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インディゴブルー・ユー
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私すごく不安だった。泣きたくなるほどに。その度に君にどれだけ救われたか、君は知らないでしょう?
小さな街の大きな塔の窓辺で私は彼を見つけた。
小野町 花乃(26)画家 (臨時で美術教師)
「はぁーなんで私って結婚できないんでしょう。」
結婚なんて、時が来ればみんなそれなりにできるものだと思っていました。
「小野町先生またその話ですか?」
「両親は花乃が幸せならいいんだよって言ってるんですけど、両親も若くないんで、やっぱり孫の顔見せたいんです。」
「あー。小野町先生のご両親ってお年ですもんね。」
「はい、でもその分、たっぷりの愛情で育ててくれました。」
「いい両親ですね。」
「ええ。」
「そういえば小野町先生、僕のクラスに、雪見 静って言う男がいるんですけど、ずっと他の奴らと授業サボってるんですよ。この前注意したら、女の先生とじゃないと話したくないって言われました。小野町先生話してみてくれません?」
「雪見 静くんですか?本当に?」
「ええ、授業を受けないで有名な生徒です」
「本当ですか?彼、美術の授業は受けていきますよ。優秀なんです」
「それこそ本当ですか?」
「もちろん。」
(あー。疲れた。個展に出す絵も完成してないし、生徒の成績付けて、テストも作らなきゃ。恋をしてる暇なんてないよ)
「ーでさー!」
(?)
あれは、雪見くん?
「どうしたんですか?授業中ですよね。受けないんですか?」
「花!」
「だってめんどくさいし、」
「そーそー!楽しくない!」
「ふふっそうですね、先生も休憩しようかなって思ってたんです。混ざってもいいですか?」
「花ちゃん先生話してくれんの?!」
「はい。楽しくないのは面白くないでしょう?」
「ー。」
「雪見くんたちは、美術の授業は出てくれますよね。どうして他の授業は受けないんですか?」
「俺は、授業に出たら必ずこの髪の色の文句を言われるんだ。こいつらも、俺の周りにいるってだけでいびってくる奴もいる。でも花乃先生の授業ではなんも言われないから、」
「言ったら辞めるんですか?」
「……」
「やめないでしょう?いいんですよ、それで、授業サボって遊ぶのも、校則違反で髪の毛を染めるのも、学生の特権なんですから、大人になったらできないんですよ。先生も今学生時代に戻れるなら授業をサボって校則違反をしてみたいです。先生は後悔ばかりの学生時代を過ごしました。雪見くんたちは後悔がないようにめいいっぱいたのしんでくださいね。でもせめて、酒田先生の授業は受けてあげてください。昨日飲みに行った時泣きながら相談してきたんですよ?」
「あんた、ほんとに先生か?」
「はい。臨時ですけど免許はありますよ。」
「でも髪色は注意するべきなんじゃね?先生として」
「そうかもしれません。でも雪見くん授業の度に髪色変わっててなんだか面白いんですよね。私が1番好きだったのは、この前までのやつですね、勝色の。」
「勝色?」
「くすんだ紺色のことです。あぁもうこんな時間、絵を描かなきゃ行けないので戻りますね。そうだ、和紗くん、家に帰ってあげてくださいね。」
「おい!和!どういう関係だよ!花ちゃん先生と」
「家庭教師だったんだよ。花が20歳の時大学が近いからってうちのマンションに越してきてたまたま隣で、1年だけ受験の時期だけやってもらったり今でもテストの時とか来てもらってる。」
「和の家の近くって、T大くらいだろ?」
「花はそこの現役のトップ入学だよ。昔はちょっと荒れてて、福岡の鬼軍曹って呼ばれてたみたい。」
