盗賊達の国興し

扇 朔弥

文字の大きさ
4 / 8

地の果てにある物とは

しおりを挟む
 話が終わり、シェンと一緒に建物へと向かう。

「シェン、お前も貴族だったのか?」
「…父親がな、男爵だった」

 一代限りで自分にはその地位はないのだと、ぼそりと呟くその姿に。こいつも離れている間に色々あったのだろう、と思う。
 レイは元々、あまり他人事には突っ込まない性格だった。聞けばその分相手の事情と言うものに巻き込まれる可能性だってある上、このご時世他人に構っている余裕なんざない。今までの仲間の過去も事情も自分から聞いた事も無いのだから。
 ラルフの様な者は珍しい類の人間だ。

「そうか」とだけ返し

「そう言や、お前が居なくなってから三人増えたぜ」
「聞いている、確か」
「話より、本人に会え。そっちの方が早い」
「あ、俺も行くよ」

 ひょっこりと二人の間から顔を出すラルフ。

「これから仲間だし、挨拶大事」
「つくづく読めねぇなお前…いや、いいけど」

 こいつも、また自分とは真逆。いや、同じ人間などいやしないと分かっていても、レイは何処かでラルフに対して線引きをしておく。

「……納得したか?」
「レイ、が……いいなら」
「俺は構わない、五人一緒なら」
「俺もいいですよ」

 四人中三名は頷いた。さて、一番厄介なのはドウーエだ。

「レイはそれでいいの?今までみたいに自由じゃなくなるんだよ!!」
「俺はどこに居ても自由だ。それに、五人で居ても同じ事だろう」
「っ!レイのやる事誰も否定してないじゃん」
「否定されたとは言ってねぇだろうが」
「だってっ」

 何が良かったのか、ドウ―エが一番レイに懐いている。その分レイが行けばそちらに行くと思われがちだが、ドウ―エのそれは崇拝に近いものでもあった。

「レイが誰かの下に付くなんて認めないっ!」
「下に付く訳じゃねぇってんだろ?」
「だって!」

 何度目のループだ?自分だって人の事言えた義理じゃねぇが、ここまで聞き訳が無いとは思わなかった。

「ドウーエ君は俺の事嫌いなのかなぁ」
「…さぁ」

 自分も関わっているのに、呑気なラルフの言葉に軽く肩を竦め返事をするシェンもどこか他人事と判断して見ている節がある。

「俺は絶対嫌だっ」
「ドウーエ」
「俺達五人でやって来た」

ドウーエの言う事は、もっともだ。ずっと長い間この仲間で居た、だが。

「ドウーエ、俺達のリーダーが『決めた』事です』

 イリュリーンの言葉がドウーエを突き刺す。
ぐっ、とドウーエは言葉を飲んだ。

「…………どうしても?」

ドウーエは俯きながら、漸く声を発した。涙声に近い。

「ああ、俺が決めた」

 四人が認めた、自分の上。普段は自分達の意見にも耳を傾けてくれるレイの言葉。

「分かった…でも俺達はレイの下にしか付かない」

 絶対コレだけは譲らない、ドウーエは意を決しそう言い放つ。

「仲間にはなる」

 ドウーエの決心に、見守っていた皆から、安堵の息が漏れる。

「決まった、コレでお前達と手を組む事になる」
「一致団結だね」

 ラルフが笑う、出会った時から変わらぬ笑顔で。シェンは黙った儘、頷く。
 レイがドウーエに近付き、自分より低い位置にある、その頭にぽんと掌を、置いた。

「ありがとう、なドウーエ」
「レイ」

 事は収まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...