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第六話「真治の暗黒歴史 その二」
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渋谷から電車で数駅、社長である父は社用車での通勤だが、シンジはその車に同乗することなく電車通勤だ。もちろん出社時間の違いはあるが、お互い口に出すでもなく、父は真治を特別扱いはしないし、真治も分はわきまえようと考えていた。
住宅街に立つ一戸建ての自宅に帰り居間に顔を出すと、母親と祖母が夕食の支度をしていた。帰宅を告げ二階の自室に上がりノートパソコンの電源を入れる。着替えをしてスーツの内ポケットから探偵社でもらった書類を取り出した。
ブラウザを開き海外のアマチュア小説のアドレスを打ち込む、人間と魔人が戦う話、と要約されていた英語の小説だった。日本語翻訳にかけて内容をチェックする。
「太古から人間と魔人が争う世界、進化の過程で分かれた人族と魔族の終わる事のない戦い、共に同一の宗教を信仰する二つの勢力は聖地を巡り争いを繰り返す。か……」
シンジたちが夢の世界で対峙している魔人と違い、意思や感情を持ち人間と変わらない魔人が描かれ、人間共、互いに苦悩している様子が描写されている。夢の話が出てこない事に気が付いた真治は先を読み進む。
「人族の主人公と魔族のヒロインが夢の中で出会い……、夢の恋愛か、これは違うなあ」
悲恋が中心の恋愛小説としての要素が強く、異種族の和解と相互理解をテーマしている内容のようだった。
一応お気に入り登録し、真治は次のアドレスを入力する。
「人が夢の中で暮らす夢の島、ニューブリテン島か……、主人公は英国人、ニューブリテンの首都、ニューロンドン郊外での貴族の暮らしと魔人狩りの日々、うーん、これは近いかな?」
主人公が中世の貴族風異世界で領地を経営しながら、使用人らの人間関係、恋愛や経済が描かれ、魔人狩りはスポーツの一種のように扱われていた。
「最近、流行っているイギリス貴族ネタか、異世界の話ではあるけど、あの世界に島なんてあるのかなあ?」
主人公の貴族はモテモテ野郎で、ヒロインが大量に出演してこの男をヨイショしている描写が続いていた。
「ご都合主義って読者に叩かれそうな内容だよ」
シンジは自分が三人の少女と出会い、なんとなく行動を共にしていた事に気が付いた。
「俺も人の事は言えないか……」
次の魔法ファンタジーは某流行小説のオマージュ作品で、魔法がほぼ途絶えていて剣が活躍する夢の世界とは似ても似つかない、魔法使いが主人公の物語、世界観だった。
「これも違うな……、あれだけの人間が行ってるのに意外と無いものだなあ、下に行くか」
真治はパソコンをスリープさせ一階に下りた。三年前、一時引き籠っていた時に味方になってくれた母と祖母を心配させない為にも、今はあまり自室に閉じ籠らないように心がけていた。
食事を終わらせ、少しの間、母と祖母の三人で会社の話など雑談を交わした後、二階に上がりベッドに横になった。
「あの三人は今頃、現実の中で何を考えているのかな……」
起き上がり又パソコンを開いた。引き続き残りの小説をチェックする。
異星人が人の夢の中へ侵略する話、魔人を狩って金を手に入れる賞金稼ぎのファンタジー、現実の世界に帰ってしまった戦士の恋人を待ち続ける女性の話……、残りの小説もチェックしたが、これこそと言える物語は無かった。
「無理も無いな、俺も、もう一人のシンジも中二全開で小説を書いたけど、まともな大人ならそれなりに脚色して書くだろうし」
真治も内容を多少ごまかし、脚色して夢の体験を書いたが、あの方向性は今となっては暗黒歴史と呼べる代物だった。もう一人のシンジはかなり正確に書いていたが、あれは小説を読む、同じ体験をした読者に対するメッセージだと感じた。
「結局、俺もあいつも小説は消して退会した。皆、現実では語らないよな、こんな話は」
