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Contrary 混沌
007
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結果から言うと…、その場所を歩行するに相応しくない時間、馬車が行き交う道を徒歩で歩いていたゾンネとリンクは…、その地区を担当する騎士に職務質問の為、詰め所まで連れて行かれました……。
連行されて行く荷馬車の上、俯き焦り緊張し押し黙るリンクに対して、ゾンネは顔を引き攣らせ怒りを見え隠れさせながら「坊ちゃん、暫く黙って良い子にしていて下さいね?」と微笑みます。勿論、半分演技です。リンクも、それが演技なのは理解していましたが、リンクは、ゾンネが言った言葉に対して何か言いたそうです。当たり前の事ではありますがゾンネは普通に、その事を無視しました。そんな事を気にしている余裕は、今現在ありません。
年若い騎士達は新人で、貴族の子弟ではあっても、リンクが社交界に居た頃は、まだ未成年だった事でしょう。面識無し。まだ、面が割れていないのです。このチャンスを逃す訳にはいきません。
ゾンネは幾つか持っている異国の商会組合の会員証の一つを身分証明書として提示し、金貨を取り出して営業スマイル「御手数掛けて申し訳ありません。もし良ければ、解放後、それなりの金額で泊まれる宿屋を紹介して欲しいのですが…」と言いながら「ウチの坊ちゃんってば、今、問題起こすと不味いんよw職質受けた、も、アウトかもやし、坊ちゃんだけでも見逃したって貰えませんかね?」と交渉していました。が、こう言う時に限って、融通の利かない。面倒臭い程に真面目な奴が交渉の邪魔をするのです。と、まぁ、こんな訳で連行された先、詰め所には顔見知りがいたりして、尋問されると言う最悪な事態には陥りませんでしたが、荷物も衣服も剥ぎ取られ、洗われ、着飾らされて、現在の国王レヒトの元へ強制連行される事となるのでした。
連れて行かれた王城の謁見の間。目の前の扉が開き、謁見の間に入る時、ゾンネは一瞬だけレヒトを見ました。久し振りに見るレヒトは、大人びていて昔の面影を残しながら王様の貫禄を持ち合わせています。前国王と似て非なる存在感です。そして、国王の席にレヒトが座り…、王妃が座る席には、ゾンネの妹であるモーント以外の者が座っていました……。異国の王族出身の王妃様なのだそうです。
謁見の間に入った後、所定の位置に跪き、国王であるレヒトの側近に命ぜられるまで、顔を上げないのが、この場の一般的なルール。
王妃を含めた部外者をレヒトが冷たい声色で「全員下がれ」と言って有無を言わせず追い出し、ゾンネとリンクの前に降り立つまで、ゾンネとリンクは身動ぎもせず。レヒトが「リンクは言わずと知れた王族血統。ゾンネの方も、両親共に市井に下った貴族の末子。庶民として生を受けたとは言え、血統書付だ。その誇りと、血統に寄る優遇された環境を捨て…、混ざり者として異国に渡っていたとは盲点だった……」と溜息交じりに言うまで、ゾンネとリンクは、その場で俯き続けていました。
ゾンネは、俯いたままレヒトの言葉に心底動揺します。ゾンネは両親が庶民落ちした貴族の末子だったとか、自分が純血種だとかを知らなかったのです。そしてゾンネは、両親の事を久し振りに思い出し、一部分は納得しました。
母親は浮世離れした御花畑脳。売り手が「不景気で困っている」と言えば無計画に買うし、買った物は「欲しかった訳では無いから」と勝手に配るし、求められれば寄付やら援助やらしやがりまして、借金までしてしまう程の馬鹿。
父親も甘言を鵜呑みにして騙される大馬鹿者。どんな嘘臭い嘘も繰り返し言われれば信じるし、最初に信じていたモノより、耳にした明らかな嘘の方に味方が多ければ、ソレが真実だと言い張って盲信し、真実を調べも確認もしない愚か者だったのです。
市井に下った時の血統に寄る優遇に付いては、母親が母親になる前に教会に寄付を申し出ていた為に手元に届かず。ゾンネが知っているのは住んでた荒ら屋の大家さんが御厚意で押し付けてくれた母親の内職、刺繍で得た生活ギリギリの収入のみ…、父親に付いては以下略……。ゾンネは父親に家に金を入れる甲斐性があるのを見た事がありませんでした。悪しからず。
