僕と猫とゲートキーパー ー 勝手に他人の半生を書いてみた(第3章)

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少年と隊員の共犯関係

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戦闘に進展しそうな小角とお菊さんに悟られないようにして、前鬼が武のところにやってきた。
前鬼は、肉弾戦は得意なのだが、中長距離攻撃が主体の小角とお菊さんが戦闘になると手出しができない。真剣で鉄砲に挑むようなものだ。不用意に近づくと殺されかねない。

前鬼は武に二人を止めるように頼むことにした。

「戦闘が始まるとまずいだろ。また気絶させてくれないか」と前鬼は小声で言った。

「えー、嫌だよ」武は面倒くさいから断った。

前鬼は武の無碍な返答にちょっとイラっとしたようだ。
でも、武に助けてもらわないと自分の命が危ないことを前鬼は理解している。
だから、前鬼はプライドをかなぐり捨てて武に頼んだ。

「なー、頼むよ。何でも言うこと聞くからさー」

――何でも言うこときく・・・

前鬼は必死に頼んでいる。
いま武が前鬼に条件を伝えれば、大体のことはやってくれるだろう。
所謂、優越的地位の乱用だ。

面白そうだから武は前鬼にやってほしいことを考えることにした。

――裸で道路を走ってこい!

これは少年心をくすぐるものの、実際には大したメリットはない。
ただただ、おっさんが道を裸で走っているだけだ。

――コーラ買ってこい!

前鬼をパシリにさせる優越的があるものの、武は喉が渇いていない。
よくよく考えると、ただの買い物の依頼だ。

――入国許可証をよこせ!

これは武にとってメリットがある。
入国許可証があればいつでもこの惑星に入ることができる。

国境警備隊の隊員が勝手に発行できるのだろうか?
前鬼に入国許可証の発行権限がなくても、何か抜け道があるかもしれない。
武は前鬼に聞いてみることにした。

「入国許可証を発行してくれる?」

「俺の権限だと難しいなー。小角隊長が判子押してくれれば発行できるけどな・・・」

「じゃあ、僕が気絶させている間に判子押してよ」

「ダメだ。バレたらどうするんだよ? クビになっちゃうよ・・・」前鬼は小さく言った。

――あ、こいつ迷ってるな?

武はもう一押しだと判断した。

「じゃあ、やらない。おじさんが2人を止めれば?」武は前鬼を突き放した。

――くそー、足元見やがって!

前鬼は心の中でそう思ったものの、自分には二人を止めることができないことを理解している。

入国許可証の勝手に作ったのがバレたら問題になるだろう。
でも、危ない橋を渡らなければ命は守れそうにない・・・

困った前鬼は少し考えた後で武に言った。

「分かったよ。内緒だからな・・・」

交渉が成立したので、武は一酸化炭素を生成して小角とお菊さんを気絶させた。
前鬼は前回と同様、気絶した小角とお菊さんを椅子に縛り付けて動けなくした。

前鬼が武の方を見ると、武は小角の机の方をあごで指し示した。

――くそー、バカにしやがって!

前鬼は内心そう思いながらも、笑顔で「はいはい、やりますよー」と言いながら小角の机から判子を持ち出して入国許可証を作成した。

前鬼は武に「絶対に内緒だからな!」と念押しして入国許可書を渡した。

「いいよ。これで僕たちは共犯だね」
武は笑顔で前鬼にそう言った。

こうして武と前鬼の共犯関係は成立した。
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