「福岡の鬼軍曹って、中学2年で高校生ヤンキー50人を配下に置いた、怒ると軍人の様な喋り方になるっていう?!有名な話だよ!普段の敬語でさえも恐ろしく思えるらしい。」
「あー。花的には元々武道はやってたらしいけどたまたま友達が虐められてて助ける時敬語だと威厳がないからその時読んでた不良ものの漫画の真似したら板に着いちゃったんだって。」
「へー。」
「なぁ静、授業受けてやろーぜ。」
「なんで?」
「俺らは別に大丈夫だから、知ってるか?花、今個展の準備やら何やらで忙しくて休む暇もないらしい。今の休みだって本当は暇じゃないんだぜ。」
「ふーん。」
「小野町先生ー!聞いてください!雪見のやつ!授業出たんです!」
「わぁ!良かったですね!」
(良かった。)
「雪見くん!授業受けたんですね!はいこれ!ご褒美です。いいこにはこういう風にするんです内緒ですよ、」
「子供扱いですね。これ。」
「子供ですよね」
「あー!どうしよう!絵の題材が決まらない!夜景でも書こうかな。」
「久しぶりだなここ。」
月の光に照らされて、見えた勝色の髪の毛。
「雪見くん?」
「花乃先生……」
「どうしたんですか?こんな時間に、」
「先生こそ。」
「私は絵を描きに、」
「絵、行き詰まってるんですか?」
「はい。お恥ずかしい限りですが。ダメですね私、個展まで開けてしっかりしないとなのに、筆を持ってもまるで何も浮かばない。」
「何か、困ってることでも?聞きますよ、いつも迷惑かけてるお礼です」
「じゃあ少し聞いてもらいましょうかね。私、両親が42歳の時の子供なんです。今私は23で、両親は65、お世辞にも若いとは言えない年齢になって来てだんだん老いていく両親が私の傍から消える未来が怖くなりました。両親の年齢が上なことをバカにしてくる人もたまにいますが、そのせいか両親はたっぷりの愛情で育ててくれました。そんな両親が寿命も近くなって来て私はまだ恋人でさえ紹介することが出来てません。せめてこの世を去る前に、孫くらい抱かせてあげたい。様は焦ってるんですよ婚期逃すかもって。」
「。恋人いた事ないんですか?」
「ありますよ、ただ学生の頃は恥ずかしくて言う勇気さえ無かった。私にだって彼氏がいたことあって、それなりにやることやってるんですから」
「え。先生処女じゃないんですか?鬼軍曹なのに?」
「まぁそれは大人ですから。ていうか!なんでそれ知ってるんですか?!もう!和紗くんですね!」
「先生明日もここに来ますか?」
「来るかもしれません。そうですね、明日はコーヒーでも持ってきましょうか。」
「雪見くん、学校でいびってくる先生がいるって言ってましたけど、校長先生に言いましょうか?」
「そんなことしたら、あいつらもっと生活しにくくなるだろ。それに俺が悪いんだから。」
(わかってるんだ。)
ー学校ー
(雪見くんちゃんとしてるかなぁ)
「ー!!」
??
「お前らいい加減にしないか!」
「あ!酒田先生どうしたんですか?」
「雪見たちに痺れを切らして、今川先生が」
「雪見!お前のくだらないプライドに人を付き合わせるな!」
「なんだよ!先生!静を悪く言うな!」
「そうだ!ほっといてくれ!」
「授業に出ても、いびってくるのは先生だろ?!」
「ええい!うるさい!お前らみたいに、髪を染めてちゃらちゃらしてる様なやつにはそんなこといえる価値なんてない!そんなだから頭も悪いんだ!」
やめて、私の憧れが潰されていく美しかった青春が悪者になっていく。
「っなんだと?!」
『今川が杖を振り下ろす。』
「ダメ!」
「小野町先生?!」「花乃先生!」
ゴンッ!
「……」
「花!?」「小野町先生!血が…」
「何を、」
「してるんですか!あなたは!」
(鬼軍曹……?!)
「ふんっ!」バキィ!
