の曖昧な了承を得て、大きなグラタン皿から料理を取り分け、泰親の皿に足していく妖士。
何にも知らない。知ろうともしなかった泰親は食べ過ぎた所為か?また、眠くなり、寝てしまっての翌日の朝。自分が食べてしまっていた存在の正体を目にし耳にし、目の当たりにして…、不用心に携帯電話を預け「どうにか出来るのなら、御願いしたいですけど…」と願い出てしまった事…、何も考えず提供された食事に手を付けてしまった事を後に後悔するのだった……。
泰親が不用心に眠ってしまった夜の事。
「子供の頃に、知らない人から貰った物を口にしては駄目って習わなかったのかしら?」
葛葉が満面の笑みを浮かべてクスクス笑い。
妖士が「そもそも、貴女は人でも無いでしょうに…」と表情無くポツリと呟いたのは、必然的な事であっただろう。
ここで本題、その最中にも、泰親を呼び続けていた携帯電話の着信音。
現世と表裏一体で、普通の人の目では垣間見る事も出来ない幽世にて、着信の度に携帯電話に向かって飛んで来ようとし、樟の林に阻まれ、妖士に寄って虫取り網で捕獲され虫籠に詰められる空を舞う虫達。葛葉は泰親を休ませた客室の窓を開け放ち空を見上げ「小ぶりね…もう少し大きければフライでも良かっただろうに……」と溜息を溢し、樟の林の上から「かき揚げとかならどうですか?」と言う妖士に対して「気分じゃ無い。今はグラタンかドリアな御口だわw」と、泰親の眼鏡を外し、泰親の前髪を手櫛でかき上げながら、少しばかり遠距離めであるのにも関わらずに声を張らず妖士と普通に会話をしていた。今日の昼御飯は洋食らしい。それと、泰親は、まだ知らないけれど、人知れずの摩訶不思議現象が、この場所では普通に存在していた。
風が吹き、木々が揺れ奏でられる音と樟の香りの共演。リラックス効果を得た風が泰親の頬を撫でる。
暫くして目を覚まし眼鏡を探す泰親に対して、葛葉は「もう、視力を補強する眼鏡は必要無いのよ」と声を掛けた。泰親は何を言ってるんだ?と言わんばかりの表情で目を擦り…、次の瞬間、目を見開き、周囲を見渡し、クリアな視界に戸惑う……。そんな泰親に対して葛葉は「落ち着かないなら、ブルーライトカットの度無しの眼鏡を進呈してあげるw」と言いながら、泰親が所持していたダサイ眼鏡よりスタイリッシュなデザインの伊達眼鏡を手渡した。何故か泰親は、今は眼鏡が無くても見えるのに、葛葉から手渡された眼鏡を掛け、落ち着いた御様子だ。その心理を理解するのは難しいが、眼鏡属性愛好家の為に、これはこれで良しとしよう。
街の喧騒は勿論、虫の音、鳥の声すら聞こえて来ない。木々のザワメキ以外存在していない静かな部屋。樟が防音に適しているとは言え静か過ぎる室内。泰親も流石に、そろそろ違和感を覚えて鳥肌を立て、ソレを誤魔化すかの様に「目が見えるように成ったのって、超常現象的なアレだったりしてw」と冗談めかして、その言葉を口にする。葛葉は、その発想力に感心したかの御様子で「あらやだw面倒な説明は不要みたいねww」と笑い「ラノベって分類の小説の御陰かしら?最近の人の子は人智を越えた領域に寛大で助かるわ♪」と喜んで…ピンッと上に向かって尖ったモフモフの耳と、9本のモッフモフな尻尾を泰親に見せ…「百聞は一見にしかず♪見て察して御狐様である私を敬いなさいwもう今日から君は、10世紀頃から稲荷大明神の御使いをやっている私の部下なのよw」と言った。
泰親は外れて欲しかった苦手なオカルトの類いと言う予測が当たり、放心し、葛葉の最初の方の言葉以外を聞き流し、葛葉の背後で「平安時代末期には妖狐と呼ばれて、日本三大妖怪の一匹として名を馳せていませんでしたか?」と妖士が茶々を入れたのも聞き逃す。
暫しの時間を経て、ゆっくりファンタジックな現実を受け入れていく泰親。そんな現実を逃避した泰親の意識と気持ちが戻って来るまでに、葛葉の指示で昼食が食べられる様に準備されていく室内。時間の経過と共に部屋の空気は、仄かに甲殻類系の風味と、チーズの焼ける香りを漂わせ始めていた。次第に強くなっていく美味しそうな香りに腹を鳴らし、泰親は現実へと戻って来る。
そんな泰親の目の前には…、9本の尻尾を一本に纏めて優雅に揺らし、紅茶を飲みながら耳をピンッと立てた葛葉と…、泰親が記憶している妖士の顔そっくりな怖い顔の能面を被った妖士の姿があった……。妖士の能面の面構えを目にし、意識を再び飛ばさずとも言葉を無くす泰親。
妖士に笑わそうと言う意図も、場の雰囲気を和らげようと言う気配りも無いのだが、現在、泰親の目には、妖士の御陰で、葛葉の姿が仮装の様に見えていた。これは偶然か?それとも神的な何かの悪戯か?と言うネタ的なエピソードはさておき…、魂が抜けた様にボ~っとしていた泰親が、意識を持って自分達を見ているのに気付いた葛葉は、嬉しそうに手をポンッと叩き…「冷める前に戻ってきてくれて良かったぁ~♪一緒にグラタン食べましょw」と微笑む……。
こうして始まった夕食。葛葉の「美味しいでしょ?」「妖士の手に掛かれば、不遇食材も美食で美味に変わるのよw」「泰親は今日から毎日、美味しいゴハンが食べられる事に感謝なさいよね♪」と言う意味深発言を無視するならば、食器の音を微かに鳴らし、恙なく進む食事。
葛葉の話を聞き流し続け、時折、妖士の方を見て一瞬、ピタッと動きを止める泰親。見られている事に気付く度「グラタンを注ぎ足しましょうか?」と言い、泰親の曖昧な了承を得て、大きなグラタン皿から料理を取り分け、泰親の皿に足していく妖士。
何にも知らない。知ろうともしなかった泰親は食べ過ぎた所為か?また、眠くなり、寝てしまっての翌日の朝。自分が食べてしまっていた存在の正体を目にし耳にし、目の当たりにして…、不用心に携帯電話を預け「どうにか出来るのなら、御願いしたいですけど…」と願い出てしまった事…、何も考えず提供された食事に手を付けてしまった事を後に後悔するのだった……。
泰親が不用心に眠ってしまった夜の事。
「子供の頃に、知らない人から貰った物を口にしては駄目って習わなかったのかしら?」
葛葉が満面の笑みを浮かべてクスクス笑い。
妖士が「そもそも、貴女は人でも無いでしょうに…」と表情無くポツリと呟いたのは、必然的な事であっただろう。
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