1 / 1
妻がユーチューバーになると言い出したら、どうするのが正解か?
しおりを挟む
「今日はどんな感じ?」妻は私に尋ねた。
私はスマホからYouTube Studioを確認する。
「雨は伸びてるけど、他のはそんなにやなー」と私は妻に返す。
何の話かというと、YouTubeの再生回数です。
***
この前の三連休、妻が「ユーチューバーしてみようか、思うんやけど。どう思う?」と言い出した。
私の「どんな系?」という質問に対して、妻は「顔出ししなくて、簡単に作れるやつ」と言う。そんなものがあれば私も作ってみたい。
ちなみに、今の会話は「ユーチューバーするからアイデアを出せ!」という意味だ。
女性の「どう思う?」は私の意見を聞いていない。妻の結論は既に決まっていて、私は同意することだけを求められている。
私は妻ができそうな顔出しなしのYouTubeのコンテンツを考える。ピアノの演奏動画はよくポストされている。でも、妻のピアノ演奏のレベルは普通だ。広く世間に聞いていただくのは申し訳ない。
妻の特技を私は考えた。書道はどこかの流派(聞いたことあるけど、覚えていない)の師範代だ。文字を書くところだけビデオに撮れば顔出ししなくていい。私は書道を妻に勧めることにした。
私が「書道の動画は?」と確認したら、妻は「それでいいこか」と承諾した。
早速ダイニングテーブルに半紙を広げ、墨汁を含ませた筆を構える妻。その横でスマホを構える私。
「何がいい?」と妻が私に尋ねる。
考えてなかったんかい・・・
しかたないから、私は「牛(ぎゅう)」と答える。
「なんで?」
「なんでもええやん」
“ピロン”
ビデオ録画開始の音を合図に、妻が牛を書き始めた。
“ピロン”
これで1つ目が終了した。1文字書くのに掛る時間は約30秒。
「次は?」
「皿(さら)」
「なんで?」
「ええやん、皿で。はい、いくで!」
こんな感じで妻は10文字を書き上げた。私は録画したデータを妻に見せる。
「手、若く見える?」
妻の興味は字が上手くかけたかどうかではない。動画に映る自分の手が若く見えるか否か。そこだけだ。
私は撮り直しを要求されることを避けるため、こう答える。
「大丈夫やって! 若く見える」
「まあ、これでええか」
妻は納得したようだ。続いて妻は言った。
「じゃあ、YouTubeにアップしといて」
「え?」
「「え?」ってなに? 作業分担やん。私が書くから、アンタはアップしたらいいやん」
どうやら、私はユーチューバー(妻)をサポートする役目を負っているらしい。
私は妻をサポートする担当者として考える。
スマホの動画をそのままYouTubeにアップロードしてはダメだろう。
まず、動画の説明(字幕)が必要だ。音楽も入れた方がいい。
次に、この動画(書道)を子供の学習に利用する日本人の親がいるだろうか? 日本人が見るとは思えない。外国人向けにするにはタイトル、字幕、概要を英語にしないといけない。
私は問題にぶち当たる。
―― 一連の作業手順を伝えたとして、妻はできるだろうか?
私はどれくらいの作業なのかを調べるために自分でやってみた。
書道の動画をYouTubeで配信する手順と作業時間はこんな感じ。
・スマホの動画をラップトップに取り込む:30秒
・動画編集ソフトで動画を開く:30秒
・動画に字幕(英語)を追加する:5分
・動画に音楽を入れる:1分
・作成したファイルをエクスポートする:1分
・YouTubeにファイルをアップロードする:1分
・タイトル、説明(英語)で作って配信する:3分
トータル12分の作業。妻がやると2~3倍は掛るかもしれない。教えるのも時間が掛かるし、私が編集した方がいいのだろう。
片や妻は文字を書く30秒だけ。
―― これ、不公平じゃない?
