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四十六、
しおりを挟む「何はともあれ、まずは出口を探さなきゃ」
言って秘色は闇を見上げた。
「あたし達が上から落ちて来たってことは、ここはあの山の地下なのかしら」
ときわも上を見上げたが、漆黒の闇が広がっているばかりで、自分達がどれほどの高さから落ちてきたのかも見当もつかなかった。
「でも、落ちて来たわりにはどこにも怪我していないよね」
三人共、どこにもかすり傷一つなかった。
秘色は辺りを見回し、不安気に顔を曇らせた。不安なのはときわも同じだった。蛍のようなおぼろげな光がいくつもただよってはいるが、四方八方闇に囲まれたこんな場所で出口なんてみつけられるのだろうか。出口なんて、あるのだろうか。
「とにかく、みんな一緒に行動したほうがいいわね。こんなところではぐれたら大変よ」
ときわはこっくり頷いた。
「かきわも、勝手にどっかに行っちゃだめよ」
秘色が言うと、それまであらぬ方をみつめていたかきわが、怪訝な顔をして振り返った。
「何言ってやがる。勝手にどっかに行ったのはときわの方じゃねえか」
「僕? 」
ときわは目を丸くした。
「僕はずっと気絶していて、気が付いてから秘色と一緒にかきわを探しに来たんだよ」
「そうよ。ときわはあたしと一緒にいたわよ」
かきわはそんな馬鹿なという表情をして立ち上がった。
「だって、俺が目覚めた時に、ときわが走ってどこかにいくのが見えたから、慌てて後を追いかけたんだ。でも、見失って……」
ときわと秘色は顔を見合わせた。そんなはずはないと、お互いの目が語っている。
「気のせいだったんじゃない? 」
秘色の言葉にかきわは語気を荒くした。
「そんなはずねえよっ。後ろ姿だったけどちゃんと見たんだっ。白いTシャツを着た背の低い男っ。ちゃんと白い刀も持ってたよっ」
背の低いというところに少々むっときたが、事実には違いないので黙っておくことにした。
しかし、かきわには悪いがそれはやはり夢でも見たのだろうとときわは思った。だって、こんな訳のわからない世界を一人で走りまわる度胸はときわにはない。
「まあ、なんにせよ今はこうして三人一緒にいるんだからそれでいいじゃない。それよりも、外に出る方法を考えましょうよ」
秘色がいつも通り前向きなことを言う。
「それもそうだな」
かきわまでそう言って辺りの様子を探り始めた。
(そんな簡単に)
ときわとしては、そんなにあっさり片付けていいのか複雑な気分だったが、確かに話し合ってどうにかなる問題でもなさそうだった。
「俺も気にはなるけどよ」
ときわの心を見透かしたようにかきわが口を開いた。
「この世界で起こる怪奇現象にいちいち驚いてたら、身が持たねえよ」
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