それにしても……、あれだけの人間が夢の異世界と現実を行き来しているのに、ネットに流れている情報は極端に少ない、何か国家レベルの組織が情報を統制しているのではないかとシンジは疑い、思った。
「特殊自衛隊と凄腕のハッカーか……」
住宅街に立つ一戸建ての自宅に帰り居間に顔を出すと、母親と祖母が夕食の支度をしていた。帰宅を告げ二階の自室に上がりノートパソコンの電源を入れる。着替えをしてスーツの内ポケットから探偵社でもらった書類を取り出した。
ブラウザを開き海外のアマチュア小説のアドレスを打ち込む、人間と魔人が戦う話、と要約されていた英語の小説だった。日本語翻訳にかけて内容をチェックする。
「太古から人間と魔人が争う世界、進化の過程で分かれた人族と魔族の終わる事のない戦い、共に同一の宗教を信仰する二つの勢力は聖地を巡り争いを繰り返す。か……」
シンジたちが夢の世界で対峙している魔人と違い、意思や感情を持ち人間と変わらない魔人が描かれ、人間共、互いに苦悩している様子が描写されている。夢の話が出てこない事に気が付いた真治は先を読み進む。
「人族の主人公と魔族のヒロインが夢の中で出会い……、夢の恋愛か、これは違うなあ」
悲恋が中心の恋愛小説としての要素が強く、異種族の和解と相互理解をテーマしている内容のようだった。
一応お気に入り登録し、真治は次のアドレスを入力する。
「人が夢の中で暮らす夢の島、ニューブリテン島か……、主人公は英国人、ニューブリテンの首都、ニューロンドン郊外での貴族の暮らしと魔人狩りの日々、うーん、これは近いかな?」
主人公が中世の貴族風異世界で領地を経営しながら、使用人らの人間関係、恋愛や経済が描かれ、魔人狩りはスポーツの一種のように扱われていた。
「最近、流行っているイギリス貴族ネタか、異世界の話ではあるけど、あの世界に島なんてあるのかなあ?」
主人公の貴族はモテモテ野郎で、ヒロインが大量に出演してこの男をヨイショしている描写が続いていた。
「ご都合主義って読者に叩かれそうな内容だよ」
シンジは自分が三人の少女と出会い、なんとなく行動を共にしていた事に気が付いた。
「俺も人の事は言えないか……」
次の魔法ファンタジーは某流行小説のオマージュ作品で、魔法がほぼ途絶えていて剣が活躍する夢の世界とは似ても似つかない、魔法使いが主人公の物語、世界観だった。
「これも違うな……、あれだけの人間が行ってるのに意外と無いものだなあ、下に行くか」
真治はパソコンをスリープさせ一階に下りた。三年前、一時引き籠っていた時に味方になってくれた母と祖母を心配させない為にも、今はあまり自室に閉じ籠らないように心がけていた。
食事を終わらせ、少しの間、母と祖母の三人で会社の話など雑談を交わした後、二階に上がりベッドに横になった。
「あの三人は今頃、現実の中で何を考えているのかな……」
起き上がり又パソコンを開いた。引き続き残りの小説をチェックする。
異星人が人の夢の中へ侵略する話、魔人を狩って金を手に入れる賞金稼ぎのファンタジー、現実の世界に帰ってしまった戦士の恋人を待ち続ける女性の話……、残りの小説もチェックしたが、これこそと言える物語は無かった。
「無理も無いな、俺も、もう一人のシンジも中二全開で小説を書いたけど、まともな大人ならそれなりに脚色して書くだろうし」
真治も内容を多少ごまかし、脚色して夢の体験を書いたが、あの方向性は今となっては暗黒歴史と呼べる代物だった。もう一人のシンジはかなり正確に書いていたが、あれは小説を読む、同じ体験をした読者に対するメッセージだと感じた。
「結局、俺もあいつも小説は消して退会した。皆、現実では語らないよな、こんな話は」
それにしても……、あれだけの人間が夢の異世界と現実を行き来しているのに、ネットに流れている情報は極端に少ない、何か国家レベルの組織が情報を統制しているのではないかとシンジは疑い、思った。
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