僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

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裁判で白黒つけましょうか?

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お菊さんは武が嘘を付いていると確信した。
ただ、これ以上武を責め立てても事態が改善するわけではない。
それよりも、お菊さんにとっては業務委託契約の2億円をゲットする方が優先順位は高い。だから、お菊さんは武と口裏を合わせることにした。

「まあ、そういうことでいいわ」お菊さんは武に言った。

「・・・・」
余計なことを言うと嘘を重ねることになるから武は無言を貫く。

「とりあえず、小角には『ガスマスクをしていたから必要最低限の物理攻撃を実行した』と説明しましょう。必要がないのに物理攻撃をしたと思われると、報酬を払わないかもしれないから」

「分かったよ・・・」武は小さく言った。

武が反省したようなので、お菊さんは前鬼に捕獲したピーチ・ボーイズについて確認した。

「リーダーのダグラス・ピーチはいたの?」

「それが・・・。今回捕獲した5人の中にはいませんでした」
前鬼は申し訳なさそうにお菊さんに言った。

「また? この場合、契約上の履行はどうなるの?」

「それを私に聞かれても・・・。隊長に確認しないと分かりません」

「そうよね・・・。一度、国境警備隊に戻りましょう」

アジトにいたピーチ・ボーイズ5人の捕獲は完了したから、武たちは前鬼の運転する車で国境警備隊へ向かった。

***

武たちが国境警備隊に着くと、小角は「ご苦労だった」と3人と猫を出迎えた。
お菊さんは業務委託契約の完了について小角に確認する。

「アジトに潜伏していたピーチ・ボーイズ5人は捕獲したわ。これで委託業務は完了かしら?」

「5人の捕獲はご苦労だった。ただ、リーダーのダグラス・ピーチはいなかったようだな?」

「ええ、そうみたいね」

「そうであれば、契約上の業務は完了していない。業務委託契約書における『ピーチ・ボーイズの捕獲』とはメンバー全員の捕獲を意味するからな」小角は静かに言った。

「そんな・・・。被害を最小限に抑えるために頑張ったのに・・・」

「お主らが努力したことは分かっておる。テロリストを捕獲する際に前鬼のパワースーツがまた損傷したようだが・・・。まあ、元々パワースーツは損傷していたから報酬から差引くのは勘弁してやろう」

小角の言いたいことは分かるが、このままではお菊さんたちはただ働きになってしまう。
お菊さんは報酬を受け取る方法を探るため、業務委託契約書を再度見直した。


===========
第1条 業務の内容
甲(国境警備隊)が乙(菊・武)に委託する業務の内容は、ピーチ・ボーイズ(以下、「丙」という)の捕獲業務とする。
但し、乙は業務を遂行するにあたって、公共施設等に物理的な損害を出してはならない。
===========


第1条には『ピーチ・ボーイズの捕獲』としか書かれていない。つまり、ピーチ・ボーイズを全員捕獲してもいいし、極端な言い方をすればピーチ・ボーイズを1人捕獲しても、委託された業務は完了するはずだ。
そう考えたお菊さんは小角に報酬を支払うように交渉することにした。

「業務委託契約書を見直してみたんだけど・・・、契約では『ピーチ・ボーイズの捕獲』としか書かれていないわ。つまり、ピーチ・ボーイズを1人でも捕獲すれば、私たちの業務は完了すると解釈できる。だから、私たちには2億円を受け取る権利があるはずよ」

お菊さんの契約の解釈について、小角は鼻で笑いながら言った。

「そんなわけないだろう。『ピーチ・ボーイズの捕獲』とはメンバー全員の捕獲だ。そう解釈するのが自然だし、誰がこの契約書を読んでもそう思うだろう」

「そんなわけないでしょ。メンバー全員だったら契約書に『ピーチ・ボーイズのメンバー全員の捕獲』と書いておくべきよ。何なら裁判ではっきりさせましょうか?」お菊さんも負けずに言い返した。

業務委託契約書の解釈について小角とお菊さんの溝は埋まりそうにない。

このまま裁判に突入するのだろうか?
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