連行されて行く荷馬車の上、俯き焦り緊張し押し黙るリンクに対して、ゾンネは顔を引き攣らせ怒りを見え隠れさせながら「坊ちゃん、暫く黙って良い子にしていて下さいね?」と微笑みます。勿論、半分演技です。リンクも、それが演技なのは理解していましたが、リンクは、ゾンネが言った言葉に対して何か言いたそうです。当たり前の事ではありますがゾンネは普通に、その事を無視しました。そんな事を気にしている余裕は、今現在ありません。
年若い騎士達は新人で、貴族の子弟ではあっても、リンクが社交界に居た頃は、まだ未成年だった事でしょう。面識無し。まだ、面が割れていないのです。このチャンスを逃す訳にはいきません。
ゾンネは幾つか持っている異国の商会組合の会員証の一つを身分証明書として提示し、金貨を取り出して営業スマイル「御手数掛けて申し訳ありません。もし良ければ、解放後、それなりの金額で泊まれる宿屋を紹介して欲しいのですが…」と言いながら「ウチの坊ちゃんってば、今、問題起こすと不味いんよw職質受けた、も、アウトかもやし、坊ちゃんだけでも見逃したって貰えませんかね?」と交渉していました。が、こう言う時に限って、融通の利かない。面倒臭い程に真面目な奴が交渉の邪魔をするのです。と、まぁ、こんな訳で連行された先、詰め所には顔見知りがいたりして、尋問されると言う最悪な事態には陥りませんでしたが、荷物も衣服も剥ぎ取られ、洗われ、着飾らされて、現在の国王レヒトの元へ強制連行される事となるのでした。
連れて行かれた王城の謁見の間。目の前の扉が開き、謁見の間に入る時、ゾンネは一瞬だけレヒトを見ました。久し振りに見るレヒトは、大人びていて昔の面影を残しながら王様の貫禄を持ち合わせています。前国王と似て非なる存在感です。そして、国王の席にレヒトが座り…、王妃が座る席には、ゾンネの妹であるモーント以外の者が座っていました……。異国の王族出身の王妃様なのだそうです。
謁見の間に入った後、所定の位置に跪き、国王であるレヒトの側近に命ぜられるまで、顔を上げないのが、この場の一般的なルール。
王妃を含めた部外者をレヒトが冷たい声色で「全員下がれ」と言って有無を言わせず追い出し、ゾンネとリンクの前に降り立つまで、ゾンネとリンクは身動ぎもせず。レヒトが「リンクは言わずと知れた王族血統。ゾンネの方も、両親共に市井に下った貴族の末子。庶民として生を受けたとは言え、血統書付だ。その誇りと、血統に寄る優遇された環境を捨て…、混ざり者として異国に渡っていたとは盲点だった……」と溜息交じりに言うまで、ゾンネとリンクは、その場で俯き続けていました。
ゾンネは、俯いたままレヒトの言葉に心底動揺します。ゾンネは両親が庶民落ちした貴族の末子だったとか、自分が純血種だとかを知らなかったのです。そしてゾンネは、両親の事を久し振りに思い出し、一部分は納得しました。
母親は浮世離れした御花畑脳。売り手が「不景気で困っている」と言えば無計画に買うし、買った物は「欲しかった訳では無いから」と勝手に配るし、求められれば寄付やら援助やらしやがりまして、借金までしてしまう程の馬鹿。
父親も甘言を鵜呑みにして騙される大馬鹿者。どんな嘘臭い嘘も繰り返し言われれば信じるし、最初に信じていたモノより、耳にした明らかな嘘の方に味方が多ければ、ソレが真実だと言い張って盲信し、真実を調べも確認もしない愚か者だったのです。
市井に下った時の血統に寄る優遇に付いては、母親が母親になる前に教会に寄付を申し出ていた為に手元に届かず。ゾンネが知っているのは住んでた荒ら屋の大家さんが御厚意で押し付けてくれた母親の内職、刺繍で得た生活ギリギリの収入のみ…、父親に付いては以下略……。ゾンネは父親に家に金を入れる甲斐性があるのを見た事がありませんでした。悪しからず。
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