僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

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都合が悪いことをごまかす少年

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武は隣に座っていた猫を見た。
好奇心旺盛な猫は「すげーな」とか「だよなー」とか「あらー」とか言いながらテロリストの捕獲を観戦している。野球中継を見ているおじさんみたいだ。
おじさんの解説が聞こえると気が散るから、武はテロリストとの戦いが始まってから猫を構っていなかった。

武は猫が人間より聴覚や嗅覚が遥かに優れていることを思い出した。
この猫はテロリストの居場所に気付いているかもしれない。

「お前さー、残り2人のテロリストの居場所が分かるか?」と武は猫に聞いた。

「もちろんだ。俺は鼻がいいからな。ほら、その3つ目の柱があるだろ?」
そう言うと猫は柱を指差した。
いや・・・、違うな。指ではなく、前脚で方向を示した。

「『15』ってペンキで書いてある柱かな?」武は猫確認する。

「そう。あそこに2人いるぞ」猫はテロリストの居場所を言った。

「お前、すごいなー! 報酬貰ったら、何か買ってやるよ」

これで残り2人の居場所が分かった。
武はお菊さんに場所を伝えてテロリストがいる場所一体を水蒸気の膜で覆ってもらった。

武はその膜の中に一酸化炭素とヘリウムを同量放出した。
範囲が広いから1分ほど掛かったのだが、充分に一酸化炭素とヘリウムが放出されたことを確認すると耳をすました。
『ヘリウム声変わり作戦』の成果を確認するためだ。

しばらくすると「なんか息苦しくないか?」と甲高い声が聞こえた。
ヘリウムガスが効いたようだ。

「お前、その声どうした?」同じ甲高い声が聞こえる。

「お前も変だぞ!」

「ガス漏れかなー?」

ヘリウムガスで甲高い声になったテロリストの会話を聞いて爆笑している武。
しばらくするとテロリストは静かになった。
テロリストが一酸化炭素かヘリウムで気絶したようだ。

武が「気絶したみたいだよ」と前鬼に伝えると、前鬼は「へいへい」と酸素ボンベを持って中に入っていった。

しばらくすると前鬼が出てきた。
テロリストに銃を突きつけられながら・・・
テロリストはガスマスクを装着していた。

――声が変わったからバレたな・・・

武は『ヘリウム声変わり作戦』が失敗したことを悟った。

仕方ないから、武はテロリストにリチウム弾を発射した。
リチウム弾で壁に吹っ飛ばされたテロリスト2人と前鬼は動かなくなった。
テロリストは防弾チョッキを着ていたから死んではいないようだ。

お菊さんはテロリスト2人が気絶していることを確認した後、武器を取り上げて警察官に拘束するように伝えた。

お菊さんは被害状況を確認している。
リチウム弾はテロリストと前鬼に命中したもののビルに被害は出ていない。
一方、前鬼のパワースーツにはリチウム弾が刺さっている。
こっちは弁償しないといけないかもしれない。

とすると、報酬は2億円からパワースーツの代金を差し引いた金額で済みそうだ。
お菊さんがそう考えていると、気絶していた前鬼が起きた。

恨めしそうな顔をして「またやりましたね・・・」と言った。

「だから、私じゃなくて、武くんだってば!」

「敵がガスマスクしていたから仕方ないですかね・・・」

「そうね・・・。それにしても、なんで窒息することが分かったのかしら?」とお菊さんは武の方を見た。

お菊さんも前鬼も『ヘリウム声変わり作戦』のことに気付いていないようだ。
当然武は理由を知っているのだが、あえて言う必要性はない。

「どうしてだろうね?」武はとぼけて言った。

「テロリストが急にガスマスクするなんて変じゃない?」
お菊さんはしつこく聞いてくる。

「そうだね。変だね・・・」武は小さく言った。

「最後の球体に何かした?」

お菊さんは武のことを疑っているのだろうか?
武は変な汗が出てくるのを感じた。
ここで沈黙すると認めたことになるから、武は適当に返答した。

「別に・・・」

「別に?」

お菊さんは武を疑っている。
この年頃の少年の『別に・・』は、かなりの確率でやましいことがある。
何かマズイことをしたか、秘密にしたいことがあるかだ。

お菊さんはカマを掛けた。

「ふーん。何か入れたんだ・・・」
お菊さんは武の目を見て言った。

「入れてないよ・・・」
武はお菊さんから目を逸らした。

「やっぱり! 何か入れたわね」お菊さんは再び武の目を見て言った。

「入れてないよ・・・」
武はお菊さんから目を逸らして小さく言った。

――あ、嘘ついてる・・・

お菊さんの疑念は確信へと変わった。

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