(杖折ったよこの人)
「自分より一回りも若い人に杖で殴り掛かるなんて底辺の人間のすることよ!髪の毛染めてちゃらちゃらしてる様なやつは学も価値もないと言ったけれど。それは、髪を染めてピアスも開いている私を侮辱しているんですか?」
「これは教師としての、教育です。」
「ふっ。思い上がんじゃないわよ。守るべき生徒を貶し、虐め、まだ綺麗な体に傷をつけようとするあなたのどこにその教育とやらをする資格があるの?!この子たちのことを決めつける資格があるの!」
「臨時の教師風情が!教育のことに口を出すな!そもそもそいつらが悪いんだろ?!」
「教師風情で結構、あなたのような老けただけの子供がその、教師だと言うのなら私はそんなものにならなくていい。私はそうやって人を見下すことしか知らない愚図より、自分を曲げずプライドを守り抜いた、この子たちの方が立派に思えて仕方ないからよ。確かに彼らも校則を破りすぎたかもしれない、でもこんなあなたの授業に受ける価値がある?」
「うるさい!小野町先生?学生時代は相当荒れてた様ですね。感情移入がすぎませんか?あなた学生時代教師にそういう風に言われていたのではありませんか?」
「私を馬鹿にするのはいい。文句を言うのも結構!でも雪見くんと和紗くんたちは馬鹿にされていい子じゃない!」
「今川先生どういうことですか?」
「校長先生!」
「うちの、うちの可愛い姪っ子になに傷つけてるんです??!」
「姪っ子?!」
「あ!京子おば様こんにちわ」
「花ちゃん、こんにちわ」
……
「全く、花乃先生やりすぎですよ、」
「そうですか?はいコーヒー」
「あざす。先生、恋人作らないの?」
「どうしてですか?」
「俺、先生のこと好きになっちゃった。」
「……雪見くん君は結婚なんて考えてないでしょう?」
「まぁ今は」
「私はもう結婚を考えて付き合う大人なんですよ、君の思いつきで軽く付き合っていられる余裕はないです。」
「軽くなんて、思ってねぇよ。」
「3ヶ月前、花乃先生が臨時教師として来た時、自画像の油絵の授業で、先生が俺に、君は髪の毛の色が綺麗だから絵を描くのも楽しいでしょう?って言いました。大人に認められるなんて思ってなかったから嬉しかったんだ。だから先生の授業だけは受けるようにしてた、そしたらまた次第に先生のことがわかってきて、色は暖色より寒色が好きなのかなとか、髪型は毎日違ってるなとか、服とネイルを合わせるようにしてて、オシャレだなとか。初めはただ新鮮だったけど、途中から俺先生に会いに行ってた。」
「そんな、私は、結婚して孫の顔をって、でもどうしよう。」
「考えさせて?、」
「花ー!」
「!!」
「さっきから呼んでるのに!」
「絵を考えてて、何を書いたらいいんだろうって。」
「うーん俺には絵はわかんないけど、好きな物描いたら?」
私の好きな物
雪見くんと会うあの塔から見る夜景、月明かりに照らされた勝色、誰かと飲むコーヒーの味
あぁそうか私。
「そうですね、私の個展見に来てください、入口の1番目立つところに好きなものを飾っておきますからぜひみんなと一緒に。」
「うん行くね!絶対!」
『小野町 花乃、個展 花の宝石箱』
私の好きな物、力強くて、かっこよくて輝いて見える青春の中心、誰より輝く勝色の髪、夜空を溶かしたように、心に落ちていく、その感覚が私は心地よかった。
「でっきたー!」
「花の個展すげーね!」
「ああ。」
ん?、
花の宝石箱 作者メッセージ
私は現実なんてとても見れません。
今がもし夢なら冷めてしまうかもしれないでしょう?私が出会った中で何より輝く勝色に引き寄せられるその引力があまりにも幸せで、現実なんて見ていたら、ダメなんだって思います。
世界でたった1人の君へ、私が送る。
最高のプレゼント
勝色のきみ。
月明かりに照らされて、光り輝く勝色の夜を溶かした。
