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⑥戯れてるわけではありません※

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「んっ……」

 腹を撫で回したかと思うと今度は膨らみのない胸を刺激してくる。だから誰が喜ぶんだよとツッコミたかったけれど、口を開けば変な声が出てしまいそうだった。
 胸の突起を触手が乳を搾るように締め付けてくる。そんなところ触れられたって何も感じない、はずだ。硬くなった部分をしつこく締め付けられても痛いだけだった。

「なんも出ない、からっ」

 それに言葉が通じるとは思えなかったが、あまりに行動が下世話なのだから、人間の好みを熟知しているのかもしれない。ただ性別などを理解していないだけで。
 痛みに涙が滲んでも両腕は触手が絡みついていて拭えない。ぽろぽろとみっともなく零れ落ちる涙を、スイに見られている。男が受けるべきでは無い凌辱を見られている。
 いっそ舌を噛んで死んでしまいたいとさえ思ったが、そんな勇気も無い。スイはユウキを見てどう思っているのだろう。

 下着の上から触手がそこを押してくる。アナルにわずかに下着がめり込む。恥ずかしくて消えてしまいたいのに顔を隠すこともできない。ただ、じっとスイが自分を見つめているのが耐えられなくて、目を閉じた。
 乳首を絞られ、硬く勃起した先端を更に細い触手がハケのようにくすぐる。

「やっ……だめ、」

 くすぐったいだけでは無い。甘く痺れるのはまた別の感覚だ。
 目を閉じていたユウキは気づいていなかったが、ユウキのペニスは胸と尻への刺激だけで勃起しており、それをスイが睨むように見つめていた。

「雑魚と戯れているところ申し訳ありませんが、そろそろ宿へ向かいましょう」
「たわむ…………? ちが、」
 人をそんな物好きにしないで欲しい。スイが本気でそう思っていたのかはわからないが、急に体に重力がかかり、目を開ける。触手は切り離され、体に巻きついていた部分だけが残されていた。
 つまり、それは、ユウキの体を支えるものが無くなったということだ。

「う、うぁああああああっ」

 情けなく悲鳴を上げたところで重力には逆らえない。ただ落ちていくだけだ。地面への衝突を恐れ、目を閉じる。
 だが痛みは訪れなかった。スイが抱きとめたからだ。

「さあ、行きましょう」

 横抱きにされ、そのままスタスタと歩き出す。お姫様抱っこってやつじゃないか。それを、男にするって何なんだ。
 暴れて振り落とされるのが怖くて、スイの気の済むまでこのまま運ばれてやることにした。触手に襲われて腰が抜けたからじゃなくて、勃起したことがバレたくないからじゃなくて、ただ疲れていたからこのまま楽をしようと思っただけだ。
 結局姫抱きのまま街へ運ばれ、宿に辿り着き、いらない恥をかくことになったのだけど。
 ……スイの体力はどうなっているんだろう。


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