確かに、妻の書道スキルがないと動画は作れない。でも、私の作業時間は妻の24倍。
状況を勘案すれば、私がユーチューバー?と思う。
私のアカウントにアップロードしているわけだし・・・
こうして、妻は面倒な編集作業を全て私に丸投げし、ユーチューバーとしてデビューしました。
私は三連休から動画を10個くらいアップロードしました。
そして、その後も妻は毎日1~2個のアップロードをノルマとして私に課してきます。
私としては編集時間が少なくてすむ簡単な漢字を書いてほしいから「数字(一~十)とかどう?」と提案するのですが、割と画数の多い漢字しか書きません。
妻の師範代としてのプライドが許さないのでしょう。
「今日はどんな感じ?」
妻は毎日私に動画再生回数を聞いてきます。自分の作品との自負があるようです。
そのうち、「動画再生回数を伸ばしたいんやけど」と言ってきそうな気がします。
【妻がユーチューバーになると言い出したら、どうするのが正解か?】
これは、あなたの家で発生する話かもしれません
私はスマホからYouTube Studioを確認する。
「雨は伸びてるけど、他のはそんなにやなー」と私は妻に返す。
何の話かというと、YouTubeの再生回数です。
***
この前の三連休、妻が「ユーチューバーしてみようか、思うんやけど。どう思う?」と言い出した。
私の「どんな系?」という質問に対して、妻は「顔出ししなくて、簡単に作れるやつ」と言う。そんなものがあれば私も作ってみたい。
ちなみに、今の会話は「ユーチューバーするからアイデアを出せ!」という意味だ。
女性の「どう思う?」は私の意見を聞いていない。妻の結論は既に決まっていて、私は同意することだけを求められている。
私は妻ができそうな顔出しなしのYouTubeのコンテンツを考える。ピアノの演奏動画はよくポストされている。でも、妻のピアノ演奏のレベルは普通だ。広く世間に聞いていただくのは申し訳ない。
妻の特技を私は考えた。書道はどこかの流派(聞いたことあるけど、覚えていない)の師範代だ。文字を書くところだけビデオに撮れば顔出ししなくていい。私は書道を妻に勧めることにした。
私が「書道の動画は?」と確認したら、妻は「それでいいこか」と承諾した。
早速ダイニングテーブルに半紙を広げ、墨汁を含ませた筆を構える妻。その横でスマホを構える私。
「何がいい?」と妻が私に尋ねる。
考えてなかったんかい・・・
しかたないから、私は「牛(ぎゅう)」と答える。
「なんで?」
「なんでもええやん」
“ピロン”
ビデオ録画開始の音を合図に、妻が牛を書き始めた。
“ピロン”
これで1つ目が終了した。1文字書くのに掛る時間は約30秒。
「次は?」
「皿(さら)」
「なんで?」
「ええやん、皿で。はい、いくで!」
こんな感じで妻は10文字を書き上げた。私は録画したデータを妻に見せる。
「手、若く見える?」
妻の興味は字が上手くかけたかどうかではない。動画に映る自分の手が若く見えるか否か。そこだけだ。
私は撮り直しを要求されることを避けるため、こう答える。
「大丈夫やって! 若く見える」
「まあ、これでええか」
妻は納得したようだ。続いて妻は言った。
「じゃあ、YouTubeにアップしといて」
「え?」
「「え?」ってなに? 作業分担やん。私が書くから、アンタはアップしたらいいやん」
どうやら、私はユーチューバー(妻)をサポートする役目を負っているらしい。
私は妻をサポートする担当者として考える。
スマホの動画をそのままYouTubeにアップロードしてはダメだろう。
まず、動画の説明(字幕)が必要だ。音楽も入れた方がいい。
次に、この動画(書道)を子供の学習に利用する日本人の親がいるだろうか? 日本人が見るとは思えない。外国人向けにするにはタイトル、字幕、概要を英語にしないといけない。
私は問題にぶち当たる。
―― 一連の作業手順を伝えたとして、妻はできるだろうか?
私はどれくらいの作業なのかを調べるために自分でやってみた。
書道の動画をYouTubeで配信する手順と作業時間はこんな感じ。
・スマホの動画をラップトップに取り込む:30秒
・動画編集ソフトで動画を開く:30秒
・動画に字幕(英語)を追加する:5分
・動画に音楽を入れる:1分
・作成したファイルをエクスポートする:1分
・YouTubeにファイルをアップロードする:1分
・タイトル、説明(英語)で作って配信する:3分
トータル12分の作業。妻がやると2~3倍は掛るかもしれない。教えるのも時間が掛かるし、私が編集した方がいいのだろう。
片や妻は文字を書く30秒だけ。
―― これ、不公平じゃない?
確かに、妻の書道スキルがないと動画は作れない。でも、私の作業時間は妻の24倍。
状況を勘案すれば、私がユーチューバー?と思う。
私のアカウントにアップロードしているわけだし・・・
こうして、妻は面倒な編集作業を全て私に丸投げし、ユーチューバーとしてデビューしました。
私は三連休から動画を10個くらいアップロードしました。
そして、その後も妻は毎日1~2個のアップロードをノルマとして私に課してきます。
私としては編集時間が少なくてすむ簡単な漢字を書いてほしいから「数字(一~十)とかどう?」と提案するのですが、割と画数の多い漢字しか書きません。
妻の師範代としてのプライドが許さないのでしょう。
「今日はどんな感じ?」
妻は毎日私に動画再生回数を聞いてきます。自分の作品との自負があるようです。
そのうち、「動画再生回数を伸ばしたいんやけど」と言ってきそうな気がします。
【妻がユーチューバーになると言い出したら、どうするのが正解か?】
これは、あなたの家で発生する話かもしれません
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
アルファポリスであなたの良作を1000人に読んでもらうための25の技
MJ
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスは書いた小説を簡単に投稿でき、世間に公開できる素晴らしいサイトです。しかしながら、アルファポリスに小説を公開すれば必ずしも沢山の人に読んでいただけるとは限りません。
私はアルファポリスで公開されている小説を読んでいて気づいたのが、面白いのに埋もれている小説が沢山あるということです。
すごく丁寧に真面目にいい文章で、面白い作品を書かれているのに評価が低くて心折れてしまっている方が沢山いらっしゃいます。
そんな方に言いたいです。
アルファポリスで評価低いからと言って心折れちゃいけません。
あなたが良い作品をちゃんと書き続けていればきっとこの世界を潤す良いものが出来上がるでしょう。
アルファポリスは本とは違う媒体ですから、みんなに読んでもらうためには普通の本とは違った戦略があります。
書いたまま放ったらかしではいけません。
自分が良いものを書いている自信のある方はぜひここに書いてあることを試してみてください。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる