タンブルウィード

まさみ

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二十四話

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狂った凌辱ははてしなく続く。
それこそ、フィルムが擦り切れるまで。

「ぅぐ…………」
「顔を上げろ。よく見せるんだ」
スワローは酷い状態だ。
全身白濁にまみれ目は虚ろ、赤く尖ったペニスからは透明な粘液が滴り落ちる。
ダドリーが舌なめずりし、スワローの顎を掴んで正面に固定。
ジーと鳴るカメラが迫り、スワローの顔から肩、肩から胸、胸から腰へと順に写していく。
スワローのすべてが暴き立てられ、照明の眩いの光のもとさらされる。
喉仏が鋭く主張する細首に銀鎖が絡み、ドッグタグが頼りなく虚空で揺れる。
まるで鑑札を下げられたメス犬……いや、去勢待ちのオス犬か。
「これから何十、何百人のズリネタにされる気分はどうだ」
「………………ッ、」
「キマイライーターの覚えもめでたい期待の新星、ストレイ・スワロー・バードのあられもない姿を焼いたビデオはきっと飛ぶように売れる。ケツにぱんぱん突っ込まれてるところを見て、あるいはペニスをもてあそばれてるところを見て、この街に住む何十、何百、ことによると何千の変態どもがティッシュ箱をからにするんだ。ヒーロー冥利に尽きるだろ?」
「ざけんなくそったれ、寝言はアスホールに叫んでろバキュームが吸い込んでくれるぜ!」
太い指が顎に食い込み、ぬるい声が耳朶に絡む。
スワローの顔が苦痛と恥辱に染まり、手錠で括られた手でダドリーに殴りかかるも即座に躱される。
ダドリーが脅し付けるように声を低め、スワローの首からたれたタグを挟む。
「野良ツバメ。お前に大事なヤツはいるか」
「…………」
「恋人。友人。家族。なんでもいい、コイツだけは絶対手放したくないと思える掛け替えのない存在。陳腐な言葉を使えば心の支え」
「それがどうしたよ」
「ソイツがコレを見たら、どう思うかな」
強制的な絶頂の連続で蕩けきった表情に、ほんの一瞬凍て付いた殺気が走る。
ダドリーが意地悪く含み笑い、唾でねぶった指をスワローの股間へ持っていく。
カメラ係が生唾飲み、股間を膨らませスワローに接近。
咄嗟に閉じようとした足にすかさず手を入れ、強引に割り開く。
「ソイツに見せ付けてやれ」
カメラの前で大股開きにするだけじゃ物足りず、背後から体重かけてのしかかり、片手でタグをいじりまわす傍ら、片手で竿をしごきたてる。
「想像してみろ、お前の世界で一番大事なだれかがカメラの向こうにいるところを」
「よ、せ、さわ、な」
「カウチに寝そべってポテチを食いながら、あるいはコーラとポップコーンを両手に、完全に無防備な状態でこのビデオを見ている」
「やめッ、あぁ、っだれ、そが」
「ブラウン管にお前があらわれる。さて……どんな顔をするかな」
力強くペニスを擦られ勝手に腰が弾む。
途切れ途切れの喘ぎでタグを奪い返そうとするも、ダドリーはそれを見抜いて素早く取り上げる。
空振り。
「かえっ、せ、ぅあッあ、それ、は、てめえなんかが、ゥっあ、べたべた、さわっていいもんじゃ、ね、あぁあっあ」
あのタグはスワローにとってよっぽど大事なモンらしい。
見苦しいほど一途に、滑稽なほど必死に、何度もくり返し震える手をのばしてはタグを掴もうとする。
手錠で固定された手じゃ土台届かない。
スワローの耳裏に息を吹きかけ、ヤツから遠く掲げたタグをふざけて近付けちゃ離すダドリー。

おもむろにそれを口へ近付け、噛む。
スワローが愕然と目を剥く。

「まずいな」
固い板金に前歯を立てギリギリ噛み、舌でねちゃねちゃなめまわす。
光沢帯びた唾液が表面に膜を張り、タグの角を伝ってスワローの頬へ落ちる。それまでスワローは、どんな目に遭ってもギリギリ限界まで薄っぺらく引き伸ばされた理性を守っていた。
ダドリーの手下どもにペニスと乳首を好き放題いじられケツにパンパンにモノ詰められても、快楽の他は怒りと焦り、殺意しか寄せ付けなかった。
「どうした、宝物をブチ壊されたガキのような顔して。このオモチャがそんなに大事か。大事なだれかにもらったか?ペアか?おかしいと思ったぜ、とろうとするたび死に物狂いで拒みぬいて……下着をひん剥かれる時よりあせってた」
「…………だまれ」
「お守りか?」
「だまれよ!」
「口輪でカオ半分見えなくても、コイツと刺青で一発だ」
スワローが凄まじい奇声を発し、手錠を打ち振り反撃。
瞬間、ダドリーが手に力を入れタグをひきちぎる。
小粒の鎖が弾けて宙を舞い、スワローの顔にあたる。
「餌だぞレッドブル!!」
タグが鉄格子をすり抜け、檻の床ではねる。
そこにいたのは全身筋肉のかたまりといったピットブル。
しっぽはちぎれ右耳は潰れ、全身の残酷な傷痕が闘犬の半生を物語る。
「アイツ、ショーに出てた……」
「とっくにハネたよ。客は帰した」
「ざけんな今すぐやめさせろ」

レッドブルと呼ばれた闘犬が熱心にタグの匂いを嗅ぐ。

「とち狂ったマネすんじゃねえバカ犬、とっとと吐き出せこのトンマ!!畜生ざけやがって、いいかよく聞けそりゃ俺のモンだ、賞金稼ぎになるずうっと前から俺の胸にぶらさがってたんだ、ここに在んのが当たり前のもういっこの心臓なんだよ!!」

口に咥える。

「恩を仇でかえしやがって畜生が、てめえに賭け張ってやったの忘れたのかよ、いいからいい子だからこっちよこせなっなっ、それは俺のだ俺のなんだよ、クソ忌々しくて鬱陶しいけど繋がってっから外せねーんだ、それがあっからまだ縛り付けてられんだ、あの馬鹿がどこでなにしくさろうが永遠に離れられねえ呪いみてーに根ェ張ってんだ!!犬にゃわからねーだろわからなくて当たり前だ、俺とアイツ以外にその値打ちわからせてたまるかよ、それはアイツが俺によこした……」

飲み込む。

「てめえに俺たちの心臓の値打ちわかんのかよワン公!!!!」

スワローが取り乱し声にならない声で絶叫、前のめりに飛び出すのを引き戻しダドリーがうっそり囁く。
「まだ腹に入るな」
「返せ!返せよ!畜生がぶっ殺す俺のタグ、早く吐けよ出せよ」
しきりと暴れるスワローを胡坐の上へ座らせる。
ダドリーは既に前をはだけ、怒張を露出していた。
手下の誰よりデカく太い、凶器と呼んで差し支えないイチモツ。
その先端を俺から見えない場所にあてがい、ぐっとスワローの腰を引き下ろす。
「―――――――――――――――――――――――――――ッあ!!」
一気に貫かれて絶叫、痙攣。
スワローがビクビク反り返り、弾みでイく。
挿入だけで達してしまったスワローのケツにガツガツ杭打ちながら、ダドリーが息を荒げ自賛する。
「コヨーテ並だろ俺は」
「っあ、うあ、あッぅあ、くそッ、かえっせ、あぅぐっあ」
「クスリのせいで中も外もドロドロだ、熱くて熱くてたまらない」
ダドリーは容赦なくスワローを犯す。
膝裏に手をかけ大胆に開かせ、カメラによく見えるよう股間を暴き、背面座位で挿入。
「んあッ、あァあああああああぁっあ」

スワローは口輪を付けたまま。
胸板のピンクの突起は執拗な責めで尖りきり、股間に反ったモノはピュッピュッと連続で汁を飛ばし、最初からそういう生き物だったみたいにダドリーの胡坐の上で踊り狂っている。
鉄の口枷と一体化したキメラ。
口輪に遮られ顔の上半分しか視認できないが、クスリで性感が鋭くなりすぎた身体はただただ辛そうで、荒っぽく突き上げられるごと怒りが霧散し快楽に濁る目は、自我を支える理性すら手放しかけている。
ばらけた前髪が動きに伴ってせわしく弾み、汗に溶け流れた塗料が泥の如く涙を濁らす。

撮影は滞りなく進行する。
一通りスワローの身体を愉しんだ男たちは、最後をボスに譲って野次をとばし始める。
「奥にゴリゴリ当たるだろ?旦那のはでけーかんな」
「また出た……何回目だよ、下がユルいガキだぜ」
「縛って躾けたほうがいいんじゃねえか」
「あ~なんか小便行きたくなっちまった……上まで戻んの面倒だな」
中の一人、いちばん最初にスワローを犯したゲスがにやりとしてダドリーにご注進。
悪だくみの耳打ちに頷き、ダドリーが男を招く。
「クスリのせいで喉が渇くだろ?」
「ん゛―――――――――ッ、ん――――――――ッ!!」
再び歩み出た男がズボンの前を寛げ、ペニスを引っ張り出す。
黒ずんだ男根を両手で捧げ持ち、わけもわからず呻くスワローの顔面に狙い定め、勢いよく放尿。
放物線を描いて迸った黄色い尿がスワローを直撃、ポタポタと口輪の隙間を伝い落ちる。
「うえげっ、げほげほがほげほっ……」
「ほらっさっきお前ん中に入ってたのから出た小便だ、有り難く飲めよ」
「一滴でも零しゃお仕置きだ」
下顎の動きが制限され、上手く咳ができない。
強制的に飲まされた尿の味と臭気は強烈で、塩辛さにむせるスワローの気勢をくじくのに十分だ。
その間もケツに埋まったペニスはゴツゴツ前立腺を殴り付け、小便まみれのスワローがわけもわからず喚く。
「!ッあ、ああッ、ぁあッああああああああっああーーーーあーーー」
金毛が纏わり付くペニスから大量の白濁が迸る。
ひく付く先端から撒かれた種が引き締まった腹やすべらかな胸を汚しなおオーガズムは止まず、ふやけきったペニスは弱々しく勃起こそすれ出涸らししか出ず、ならばと余韻を蹴散らす勢いでゴツゴツ腰を抉りこみドライでイかせる。
「っあ、たん、まッ、もィけね、よせ、あァっあぅあ゛あっ」
射精を伴わない快感は終わりなく引き延ばされ、張り詰めた下肢がぶるぶる震える。
「ちんぽミルクが止まらなくなったか?犬とおなじだな」
「っは、アンタのでか……も、ィきすぎて……」
「犬が人間の言葉でしゃべるな」
「!!ッ゛あ、」
ダドリーがスワローの尻を掴み、ゴリッと回す。
「ひッあぅあァっ、ふぁ、あっああァっァ―――――――!!」
極太ペニスが凶悪な角度で前立腺に突き刺さり、抜き差しにあわせ吸い付く粘膜を巻き返す。
「……タグ、俺の……かえ、せ……よ」
「俺の犬になるか?」
「アレは俺の………と、が」
「犬になると誓え」
「俺の……ハトが……くれた、だいじな……だれにも、ぜってえ、やるもんか……」
「奉仕をしろ」
スワローが朦朧と譫言を紡ぎ、それに応じたダドリーが挿入したままの体勢で、後頭部で交差するベルトを外す。
手錠で束縛されたスワローに代わって口輪を解除、ゴトンと鈍い音たて鉄枷が落ちる。
結構な重さだ。辛うじて口はきけるとはいえ、息苦しさは相当だったはずだ。
拷問具にも等しい戒めの圧迫から解放され、貪るように息を吸って吐くスワローの前へ、タグを喰った犬が引っ張られてくる。
「犬同士で番え」
コイツは最悪の変態だ。
今までの所業も最悪だが、クスリと口輪を用いて最高のメス犬に仕立てたスワローにこれから強いろうとしていることは、極め付けに外道だ。
コヨーテ・ダドリーがそのゲスな性根を全開にした笑みを広げ、命じる。
「レッドブルにフェラチオしろ」
「………ふ………、」
「どうした?いやか?タグを返してほしいなら相応の誠意と敬意を払えストレイ・スワロー・バード、全身全霊で俺様とコイツのご機嫌をとるんだ。犬のペニスをなめるのは初めてか?大丈夫、やり方はヒトと大差ない。口輪の後遺症で顎が痺れた?関係ない、やれといったらやれ。股間を見ろ、もうすっかり勃起してる。お前の口と舌で、コイツを含んで慰めるんだ」
「ぬけ……ッ、よ、いい加減……」
「挿れたままヤれ」
腹が破けそうな苦しさに脂汗を垂れ流し、葛藤するスワロー。
ダドリーの手が猥らに蠢き、乳首とペニスを行き来する。
「ふぅ゛ぐ……」
ぬちゃりと耳に舌を絡めてペニスをゴリ押し。
苦しげに喘ぐ口へ、人さし指と親指を割り込ませる。
「ひぇめえ……れっらい、ころふはんな」
潤みきった粘膜を思う存分かきまぜて、唾液の糸引く指をスワローの腹に擦り付け、もう一度促す。
スワローがキツくキツく目を閉じ、おずおずと舌を出す。
レッドブルが後ろ脚で立ち、毛むくじゃらの股間に雄々しく屹立するモノを押し付けてくる。
ペニスが圧迫する顔に極大の嫌悪と苦痛が走るも、すぐに何かを覚悟した切迫感ある面構えへ切り替わる。
「はァ……」
両手は使えない。
ケツはダドリーに穿たれている。
そうなれば、口と舌を使うしかない。

