あの時ちゃんと断っていればこんなことにはならなかった

多崎リクト

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いたずらのはなし

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 ぼくは、ちかいのキスっていうものをすることにした。
 りくは、おひるねしてる。
 えほんで、よんだことある。おひめさまにするやつ。
 めをとじてる、りくのくちに、ちゅってする。

「えへへ」

 まだ、りくをおよめさんにできないけど。
 これくらいいいよね?
 ねてるりくに、ちゅー。
 ほっぺにもちゅー。
 りくはたのしいゆめみてるみたい。
 ぼくがちゅーしてるからだといいなあ。


 ※※※


 陸のえっちな夢を見た。
 男同士でどんな風にするのかわからなかったから、詳細はぼやけていたけど。なんとなく女の人とどうするのか、ぼんやりとした知識を、陸に当てはめていた。
 陸は気持ち良さそうに、女の人がするみたいな声を出していた。僕はそれがもっと聞きたくて、陸をいじめてしまう。
 陸はいじめられると気持ちいいみたいで、もっともっとと僕に言ってくる。
 僕は陸に誘われるままに、陸を愛するのだ。

 目覚めると、パンツの中が汚れていた。
 夢精ってやつらしい。男の子には自然なことなんだって。

 僕はいつかあんな風に陸と仲良くできるだろうか?



 ※※※


 男同士のやり方というものを知った。お尻の穴にちんこを入れるらしい。現実的に考えて、入るのだろうか?無理じゃないだろうか?
 だが、いつか陸と結婚したときのために、どうしたら陸を気持ちよくさせてあげられるか調べるべきだとも思う。
 そうしてネットだとか、BL漫画というやつを読んだりとかして、知識を得ていく。
 お尻の穴を解すには時間がかかる。気持ちよくなるのにも時間がかかるものらしい。お嫁さんの負担を考えると、今から少しずつ慣らしておくべきかもしれない。
 本当はローションとかがいいらしいのだが、手に入らなかったので薬局でワセリンを買った。

 チャンスは意外とすぐにやってきて、久しぶりに陸の家に泊まりに行く事になった。僕の両親が家をあけることになったからだ。
 陸の家に泊まるとき、僕は陸の部屋で寝るのがお約束みたいなものだったから、その日も同じ部屋に布団を敷いて寝ていた。

 陸はいつも寝付きがよくて、僕より先に眠ってしまった。起きないかどうか、呼び掛けてみたり、軽く触れてみたりしたが、起きる様子はない。

「――陸」

 眠っていて目を閉じている陸はまるでキスを待っているみたいに見えて。吸い込まれるように唇をあわせる。
 起きる様子はない。

 これは、えっちなこととかではなくて。陸のために必要なこと。
 そう言い聞かせながら。そっと陸のパジャマの下を下ろしていく。
 パンツを見ただけで興奮しすぎてやばかったけど、なんとか耐える。

 パンツを下ろすと、陸のちんこが現れる。もっと小さい頃は一緒にお風呂に入ったりしたけど。最近はそんなこともないから、こうして目にするのは久しぶりだ。
 当然だが陸のちんこはまだ萎えている。勃起しているところは見たことがない。まずは両手で包み込んで、自分でオナニーする時みたいに上下に動かしてみる。ふにゃふにゃだった陸のちんこが少しずつ硬くなっていく。眠っている陸からは気持ちよさそうな吐息が漏れ始める。

「んっ……ふぅっ」

 本当は起きているときにちゃんと声を聞きたいのだけど、そういうわけにもいかない。それに今の目的は陸を気持ちよくすることというよりは、まず、お尻を慣らすこと。お尻が慣れたらそこで気持ちよくなってもらうことである。先は長いのだ。
 すっかり勃起した陸のちんこに触れたまま、お尻の穴をツンツンする。もともと閉じていたそこが、指の刺激できゅんと閉じるのが可愛らしい。
 今度はワセリンをよく塗って、小指でそこに触れる。少しずつ少しずつ、傷つけないようにそっと挿入していく。第一関節が入ったくらいのところで、またちんこも刺激してやると、お尻から少しだけ力が抜ける。

 それ以上は入らなそうだったので、抜いて、またワセリンを塗り込む。小指の先だけだけれど、入る部分の中によくワセリンを塗る。お尻の皺の間にちゃんと入り込むように丁寧に。少しずつ。
 時間をかけて慣らしていく。

「んっ……」

 はぁはぁと荒く浅い呼吸を繰り返す陸が可愛くて、もっともっとしたくなってしまうけど、今日はここで我慢する。
 勃起したままのちんこをパンツの中に戻して、服もちゃんと元通りに。もしかするとお尻の中が少しだけベタベタするかもしれないけれど、そのうち吸収されるだろう。

 本当は射精させてあげたかったけど、さすがに目が覚めてしまうだろうし、まだこの行為に気づかれるわけにはいかない。

 少しずつ少しずつ慣らして。前立腺というものの場所も探さないといけない。

 僕が十八歳になるまで、まだ時間がある。

 こうして僕のお嫁さんのための大作戦が始まったのだった。




 そして、俺が無事に陸をお嫁さんにしたのはまた別の話。

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