「これ、静だよな。」
「馬鹿だよ。アンタ」
「雪見くん?」
「どうしてあんなことすんだよ。俺は花乃先生が好きだ。」
「私、君と一緒に過ごす時間が幸せでいつか夢が覚めるんじゃないかって怖かったんです。でも雪見は今ここにいますね」
私、あなたが好きなの、23年も待って、やっと見つけた。
「好きです。雪見くん」
「うん。」
不安で仕方無かった。それでも君がいれば大丈夫だよ。
小さな街の大きな塔の窓辺で私は彼を見つけた。
小野町 花乃(26)画家 (臨時で美術教師)
「はぁーなんで私って結婚できないんでしょう。」
結婚なんて、時が来ればみんなそれなりにできるものだと思っていました。
「小野町先生またその話ですか?」
「両親は花乃が幸せならいいんだよって言ってるんですけど、両親も若くないんで、やっぱり孫の顔見せたいんです。」
「あー。小野町先生のご両親ってお年ですもんね。」
「はい、でもその分、たっぷりの愛情で育ててくれました。」
「いい両親ですね。」
「ええ。」
「そういえば小野町先生、僕のクラスに、雪見 静って言う男がいるんですけど、ずっと他の奴らと授業サボってるんですよ。この前注意したら、女の先生とじゃないと話したくないって言われました。小野町先生話してみてくれません?」
「雪見 静くんですか?本当に?」
「ええ、授業を受けないで有名な生徒です」
「本当ですか?彼、美術の授業は受けていきますよ。優秀なんです」
「それこそ本当ですか?」
「もちろん。」
(あー。疲れた。個展に出す絵も完成してないし、生徒の成績付けて、テストも作らなきゃ。恋をしてる暇なんてないよ)
「ーでさー!」
(?)
あれは、雪見くん?
「どうしたんですか?授業中ですよね。受けないんですか?」
「花!」
「だってめんどくさいし、」
「そーそー!楽しくない!」
「ふふっそうですね、先生も休憩しようかなって思ってたんです。混ざってもいいですか?」
「花ちゃん先生話してくれんの?!」
「はい。楽しくないのは面白くないでしょう?」
「ー。」
「雪見くんたちは、美術の授業は出てくれますよね。どうして他の授業は受けないんですか?」
「俺は、授業に出たら必ずこの髪の色の文句を言われるんだ。こいつらも、俺の周りにいるってだけでいびってくる奴もいる。でも花乃先生の授業ではなんも言われないから、」
「言ったら辞めるんですか?」
「……」
「やめないでしょう?いいんですよ、それで、授業サボって遊ぶのも、校則違反で髪の毛を染めるのも、学生の特権なんですから、大人になったらできないんですよ。先生も今学生時代に戻れるなら授業をサボって校則違反をしてみたいです。先生は後悔ばかりの学生時代を過ごしました。雪見くんたちは後悔がないようにめいいっぱいたのしんでくださいね。でもせめて、酒田先生の授業は受けてあげてください。昨日飲みに行った時泣きながら相談してきたんですよ?」
「あんた、ほんとに先生か?」
「はい。臨時ですけど免許はありますよ。」
「でも髪色は注意するべきなんじゃね?先生として」
「そうかもしれません。でも雪見くん授業の度に髪色変わっててなんだか面白いんですよね。私が1番好きだったのは、この前までのやつですね、勝色の。」
「勝色?」
「くすんだ紺色のことです。あぁもうこんな時間、絵を描かなきゃ行けないので戻りますね。そうだ、和紗くん、家に帰ってあげてくださいね。」
「おい!和!どういう関係だよ!花ちゃん先生と」
「家庭教師だったんだよ。花が20歳の時大学が近いからってうちのマンションに越してきてたまたま隣で、1年だけ受験の時期だけやってもらったり今でもテストの時とか来てもらってる。」
「和の家の近くって、T大くらいだろ?」
「花はそこの現役のトップ入学だよ。昔はちょっと荒れてて、福岡の鬼軍曹って呼ばれてたみたい。」