ぺちゃ。

生まれたての子猫がミルクを啜るような、かわいらしい水音が途切れ途切れに響く。

ぺちゃ、ぺちゃ……ためらいがちな不器用さで、さらに続く。

「それがフェラチオか?」
「!あンぐ、」
ダドリーがスワローの奥深く、一番感じるしこりに捻じ込んで揺すり立てりゃ、その衝撃で開いた顎に怒張がおしこまれる。
「んぅ゛う゛っ、ふーっうう、う゛―――――」
喉奥まで目一杯ペニスを頬張り、酸欠の苦しさにもがいて弱々しく舌を使えば、グチャグチャと泡立って飲み干しきれない唾液があふれる。
「は……あふ………ぁふ」
「そうだその調子、気分が出てきたじゃないか。はち切れそうな亀頭も血管の浮いた肉瘤もキレイになめるんだ」
ダドリーが顎を掴んで教え導き、スワローはぎこちなく舌を出し入れ。
レッドブルの巨大なペニスを、苦しげに切羽詰まった表情でなめはじめる。
「でけ……ンなの、入りきらねェ……」
「カオがうっとりしてきた」
むせ返るような獣臭さになんとか耐え、グロテスクな肉瘤に覆われた異形のペニスを夢中で頬張り、吸い立て、突付き、含もうとしてえずき、されど底意地で踏ん張り、涙を蒸発させる怒りをくべた眼光を上げて挑み、醜悪な陰茎をどんどん太らせていく。
「うまそうにしゃぶるんだな。はしたない孔を埋めてくれるならイヌでもヒトでもお構いなしか、心も体も立派なメス犬だ」
「あゥぐ、んぐ」
こまめに顔を傾げて角度を調整、ダドリーを受け入れながら犬の陰茎をしゃぶるスワローを無慈悲なカメラが追いかける。
ラストスパート、ダドリーの突き上げが激しくなるのに比例し犬の陰茎がひと回り膨張。
射精の瞬間。
「んんん゛―――――――――――――――――――――――――――ッ!!」
さすがに血相変えたスワローをダドリーががっちり捕まえ、連続放出された白濁を全身に受けさせる。
ビュッ、ビュッと音たて撒き飛ぶ白濁を受けると同時、スワローの体内でダドリーが射精に至る。
中と外、同時に汚された目がフッと遠くなる。
「カット。ストレイ・スワロー・バードの調教完了だ」
「いい画が撮れたっすよ」
ダドリーがベルトを巻き直して告げ、傑作を物した興奮もあらわなカメラ係の横に待機した裏方が甲高くカチンコを鳴らした時、こっちの準備も整った。
棒ギグを噛んだまま、目を閉じて数を数える。
1、2、3、4……

ガチャン。
ガチャン。
ガチャン。

「!?な」
耳障りな金属音があちこちで連続、錠が外れた檻から一斉に人質と犬の群れが飛び出し、すっかり撮影にのめりこんでいたダドリー一派の不意を打って殺到。

さあ、連中にツケを払わせろ。
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