僕と猫と明珍火箸 ー 勝手に他人の半生を書いてみた

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鉄山と菊

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(11)鉄山と菊

本話では播州皿屋敷のストーリーがベースになっているため、先に播州皿屋敷のあらすじを掲載します。

【播州皿屋敷のあらすじ】
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姫路城主の小寺則職(こでら のりもと)の家臣である青山鉄山(あおやま てつざん)が、主君を謀殺して城を乗っ取ろうと企てました。
この謀略を小寺則職の家臣の衣笠元信が勘づき、自身の妾である「お菊」を青山家に潜り込ませました。

青山鉄山は姫路城を奪うことに成功するが、衣笠元信は小寺則職の命を救います。その後、小寺則職たちは一旦身を潜めて再起の機会を伺います。

一方、青山鉄山は身内に密告者がいると考え、部下の町坪弾四朗(ちょうのつぼ だんしろう)に調査を命じます。弾四朗は「お菊」がスパイであることを突き止めるものの、「お菊」に思いを寄せていたので「自分の妾になれば悪いようにしない」と言い寄りました。
しかし「お菊」は弾四朗の誘いを拒絶します。

拒否された町坪弾四朗は怒り狂い、「お菊」が管理を任されていた家宝である10枚の皿のうち1枚を隠し、最終的に「お菊」を絞め殺して、古井戸に死体を捨てました。

この事件以来、古井戸からは夜な夜な皿を数える声が聞えるようになります。
お菊の声に悩まされる青山鉄山の隙を突き、衣笠元信は姫路城を奪還します。

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お菊さんは今から約400年前の出来事を語り始めた。

「私の話は播州皿屋敷として伝わっていると思うけど、あの話には正しい部分と間違っている部分がある。」

「そうだよね。お菊さんは生きてるし。」

「そう。まず、青山鉄山が姫路城の乗っ取りを企てた話は嘘。派閥争いで衣笠元信(きぬがさ もとのぶ)が私を青山鉄山の屋敷に女中として送り込んだのは本当の話。私が衣笠元信の妾だったという話は嘘。」

「真実と虚実が混在しているんだね。」

「昔話はそういうものよ。私は衣笠元信が送ったスパイとして青山鉄山の屋敷に入ったのだけど、直ぐに姫路城の乗っ取りの企てが嘘だと分かったの。すぐに女中を辞めると不審がられると思ったから、私はしばらく女中を続けた。しばらくして、私と鉄山は男女の関係になった。経緯は恥ずかしいから聞かないでくれるかな?」

「別にいいよ。人の馴れ初めを聞くのは、僕も恥ずかしいから。」武は答えた。

「そのうち衣笠元信から『戻ってこい』と私に連絡があった。でも、私は鉄山のところに残りたかった。私の家族が人質に取られていたから、衣笠元信の命令を断ることができなかった。困った私は鉄山に相談したの。」

「鉄山は何て言ったの?」

「鉄山は『死んだことにすればいい』って言った。」

「死んだことに?」

「そう。鉄山の家宝の皿を紛失した罰で、私は殺されたことにした。」

「でも、本当は殺されなかった。」

「そうね。虚言だからね。私は死んだ人間になった。それから気を付けて生活していたけど、衣笠元信の家来に私の姿を見られてしまったの。」

「死んだ人間が生きてたら、マズイね。」

「見られてしまった私は鉄山に相談した。そしたら、『家来が見たのは幽霊だったことにすればいい』と鉄山は言った。」

「『いちま~い、にま~い』だね。」

「そう。播州皿屋敷で有名な・・・。幽霊に扮した私を見て、衣笠元信は『お菊は死んだ。家来が見たのはお菊の幽霊だった。』と信じた。」

「へー。」

「来る日も来る日も、衣笠元信の家来に見られるまで『いちま~い、にま~い』をやったからね。しんどかったわー。」

「頑張ったんだね。」

「こうして、私(お菊)は死んだことになった。でも、それから1年後、別の家来に私の姿を見られてしまったの。」

「なんか、展開が読めてきたなー。」

「また、私は幽霊をすることになった。『いちま~い、にま~い』を1カ月くらい続けたら、私はまた死んでいることになった。それからまた、・・・・」

「もう大丈夫、お菊さんの姿を誰かが見たんだよね?」

「そうよ。」

「また、『いちま~い、にま~い』したんだよね?」

「そうよ。まあ、そうやっているうちに、播州皿屋敷の怪談話ができたの。」

「でもさー、見つかるのが嫌だったら、別のところに行けばよかったんじゃないの?」と武はお菊さんに尋ねた。

「無理よ。姫路を離れる訳にはいかなかった。」とお菊さんは言った。

「なんで?」

「だって、その頃には鉄山と私の間に子供がいたから・・・」

小泉八雲の雪女と同じ展開だ・・・。
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