9 / 17
第9話 デートだった!
しおりを挟む
「せっかくカメラを買ったんだし、さっそく撮ってみたいな」
ぎこちない手つきでフィルムをセットしながら、真也さんが言う。
「何か撮りたいものがありますか?」
「美里」
「えっ……」
「美里の写真が撮りたい」
「わ、私の……」
「じゃ、撮るよ~」
「わ、わ……待って――」
パシャ!
「はい、もう一枚――」
パシャ!
「し、真也さ――」
パシャ!
「いいね、いいね~」
パシャ!
「これ、面白いな……カメラマンみたいだ。こういうの、どっかで見たことある」
パシャ!
「今度はそのベンチに座って……そうそう、目線こっちに……もちょっとうつむき加減で……」
パシャ!
「ちゃんとピント合わせてます?」
「見えたとおりに写るんだろ? 大丈夫」
パシャ!
「基本的にはそうですけど……」
晴れた野外で露出はオートだし、フィルムの性能もいいから、ピントさえ合っていればちゃんと写ってるはず……。
それにしても、1本千円以上するカラーフィルムを惜しげもなく……家がお金持ちみたいだし、お小遣いもたくさんもらってるんだろうな……。
「あれ……巻き上げ出来ない」
「36枚を撮り切ったってことです」
「もう終わりなの?」
「もっと撮りたかったら、フィルムを交換する必要があります」
「へぇ……ちょっとしか撮れないんだなぁ」
「スマホとは違うところですね。そのかわり、1枚1枚をじっくりと考えて撮ることができます」
「なるほど……で、交換ってどうすればいい?」
巻き上げレバーの操作を教えると、すぐに使い方を飲み込んだようだ。
「こうやって写真撮るの、楽しいな……なんで廃れちゃったんだろう」
「手軽さですかね」
「そっかぁ……写真が撮りたいだけなのに、こんなふうにあれこれ機械を操作しないといけないなんて、普通の人は面倒に感じるかもな」
「スマホならシャッターボタンを押すだけですからね。撮った写真はすぐに見れるし、失敗しても撮り直しできますし」
「そういえば、写真を見るにはどうするんだっけ?」
「フィルムを現像してプリントするんです」
「それって、自分でするの?」
「自分でしてもいいし、お店に頼んでもいいです」
「美里がやってくれる?」
「カラーフィルムは無理です」
「へ……」
「設備がないし……それに、私が撮るのはモノクロ写真なんです」
「モノクロってことは、色が付いてない?」
「そうです」
「なんでよ……カラーのほうが良くない?」
「好きなんです、白と黒だけで描かれる世界が」
「そういえば、スマホにも白黒のモードがあるな……使ったことないけど」
「面白いですよ、モノクロも」
「なるほどねぇ……そうだ! このカメラ、自撮りってできるの?」
「出来ますよ」
「どうやって……あ、わかった! 鏡を使うんでしょ? 鏡に映った自分を撮る」
「それだと鏡のある場所でしか撮れませんよ。ちゃんとセルフタイマーって機能があるんです」
「へぇ」
「このレバーがそうです」
「これか……何に使うんだと思ってた。よし、じゃツーショットを撮ろう」
「え……ツーショットって、真也さんと私……のですか」
「当然」
「で、でも……そんな……心の準備が……あ、フィルムもう撮り切っちゃったし、また今度ってことで……」
「美里のカメラには、フィルム入ってないの?」
「入ってますけど……」
「1枚だけならいいでしょ?」
「う~ん……」
真也さんと一緒に写った写真……すごく欲しいけど、なんだか恥ずかしい。
手も繋いだし、そのうえ一緒に写真まで……これほど急に関係が進んでしまっていいのだろうか……。
「で、どうやって撮るの?」
「三脚を使います」
カメラバッグから三脚を出して、自分のカメラをセットする。
絞りとシャッタースピードを決めて、真也さんが立っている位置に構図とピントを合わせて――
「じゃ、撮りますからね……だいたい、10秒ちょっとでシャッターが切れますから、そのつもりで」
「おっけ~」
セルフタイマーのレバーをひねると、ジジジ……とゼンマイの音。
真也さんの隣へ走る。
「なるほどねぇ……こんなふうにして、昔の人は自撮りをしてたんだ」
「今も昔も、人の欲求は変わりませんね……あ、そろそろですよ」
パシャ
シャッターが切れてから気づいた。
この写真、ユウが写り込んでるんじゃないだろうか……。
「これ、美里が自分で現像するんだろ?」
「あ……は、はい」
「写真ができたら、オレにも1枚もらえるよね」
「もちろん……で、でもほら……失敗するかもしれないから……」
「そうなの? じゃ、念のためもう1枚撮っとく?」
「いや……いくら撮ってもその……失敗するときはするっていうか……」
「ずいぶん自信ないんだな」
「いやぁ……はは……私、不器用ですから」
「写真部の部長なんだから、失敗はあり得ないよね。写真、楽しみにしてるから」
「……はぁ」
その後、スターバックスでフラペチーノをおごってもらった。
窓際のカウンター席に座ったので、必然的に真也さんと隣り合わせに——
距離が近い……というか、肩と肩が触れている。
触れているところが、熱くてムズムズする。
緊張であたまが破裂しそう……。
(ヘロヤメレ・ネーロヤ・ダケーワ……)
心の中で、紗友さんに教えてもらった呪文を唱える——もう覚えたぞ。
落ち着いてきた……効くなぁ、この呪文。
「あの……今日はスミマセンでした」
「どうして謝るの?」
「だって私……一方的にカメラのことまくし立てちゃって……聞いてて苦痛だったんじゃないかと――」
「確かに美里の知識量と熱意には圧倒されたけど……楽しかったよ。それと、羨ましかったな」
「それってどういう――」
「好きなもの、打ち込めるものがあるってことが」
「……真也さんにはないんですか?」
「これといってないんだよねぇ」
「学校以外の場所では、いつも何をしてるんですか」
「なんだろうね……友達とダベったり、ネット見たり……何もしてないのと同じだな」
寂しそうな横顔。
何を言えばいいのかわからなくて、フラペチーノをすする。
「なにこれ、おいしい!」
「あれ、もしかして初めて飲んだ?」
「はい」
甘~くて、ちょっと苦くて、冷たくて、ゾロッとして……普段、水かお茶ばかり飲んでいる私にとって、衝撃的な味だった。
こんなおいしいもの、慎重に味わわないともったいない。
一気に飲みたい気持ちを抑えながら、一口ずつ口に含んで味と香りを堪能する。
「フラペチーノをそんなに旨そうに飲む娘、初めて見た」
「だって……すごくおいしいんですよ、これ」
「知ってるよ」
痛いほど真也さんの視線を感じる。
恥ずかしいけど、真也さんが楽しそうなので我慢しよう。
手の中の飲み物に集中する。
「……ほんとはさ、カメラ買うの付き合って欲しいっていう話、美里とデートするための口実だったんだよね」
「えっ……」
フラペチーノが気管に入りそうになる。
「あの……こ、これその……デデデデ……デート……なんですか……」
「男と女が一緒に買い物してお茶して……完全にデートだよね。美里だってそう思うでしょ」
「それは……まぁ……」
「思惑通り、まんまと美里をデートに誘うことに成功したわけだけど……怒ってない?」
「え……なんで……」
「美里に嘘ついたから」
「嘘って……さっき、写真撮ったときに楽しそうにしてたのも嘘だったんですか」
「あれはホントに楽しかった。はじめは口実だったけど、このカメラ買って良かったと思ってるよ」
「ならいいです。真也さんにも、興味持てるものが出てきて良かったんじゃないですか」
「ほんとだね」
「それに……私が好きなものに真也さんが興味を持ってくれてその……私、嬉しいんです」
「……そっか……なぁ、美里」
ふいに、真也さんの手が私の手に重なる――
「あっ……」
顔を上げると真也さんと目が合った。
真剣な表情。
かあッ、と頭に血が上る。
「美里……」
「……は、はい」
「美里…………オレ、美里のこと……」
そこまで言って、真也さんが言葉に詰まる。
私は金縛りにあったように動くことができない。
呼吸も出来ない。
まばたきもできない。
次の言葉を言うために、真也さんが息を吸う――
ピロン♪
真也さんのスマホが静かに鳴る。
メッセージの着信を告げる音。
「……ちょっと待って」
金縛りが解けた。
詰めていた息を吐く。
こんなのぜったい心臓に悪い。
「……ごめん、オレ帰るわ」
メッセージを見た真也さんは、少し怒ったような口調。
立ち上がって、足早に店を出てゆく。
「あ、あの……」
何があったんだろう。
急用だろうか? それにしても、もう少し言い訳とか別れの挨拶とかあってもよさそうなものだけど……。
それに……真也さん、さっき私に何を言おうとしたんだろう。
ズズッ……
フラペチーノはもうからっぽ。
窓の外を見ると、空には低くて暗い雲が垂れ込めている。
さっきまで晴れてたのに。
天気予報の降水確率も10%未満だったのに。
今にも雨が降り出しそう。
カメラバッグに傘は入っていなかった。
ぎこちない手つきでフィルムをセットしながら、真也さんが言う。
「何か撮りたいものがありますか?」
「美里」
「えっ……」
「美里の写真が撮りたい」
「わ、私の……」
「じゃ、撮るよ~」
「わ、わ……待って――」
パシャ!
「はい、もう一枚――」
パシャ!
「し、真也さ――」
パシャ!
「いいね、いいね~」
パシャ!
「これ、面白いな……カメラマンみたいだ。こういうの、どっかで見たことある」
パシャ!
「今度はそのベンチに座って……そうそう、目線こっちに……もちょっとうつむき加減で……」
パシャ!
「ちゃんとピント合わせてます?」
「見えたとおりに写るんだろ? 大丈夫」
パシャ!
「基本的にはそうですけど……」
晴れた野外で露出はオートだし、フィルムの性能もいいから、ピントさえ合っていればちゃんと写ってるはず……。
それにしても、1本千円以上するカラーフィルムを惜しげもなく……家がお金持ちみたいだし、お小遣いもたくさんもらってるんだろうな……。
「あれ……巻き上げ出来ない」
「36枚を撮り切ったってことです」
「もう終わりなの?」
「もっと撮りたかったら、フィルムを交換する必要があります」
「へぇ……ちょっとしか撮れないんだなぁ」
「スマホとは違うところですね。そのかわり、1枚1枚をじっくりと考えて撮ることができます」
「なるほど……で、交換ってどうすればいい?」
巻き上げレバーの操作を教えると、すぐに使い方を飲み込んだようだ。
「こうやって写真撮るの、楽しいな……なんで廃れちゃったんだろう」
「手軽さですかね」
「そっかぁ……写真が撮りたいだけなのに、こんなふうにあれこれ機械を操作しないといけないなんて、普通の人は面倒に感じるかもな」
「スマホならシャッターボタンを押すだけですからね。撮った写真はすぐに見れるし、失敗しても撮り直しできますし」
「そういえば、写真を見るにはどうするんだっけ?」
「フィルムを現像してプリントするんです」
「それって、自分でするの?」
「自分でしてもいいし、お店に頼んでもいいです」
「美里がやってくれる?」
「カラーフィルムは無理です」
「へ……」
「設備がないし……それに、私が撮るのはモノクロ写真なんです」
「モノクロってことは、色が付いてない?」
「そうです」
「なんでよ……カラーのほうが良くない?」
「好きなんです、白と黒だけで描かれる世界が」
「そういえば、スマホにも白黒のモードがあるな……使ったことないけど」
「面白いですよ、モノクロも」
「なるほどねぇ……そうだ! このカメラ、自撮りってできるの?」
「出来ますよ」
「どうやって……あ、わかった! 鏡を使うんでしょ? 鏡に映った自分を撮る」
「それだと鏡のある場所でしか撮れませんよ。ちゃんとセルフタイマーって機能があるんです」
「へぇ」
「このレバーがそうです」
「これか……何に使うんだと思ってた。よし、じゃツーショットを撮ろう」
「え……ツーショットって、真也さんと私……のですか」
「当然」
「で、でも……そんな……心の準備が……あ、フィルムもう撮り切っちゃったし、また今度ってことで……」
「美里のカメラには、フィルム入ってないの?」
「入ってますけど……」
「1枚だけならいいでしょ?」
「う~ん……」
真也さんと一緒に写った写真……すごく欲しいけど、なんだか恥ずかしい。
手も繋いだし、そのうえ一緒に写真まで……これほど急に関係が進んでしまっていいのだろうか……。
「で、どうやって撮るの?」
「三脚を使います」
カメラバッグから三脚を出して、自分のカメラをセットする。
絞りとシャッタースピードを決めて、真也さんが立っている位置に構図とピントを合わせて――
「じゃ、撮りますからね……だいたい、10秒ちょっとでシャッターが切れますから、そのつもりで」
「おっけ~」
セルフタイマーのレバーをひねると、ジジジ……とゼンマイの音。
真也さんの隣へ走る。
「なるほどねぇ……こんなふうにして、昔の人は自撮りをしてたんだ」
「今も昔も、人の欲求は変わりませんね……あ、そろそろですよ」
パシャ
シャッターが切れてから気づいた。
この写真、ユウが写り込んでるんじゃないだろうか……。
「これ、美里が自分で現像するんだろ?」
「あ……は、はい」
「写真ができたら、オレにも1枚もらえるよね」
