第4王子は中途半端だから探偵することにした

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第2回活動報告:カルテルを潰せ

北風と太陽(その2)

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(8) 北風と太陽 <続き>


俺たちが月の取引量の20%を輸入しているから、銅の国内供給量は20%増えるはずだ。
なのに、銅の国内取引量が増えていない。
銅の国内供給量が増えていないから、銅の価格が下がらない・・・。

「分かった!敵は、値崩れを起こして大きく利益を下げるよりも、銅の供給量を減らして利益の減り具合を少なくしたんだ!」と俺は言って、話を続ける。

「どういうことですか?」とロイが言った。

「元々、国内商社は銅を800JD/kgで仕入れて、ジャービス国内で1,500JD/kgで売っていた。国内商社の利益単価は700JD/kg、月1,000t販売していたから、利益は月7億JD(700 JD/kg×1,000t)だ。」

※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。

「そうですね。」

「もし、銅の国内供給量が1,200tに増えて販売価格が1,200JD/kgになったら、国内商社の利益は4億JD((1,200-800) JD/kg×1,000t)に減る。」

「国内商社は、3億円利益を減らすわけですね。」

「そうだ。一方で、我々が200t増やしても、国内商社が供給量を月200t減らすと、国内全体の供給量は月1,000tのままだ。プラス・マイナス・ゼロだね。」と俺は言った。

「はあ。」とロイは言った。まだ分かっていないようだ。

俺は話を続ける。

「銅の国内供給量が変わらなければ、販売価格は1,500JD/kgのまま変わらない。
販売数量は200t減るから、国内商社の利益は5.6億JD((1,500-800) JD/kg×800t)。」

「販売価格が下がる場合よりも、利益の減少額が少ないですね。」

「そうなんだ。つまり、国内商社としては、銅の国内販売量1,000tを維持して銅価格が値崩れするよりも、銅の販売量を減らした方が利益は大きい。
それに、あと4カ月経てば(作戦開始から6カ月経過後)、利益が月7億円に戻るのを知っていれば、それくらいの期間は我慢できる。そうすると、カルテルの中に裏切り者が出ないな。」と俺は言った。

俺は敵ながら少し感心した。
『もう少しすれば、アホな王子の嫌がらせが終わるから、頑張ろう!』とお互いに励まし合って、カルテルを継続しているのだろう。

「じゃあ、こちらが輸入量を増やして、期間延長しても、国内商社はその先の期限まで供給量を減らして我慢するわけね。決着が着くのかな?」とルイーズが言う。

「そのうち、決着は付くはずだよ。『カルテル潰し作戦』の第2弾は『北風と太陽作戦』だ!」
今後の作戦には、俺は自信がある。

※北風と太陽とは、イソップ寓話の一つである。物事に対して厳罰で臨むよりも、寛容的に対応する方が得策という教訓として、広く知られている。

「道を歩くオッサンのコートを脱がせる、あれのこと?」とルイーズが俺に聞いた。

「そうだよ。」

「オッサンは、北風が頑張っても、コート脱がなかったよね?」

「そうだね。」

「作戦の方向性が逆じゃない?」

俺も言った後に気付いた。逆だ。ルイーズが正しい。
でも、俺は太陽作戦が思いつかない。手持ちの作戦は、北風作戦しかない。

「そうさ。俺たちは北風だ。国内商社は、俺たちの嫌がらせに耐えるんだ。でも、俺も手を緩めるつもりはない。最終的に北風がオッサンを蹂躙(じゅうりん)する、という結論になるはずさ。」と俺は言った。

「より団結を強めるだけのような気がするけど。」とルイーズは言った

「大丈夫だ。童話が必ず正しいとは限らない。じゃあ、『北風と太陽作戦』を進めよう!」と俺は宣言した。

「で、具体的な作戦は?」

「輸入量を月200tから月300tに増やして、期限を2カ月延長する!」と俺は今後の方針を共有した。

こうして、俺たちは国内商社との第2ラウンドに突入した。

果たして、間違ったネーミングの『北風と太陽作戦』は成功するのだろうか?

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