「福岡の鬼軍曹って、中学2年で高校生ヤンキー50人を配下に置いた、怒ると軍人の様な喋り方になるっていう?!有名な話だよ!普段の敬語でさえも恐ろしく思えるらしい。」
「あー。花的には元々武道はやってたらしいけどたまたま友達が虐められてて助ける時敬語だと威厳がないからその時読んでた不良ものの漫画の真似したら板に着いちゃったんだって。」
「へー。」
「なぁ静、授業受けてやろーぜ。」
「なんで?」
「俺らは別に大丈夫だから、知ってるか?花、今個展の準備やら何やらで忙しくて休む暇もないらしい。今の休みだって本当は暇じゃないんだぜ。」
「ふーん。」
「小野町先生ー!聞いてください!雪見のやつ!授業出たんです!」
「わぁ!良かったですね!」
(良かった。)
「雪見くん!授業受けたんですね!はいこれ!ご褒美です。いいこにはこういう風にするんです内緒ですよ、」
「子供扱いですね。これ。」
「子供ですよね」
「あー!どうしよう!絵の題材が決まらない!夜景でも書こうかな。」
「久しぶりだなここ。」
月の光に照らされて、見えた勝色の髪の毛。
「雪見くん?」
「花乃先生……」
「どうしたんですか?こんな時間に、」
「先生こそ。」
「私は絵を描きに、」
「絵、行き詰まってるんですか?」
「はい。お恥ずかしい限りですが。ダメですね私、個展まで開けてしっかりしないとなのに、筆を持ってもまるで何も浮かばない。」
「何か、困ってることでも?聞きますよ、いつも迷惑かけてるお礼です」
「じゃあ少し聞いてもらいましょうかね。私、両親が42歳の時の子供なんです。今私は23で、両親は65、お世辞にも若いとは言えない年齢になって来てだんだん老いていく両親が私の傍から消える未来が怖くなりました。両親の年齢が上なことをバカにしてくる人もたまにいますが、そのせいか両親はたっぷりの愛情で育ててくれました。そんな両親が寿命も近くなって来て私はまだ恋人でさえ紹介することが出来てません。せめてこの世を去る前に、孫くらい抱かせてあげたい。様は焦ってるんですよ婚期逃すかもって。」
「。恋人いた事ないんですか?」
「ありますよ、ただ学生の頃は恥ずかしくて言う勇気さえ無かった。私にだって彼氏がいたことあって、それなりにやることやってるんですから」
「え。先生処女じゃないんですか?鬼軍曹なのに?」
「まぁそれは大人ですから。ていうか!なんでそれ知ってるんですか?!もう!和紗くんですね!」
「先生明日もここに来ますか?」
「来るかもしれません。そうですね、明日はコーヒーでも持ってきましょうか。」
「雪見くん、学校でいびってくる先生がいるって言ってましたけど、校長先生に言いましょうか?」
「そんなことしたら、あいつらもっと生活しにくくなるだろ。それに俺が悪いんだから。」
(わかってるんだ。)
ー学校ー
(雪見くんちゃんとしてるかなぁ)
「ー!!」
??
「お前らいい加減にしないか!」
「あ!酒田先生どうしたんですか?」
「雪見たちに痺れを切らして、今川先生が」
「雪見!お前のくだらないプライドに人を付き合わせるな!」
「なんだよ!先生!静を悪く言うな!」
「そうだ!ほっといてくれ!」
「授業に出ても、いびってくるのは先生だろ?!」
「ええい!うるさい!お前らみたいに、髪を染めてちゃらちゃらしてる様なやつにはそんなこといえる価値なんてない!そんなだから頭も悪いんだ!」
やめて、私の憧れが潰されていく美しかった青春が悪者になっていく。
「っなんだと?!」
『今川が杖を振り下ろす。』
「ダメ!」
「小野町先生?!」「花乃先生!」
ゴンッ!
「……」
「花!?」「小野町先生!血が…」
「何を、」
「してるんですか!あなたは!」
(鬼軍曹……?!)
「ふんっ!」バキィ!
