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しおりを挟む私は公爵夫人という立場にあります。この国の公爵家の夫人として、いつも年若いご令嬢の幸せを祈っておりますのよ。
ええ。女の幸せはなんといっても結婚相手で決まるものですわ。
ですから、少しでも幸せになれるようにと、不幸な結婚で人生を台無しにする令嬢を救うために縁談を進めるのですけれど、どうしてか皆さんお断りになりますの。
公爵家が世話した縁談を断るだなんてありえませんわ。
どうしてこう、娘を道具のように嫁がせる心ない親が多いのでしょう。嘆かわしいことですわ。
貴族は政略結婚が当たり前だなんて、古い時代の価値観ですわ。
だけど、私は諦めません。私が諦めてしまっては、この国の貴族達の目を開かせる役目は誰がするのです?
娘を不幸な結婚に追いやる親達にも、いつか私の正しさを認めさせねばなりません。
彼らが良心を取り戻し、不幸な結婚から娘を救い出すというのであれば、私はいくらでも協力いたしますわ。
それに、傷物になったご令嬢でもきちんと嫁ぎ先をみつけて差し上げます。
それが私に与えられた役目ですわ。
そんな私ですが、今回ばかりはほとほと呆れました。
カロビス子爵夫妻は、兄には侯爵家、姉には辺境伯家との縁を結んでおきながら、妹のセラフィーヌ嬢は平民に嫁がせ家から追い出すつもりなのです。
平民などと結婚したら、貴族籍から抜けることになります。
おかわいそうなセラフィーヌ嬢。
どうしてそのような血も涙もない真似が出来るのかしら。
もしや、セラフィーヌ嬢は普段からカロビス子爵家で虐げられているのではないかしら。
夜会の時にも夫人とジョセフィーヌ嬢がセラフィーヌ嬢を喋らせないようにしていましたわ。
なんてことかしら。すぐにセラフィーヌ嬢を救わなくては。一刻の猶予もありませんわ。
幸い、明日は我が公爵家が開く夜会です。
明日こそはお気の毒なセラフィーヌ嬢を冷たい家族から救い出し、平民と結婚などというおぞましい未来に怯えている彼女を頼れる殿方に預けなくてはなりません。
待っていてくださいな、セラフィーヌ嬢。
私が貴女様を救って差し上げますわ。
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