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3・純粋
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「ただいま...」
「お帰りみーちゃん」
「ゆいちゃん、頭痛いのだいじょーぶ?」
「うん。もう大丈夫」
みーちゃんの頭を撫でる。
「みーちゃんにね、いいお知らせがあるよ」
「なぁに?」
ぎゅっと抱きしめて、楽しい楽しい報告をする。
夕焼け色の玄関で、私は笑う。
「2人でいれる事になったよ!」
みーちゃんは目を丸くしたけど、すぐその目は輝いた。
「ほんと!?」
「ほんと!」
そう言うと、みーちゃんは無邪気に笑ってくれた。
この幸せを守りたい。みーちゃんを守りたい。みーちゃんの為なら、なんだってしてあげられる。
それから、私はバイトと高校を両立させて、必死にみーちゃんを育てた。たまに動物園に行ったり、外でご飯を食べたりすると、みーちゃんはすぐお金の心配をした。
「大丈夫だよ。ちゃーんと生活する分は取ってあるからね」
そう言って頭を撫でると、みーちゃんはいっぱいいっぱい笑ってくれた。
この生活が続くなら、なんだってできるよ。
一度、弁護士さんがぱったりと連絡が付かなくなった両親を不信に思って家に来た事があった。
でも、私が2人は夜逃げしたと言うと、すっかり信じちゃって、それから来る事はなくなった。
大人は頭が悪いから、純粋無垢な子供の言った、自分にとって都合のいい事ならすぐ信じる。
騙すのが簡単でよかったな。
「ゆいちゃん」
「んー?」
「パパとママってどこ行っちゃったのかなぁ」
「...さぁ、きっと遠い所に逃げちゃったんだろうね」
みーちゃんにも、いらない心配させたくないから夜逃げしたと言っておいた。
知らなくていい事。
不必要な事。
みーちゃんは何も知らずに、この家で幸せに暮らすんだ。
「でも、お姉ちゃんがみーちゃんの側にいるからね」
「...うん」
最近、みーちゃんの元気がないように思える。どうしたのかな...。
今日は少し、嫌な予感がしていた。
学校が終わって、急いで家に帰る。
家の鍵が開いていた。
ドアを開けて「みーちゃーん?」と問いかける。
返事がない。
「みーちゃん?」
土足のまま家じゅうを探した。
戸棚の奥の、秘密の部屋にもいない。いるのは悪臭のする両親だけ。
お風呂にも、部屋にも、トイレにも、
押し入れにもいない。
「みーちゃん...みーちゃん!?」
急いで外に出て、そこら中探し回った。
嫌だ。嫌だ。嫌だ!
みーちゃんだけは
みーちゃんだけはいなくならないで。
学校に連絡しても、既に帰ったとしか言われない。
もう後は、少し遠くの公園だけ。
夜は真っ暗になるから、1人で行ってはいけないと言ったあの場所。
どうしよう。
もう日が暮れてしまう。
みーちゃん。
日が暮れた公園の滑り台に、1人の少女が座っていた。
真っ黒の短い髪、青い瞳。
「みーちゃん!!!」
「お帰りみーちゃん」
「ゆいちゃん、頭痛いのだいじょーぶ?」
「うん。もう大丈夫」
みーちゃんの頭を撫でる。
「みーちゃんにね、いいお知らせがあるよ」
「なぁに?」
ぎゅっと抱きしめて、楽しい楽しい報告をする。
夕焼け色の玄関で、私は笑う。
「2人でいれる事になったよ!」
みーちゃんは目を丸くしたけど、すぐその目は輝いた。
「ほんと!?」
「ほんと!」
そう言うと、みーちゃんは無邪気に笑ってくれた。
この幸せを守りたい。みーちゃんを守りたい。みーちゃんの為なら、なんだってしてあげられる。
それから、私はバイトと高校を両立させて、必死にみーちゃんを育てた。たまに動物園に行ったり、外でご飯を食べたりすると、みーちゃんはすぐお金の心配をした。
「大丈夫だよ。ちゃーんと生活する分は取ってあるからね」
そう言って頭を撫でると、みーちゃんはいっぱいいっぱい笑ってくれた。
この生活が続くなら、なんだってできるよ。
一度、弁護士さんがぱったりと連絡が付かなくなった両親を不信に思って家に来た事があった。
でも、私が2人は夜逃げしたと言うと、すっかり信じちゃって、それから来る事はなくなった。
大人は頭が悪いから、純粋無垢な子供の言った、自分にとって都合のいい事ならすぐ信じる。
騙すのが簡単でよかったな。
「ゆいちゃん」
「んー?」
「パパとママってどこ行っちゃったのかなぁ」
「...さぁ、きっと遠い所に逃げちゃったんだろうね」
みーちゃんにも、いらない心配させたくないから夜逃げしたと言っておいた。
知らなくていい事。
不必要な事。
みーちゃんは何も知らずに、この家で幸せに暮らすんだ。
「でも、お姉ちゃんがみーちゃんの側にいるからね」
「...うん」
最近、みーちゃんの元気がないように思える。どうしたのかな...。
今日は少し、嫌な予感がしていた。
学校が終わって、急いで家に帰る。
家の鍵が開いていた。
ドアを開けて「みーちゃーん?」と問いかける。
返事がない。
「みーちゃん?」
土足のまま家じゅうを探した。
戸棚の奥の、秘密の部屋にもいない。いるのは悪臭のする両親だけ。
お風呂にも、部屋にも、トイレにも、
押し入れにもいない。
「みーちゃん...みーちゃん!?」
急いで外に出て、そこら中探し回った。
嫌だ。嫌だ。嫌だ!
みーちゃんだけは
みーちゃんだけはいなくならないで。
学校に連絡しても、既に帰ったとしか言われない。
もう後は、少し遠くの公園だけ。
夜は真っ暗になるから、1人で行ってはいけないと言ったあの場所。
どうしよう。
もう日が暮れてしまう。
みーちゃん。
日が暮れた公園の滑り台に、1人の少女が座っていた。
真っ黒の短い髪、青い瞳。
「みーちゃん!!!」
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