(杖折ったよこの人)
「自分より一回りも若い人に杖で殴り掛かるなんて底辺の人間のすることよ!髪の毛染めてちゃらちゃらしてる様なやつは学も価値もないと言ったけれど。それは、髪を染めてピアスも開いている私を侮辱しているんですか?」
「これは教師としての、教育です。」
「ふっ。思い上がんじゃないわよ。守るべき生徒を貶し、虐め、まだ綺麗な体に傷をつけようとするあなたのどこにその教育とやらをする資格があるの?!この子たちのことを決めつける資格があるの!」
「臨時の教師風情が!教育のことに口を出すな!そもそもそいつらが悪いんだろ?!」
「教師風情で結構、あなたのような老けただけの子供がその、教師だと言うのなら私はそんなものにならなくていい。私はそうやって人を見下すことしか知らない愚図より、自分を曲げずプライドを守り抜いた、この子たちの方が立派に思えて仕方ないからよ。確かに彼らも校則を破りすぎたかもしれない、でもこんなあなたの授業に受ける価値がある?」
「うるさい!小野町先生?学生時代は相当荒れてた様ですね。感情移入がすぎませんか?あなた学生時代教師にそういう風に言われていたのではありませんか?」
「私を馬鹿にするのはいい。文句を言うのも結構!でも雪見くんと和紗くんたちは馬鹿にされていい子じゃない!」
「今川先生どういうことですか?」
「校長先生!」
「うちの、うちの可愛い姪っ子になに傷つけてるんです??!」
「姪っ子?!」
「あ!京子おば様こんにちわ」
「花ちゃん、こんにちわ」
……
「全く、花乃先生やりすぎですよ、」
「そうですか?はいコーヒー」
「あざす。先生、恋人作らないの?」
「どうしてですか?」
「俺、先生のこと好きになっちゃった。」
「……雪見くん君は結婚なんて考えてないでしょう?」
「まぁ今は」
「私はもう結婚を考えて付き合う大人なんですよ、君の思いつきで軽く付き合っていられる余裕はないです。」
「軽くなんて、思ってねぇよ。」
「3ヶ月前、花乃先生が臨時教師として来た時、自画像の油絵の授業で、先生が俺に、君は髪の毛の色が綺麗だから絵を描くのも楽しいでしょう?って言いました。大人に認められるなんて思ってなかったから嬉しかったんだ。だから先生の授業だけは受けるようにしてた、そしたらまた次第に先生のことがわかってきて、色は暖色より寒色が好きなのかなとか、髪型は毎日違ってるなとか、服とネイルを合わせるようにしてて、オシャレだなとか。初めはただ新鮮だったけど、途中から俺先生に会いに行ってた。」
「そんな、私は、結婚して孫の顔をって、でもどうしよう。」
「考えさせて?、」
「花ー!」
「!!」
「さっきから呼んでるのに!」
「絵を考えてて、何を書いたらいいんだろうって。」
「うーん俺には絵はわかんないけど、好きな物描いたら?」
私の好きな物
雪見くんと会うあの塔から見る夜景、月明かりに照らされた勝色、誰かと飲むコーヒーの味
あぁそうか私。
「そうですね、私の個展見に来てください、入口の1番目立つところに好きなものを飾っておきますからぜひみんなと一緒に。」
「うん行くね!絶対!」
『小野町 花乃、個展 花の宝石箱』
私の好きな物、力強くて、かっこよくて輝いて見える青春の中心、誰より輝く勝色の髪、夜空を溶かしたように、心に落ちていく、その感覚が私は心地よかった。
「でっきたー!」
「花の個展すげーね!」
「ああ。」
ん?、
花の宝石箱 作者メッセージ
私は現実なんてとても見れません。
今がもし夢なら冷めてしまうかもしれないでしょう?私が出会った中で何より輝く勝色に引き寄せられるその引力があまりにも幸せで、現実なんて見ていたら、ダメなんだって思います。
世界でたった1人の君へ、私が送る。
最高のプレゼント
勝色のきみ。
月明かりに照らされて、光り輝く勝色の夜を溶かした。
「これ、静だよな。」
「馬鹿だよ。アンタ」
「雪見くん?」
「どうしてあんなことすんだよ。俺は花乃先生が好きだ。」
「私、君と一緒に過ごす時間が幸せでいつか夢が覚めるんじゃないかって怖かったんです。でも雪見は今ここにいますね」
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「うん。」
不安で仕方無かった。それでも君がいれば大丈夫だよ。
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