6 / 12
キスの話
しおりを挟む「いってらっしゃい」
俺の授業が一限からある日は、そう言って陸が見送ってくれる。これってすごく新婚さんみたいだなと思う。俺が陸を見送る日もあるけど、どちらでも嬉しい。
いつもみたいにいってきますのキスをしようと振り向くと、それとなく避けられる。
「あ、俺ももう支度しないと」
そう言って、部屋に引っ込んでしまう。
その日はたまたま忙しかったのかなと思っていた。
「ただいまー」
家に帰ると、珍しく陸が出迎えてくれなかった。いつもだったらすぐに玄関にやってきて、おかえりのキスをしてくれるのに。
「おかえり」
どこかばつが悪そうに、こちらを見ながら、陸が言う。
そういえば、と思い出す。今朝もいってきますのキス、してもらえなかった。
これはもしかしたら離婚の危機ってやつではないか。いや、まさか、そんな馬鹿な。
急に恥ずかしくなったのかもしれない。きっとそうだ。ちょっとだけ置かれていた距離をぐいっと詰めて、顔を近付ける。
「ま、まって」
陸の唇に触れる直前で、陸の手に触れる。ガードされたのだ。
「ごめん、悠」
ああ、そんな風に謝らないで。
陸が俺の事、嫌いになっても、離婚だけはしたくないよ?
どうしたら陸に捨てないでもらえるだろうか。いっそこの部屋に閉じ込めて、外に出さなければいいのだろうか。
「……舌に口内炎できた」
「は?」
どうやって監禁しようかと考えていたら、陸の口から出てきたのは想像していなかった言葉だった。
「めっちゃ痛いんだってほんと。今朝できたんだけど、何してても痛いし。喋ると痛いし。食べてても痛いし」
そう言って怒る陸はとにかく可愛かった。どうやらキスしてもらえなかったのも俺の事を嫌いになったからではなかったらしい。
いや、まてよ?別にキスだったら良かったのではないか?口内炎ができたのは唇ではなくて舌なのだから、ただのいってきますやおかえりのキスでは触れない。
「……だって、お前すぐ舌入れてくるし」
「陸が痛いなら我慢できるよ」
「……それに、」
「うん?」
「…………俺も、キスしたら、悠の舌に触れたくなる」
顔を真っ赤にして言う陸に煽られるなと言う方が無理だった。
「……キスは我慢するから、シてもいい?」
「うん」
今日はキスができない代わりにおかえりなさいのセックスをしてもらうことにした。
口内炎を見せてもらうと舌の裏にできていた。俺も昔できたことがあるけど、これめちゃくちゃ痛いやつだよな。可哀想に。
陸に食べさせるものについてもっと気を使わないと。栄養バランスが悪かったのかもしれない。ストレスとかでもなるらしいから、癒してあげないと。
「あっ♡」
「いっぱい気持ちよくなって、痛いの忘れようね?」
「ひんっ♡」
ベッドの上に座り、膝の上にシャツ一枚に剥いた陸を座らせる。キスは我慢してうなじにキスをしながら、シャツの隙間から手を差し入れて乳首を撫でる。
この体勢だと陸の顔は見えないけど、俺の膝の上でビクビクしてる逃げ場のない陸を眺めるのはそれはそれで楽しい。
「やっ♡乳首ばっか……ひゃんっ♡♡」
「後ろからいじめられるの好き?乳首すごく尖っちゃったね」
「やだぁっ♡とがってないっ」
「んー、でもシャツの上からでも、ほら」
シャツの中から手を出して、シャツの上からそこを撫でてやる。
「ひゃんっ♡」
「ほら、こんなに尖ってる」
「んんっ♡」
「これじゃ服着てても乳首の場所わかっちゃうね。ほら、簡単に摘めちゃうよ」
「あっ♡だめっ♡つまんじゃ、だめっ♡」
シャツの上から左右の乳首を摘んでやるとビクビクと体を震わせて、それがすごく可愛い。
「陸、そろそろ入れたいから、乳首は自分でいじっててね」
「んんっ♡」
陸の手を取って、乳首を摘ませる。そうすると理性のとろけてしまった陸はそのままグリグリと乳首をいじり始める。
そろそろ顔が見たくなって陸をベッド仰向けに押し倒すと、足を開かせる。それでも夢中で乳首をいじっているのが本当にいやらしい。それとも俺の言いつけを守ってる健気なお嫁さんなのかな?
ローションをお尻に垂らすついでにいい事を思いつく。シャツを捲りあげて乳首を剥き出しにすると、ホットケーキにシロップをかけるみたいに、陸の可愛い乳首にもローションをかけてやった。
「――ひゃっ」
「ごめん、冷たかった?」
冷たいそれが早く体温に馴染むように、陸の手を使って馴染ませてやる。ぬるぬるとしたそれが尖った乳首にまとわりついてすごくいやらしい。
「あっ♡♡やだっ♡きもちいいっ♡♡♡」
「かわいい、陸」
陸の痴態を見ながら、お尻も慣らしていく。ローションをたっぷり塗ったので簡単に指が入る。そういえば昨日もシたばっかりだった。
すぐに指の数を増やして前立腺を突いてやると、陸の手が止まる。
「あっ♡♡」
「陸、手、止まってるよ?」
「も、むりぃっ♡♡」
「頑張れ、頑張れ」
「やっ♡♡」
ぐずぐずになってしまった陸はもう乳首に触っていられなくなってしまって、ただイヤイヤと首を振る。
「悠が触って……」
そんな風に涙目でおねだりされたら、俺の理性なんて簡単に吹き飛んでしまう。
「……じゃあ、もう入れちゃうよ?」
「うん」
「痛かったら言ってね」
「いたくな――あっ♡はいってくる♡悠の♡♡」
お願いだからあんまり煽らないで欲しい。
「あっ♡♡やっ♡♡ゆうくんっ♡♡♡」
「乳首ぬるぬるしながら子作り気持ちいいね、陸」
「うんっ♡♡子作り、きもちいい♡♡♡ゆうくん♡」
「可愛い。子供できたら乳首からミルク出るようになるかな?そしたら俺にも飲ませてね?」
「うんっ♡♡のんで♡」
「やらしー、じゃあ飲むね」
「んんっ♡♡♡だめっ、ローション、のんじゃ♡」
「口に入れても大丈夫なやつだから平気だよ。んっ、陸のおっぱい、おいしい」
ローションでぬるぬるになった乳首を吸う。蜂蜜みたいに甘い。これが陸のミルクの味なのかもしれない。
「ゆうくん♡ゆうくん♡」
俺の頭を抱きしめるように喘ぐ。中も一緒にぎゅうぎゅうと締め付けられる。
「出してっ♡ゆうくんのせーし♡」
「陸、陸……」
可愛らしく喘ぐ陸の唇に触れて、舌を絡める。
蜂蜜味のキスをしながら、陸の中で果てた。
「……ゆう、」
「ん、どうしたの?」
ぐったりしている陸も可愛いなあと思いながら眺めていると、何故か睨まれた。
「舌痛いって、いったのに」
「あ…………」
やばい、最後忘れてキスしちゃった。しかも舌めっちゃ吸った。
「治るまで、もうしないから」
「り、陸?」
それから一週間ほど、えっちはもちろんキスもしてもらえなかった。
俺はもう陸に口内炎ができないようにと新たに料理の本を買い込んだのだった。
41
あなたにおすすめの小説
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる