第4王子は中途半端だから探偵することにした

kkkkk

文字の大きさ
96 / 197
第5回活動報告:仮想通貨の詐欺集団を捕まえろ

家族会議(その2)

しおりを挟む
(4) 家族会議 <続き>

別の切り口で、論破できるか試してみよう。

「もし、発行した暗号資産が値下がりして、購入した国民が損したら、どうするのですか?」と俺はチャールズに言った。
これは、我ながらいい質問だ。国王が国民のことを気にして、没にできそうだ。

「そんなこと知らないよ。だって、投資は自己責任だろ。国債を保有している国民は、金利が上がったら、既発債は値下がりして損するだろ。投資なんて、そんなものだよ。」とチャールズは言った。

コイツは、なんて自分勝手な奴だ。こういうことを言うから、みんなから嫌われるんだ。
俺もコイツのことは嫌いだ。

期待通りにはいかず、国王は口を挟んでこない。別の話題で切り崩しが必要だ。

「他国で暗号資産を発行しているところは現状ありません。もう少し様子を見てからでもいいじゃないでしょうか?」と俺は言う。

「ジャービス王国で暗号資産を発行するわけじゃない。ジャービス王国が100%保有する会社が暗号資産を発行するだけだ。大丈夫じゃないかな。」

なんていう理屈だ。今度は、『国で暗号資産は発行しない』と言ってきた。
誤解を与える可能性があるので、訂正させなければ。

「国が発行していなくても、ジャービス王国が100%保有していたら、国民は国が発行していると思いますよ。」と俺は言う。

「そうかな?アンドリューは他の国のこと聞いている?」とチャールズはアンドリューに話を振った。

話を振られたアンドリューもいい迷惑だ。
自分には関係ないと思って話を聞いていなかったアンドリューは、俺に『何のこと?』と聞いてきた。
俺が説明すると、アンドリューはしばらく考えた後、チャールズに説明した。

「先進国の幾つかは暗号資産ではなく、デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の発行準備をしています。他国の発行目的は通貨管理なので、あくまで、貨幣という位置付けです。あと、暗号資産を通貨として採用する国もあります。他国の状況からすると、ジャービス王国が暗号資産を発行しても、文句を言ってくる国は無いでしょう。」

コイツはどちらの味方でもなさそうだ。俺が阻止するしかない。
もう一度、反対意見を出しておこう。

「暗号資産を通貨として採用しているのは、自国の暗号資産ではなく、全世界で広く流通しているものです。もしジャービス王国が暗号資産を作っても、有名な暗号資産に比べると見劣りします。流通量は限られると思いますけど。」と俺は言った。

「そうだけどさ。発行してすぐに暗号資産で多額の資金調達ができるとは思っていないけど、上手く流通させることができたら、ジャービス王国の財政的には非常に助かる話だ。」

チャールズはそこまで言った段階で、国王の方を向いて発言した。

「国王。ジャービス王国で暗号資産を発行するために、割安の暗号資産交換業者を買収するのはどうでしょう?」

チャールズは強引に国王の同意を得ようとしている。でも、実際に動くのは俺だ。余計な仕事を増やさないでほしい。

「ジャービス王国で暗号資産を発行するメリットは分かった。ただ、一から暗号資産交換業者を設立したら、いいだけのような気がするが。わざわざM&Aする必要はあるのか?」と国王は言った。

いいぞ。珍しく、いいことを言った。
と俺が思った瞬間、チャールズは返答した。

「いえ、一から設立するには、時間とコストが掛かります。政府主導で設立するとしても、民間業者と同じ基準で許認可を取得する必要があるでしょう。そうでなければ、不満がでます。
新会社を設立して許認可を取得するには、暗号資産交換業者として十分な実務経験を有するものを採用し、また、暗号資産の取引を行うためのシステムを導入する必要があります。いざ開始しようとしても、準備に数年かかります。」

「そうか。それなら、手頃な会社が見つかれば進める、ということで良いかな?」と国王は答える。

当たり障りのない回答のようだが、国王自身は別に乗り気でもなさそうだ。
ここから反対に持っていくのは至難の業だから、この辺が落とし所だろう。

「分かりました。それでは、調査の中で手頃な会社が見つかれば、チャールズ兄さんに連絡します。それでいいですか?」と俺はチャールズに確認した。

「よろしく頼む。」とチャールズは言った。

助かった。とりあえず、積極的に探さなくても良さそうだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

婚約破棄された悪役令嬢、手切れ金でもらった不毛の領地を【神の恵み(現代農業知識)】で満たしたら、塩対応だった氷の騎士様が離してくれません

夏見ナイ
恋愛
公爵令嬢アリシアは、王太子から婚約破棄された瞬間、歓喜に打ち震えた。これで退屈な悪役令嬢の役目から解放される! 前世が日本の農学徒だった彼女は、慰謝料として誰もが嫌がる不毛の辺境領地を要求し、念願の農業スローライフをスタートさせる。 土壌改良、品種改良、魔法と知識を融合させた革新的な農法で、荒れ地は次々と黄金の穀倉地帯へ。 当初アリシアを厄介者扱いしていた「氷の騎士」カイ辺境伯も、彼女の作る絶品料理に胃袋を掴まれ、不器用ながらも彼女に惹かれていく。 一方、彼女を追放した王都は深刻な食糧危機に陥り……。 これは、捨てられた令嬢が農業チートで幸せを掴む、甘くて美味しい逆転ざまぁ&領地経営ラブストーリー!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!

有賀冬馬
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!? 「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。 でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした! 「君がいたから、この国は守られていたんだよ」 えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!? 竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート! そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。

奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます

タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。 領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。 奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。

処理中です...