「もちろん……で、でもほら……失敗するかもしれないから……」
「そうなの? じゃ、念のためもう1枚撮っとく?」
「いや……いくら撮ってもその……失敗するときはするっていうか……」
「ずいぶん自信ないんだな」
「いやぁ……はは……私、不器用ですから」
「写真部の部長なんだから、失敗はあり得ないよね。写真、楽しみにしてるから」
「……はぁ」
その後、スターバックスでフラペチーノをおごってもらった。
窓際のカウンター席に座ったので、必然的に真也さんと隣り合わせに——
距離が近い……というか、肩と肩が触れている。
触れているところが、熱くてムズムズする。
緊張であたまが破裂しそう……。
(ヘロヤメレ・ネーロヤ・ダケーワ……)
心の中で、紗友さんに教えてもらった呪文を唱える——もう覚えたぞ。
落ち着いてきた……効くなぁ、この呪文。
「あの……今日はスミマセンでした」
「どうして謝るの?」
「だって私……一方的にカメラのことまくし立てちゃって……聞いてて苦痛だったんじゃないかと――」
「確かに美里の知識量と熱意には圧倒されたけど……楽しかったよ。それと、羨ましかったな」
「それってどういう――」
「好きなもの、打ち込めるものがあるってことが」
「……真也さんにはないんですか?」
「これといってないんだよねぇ」
「学校以外の場所では、いつも何をしてるんですか」
「なんだろうね……友達とダベったり、ネット見たり……何もしてないのと同じだな」
寂しそうな横顔。
何を言えばいいのかわからなくて、フラペチーノをすする。
「なにこれ、おいしい!」
「あれ、もしかして初めて飲んだ?」
「はい」
甘~くて、ちょっと苦くて、冷たくて、ゾロッとして……普段、水かお茶ばかり飲んでいる私にとって、衝撃的な味だった。
こんなおいしいもの、慎重に味わわないともったいない。
一気に飲みたい気持ちを抑えながら、一口ずつ口に含んで味と香りを堪能する。
「フラペチーノをそんなに旨そうに飲む娘、初めて見た」
「だって……すごくおいしいんですよ、これ」
「知ってるよ」
痛いほど真也さんの視線を感じる。
恥ずかしいけど、真也さんが楽しそうなので我慢しよう。
手の中の飲み物に集中する。
「……ほんとはさ、カメラ買うの付き合って欲しいっていう話、美里とデートするための口実だったんだよね」
「えっ……」
フラペチーノが気管に入りそうになる。
「あの……こ、これその……デデデデ……デート……なんですか……」
「男と女が一緒に買い物してお茶して……完全にデートだよね。美里だってそう思うでしょ」
「それは……まぁ……」
「思惑通り、まんまと美里をデートに誘うことに成功したわけだけど……怒ってない?」
「え……なんで……」
「美里に嘘ついたから」
「嘘って……さっき、写真撮ったときに楽しそうにしてたのも嘘だったんですか」
「あれはホントに楽しかった。はじめは口実だったけど、このカメラ買って良かったと思ってるよ」
「ならいいです。真也さんにも、興味持てるものが出てきて良かったんじゃないですか」
「ほんとだね」
「それに……私が好きなものに真也さんが興味を持ってくれてその……私、嬉しいんです」
「……そっか……なぁ、美里」
ふいに、真也さんの手が私の手に重なる――
「あっ……」
顔を上げると真也さんと目が合った。
真剣な表情。
かあッ、と頭に血が上る。
「美里……」
「……は、はい」
「美里…………オレ、美里のこと……」
そこまで言って、真也さんが言葉に詰まる。
私は金縛りにあったように動くことができない。
呼吸も出来ない。
まばたきもできない。
次の言葉を言うために、真也さんが息を吸う――
ピロン♪
真也さんのスマホが静かに鳴る。
メッセージの着信を告げる音。
「……ちょっと待って」
金縛りが解けた。
詰めていた息を吐く。
こんなのぜったい心臓に悪い。
「……ごめん、オレ帰るわ」
メッセージを見た真也さんは、少し怒ったような口調。
立ち上がって、足早に店を出てゆく。
「あ、あの……」
何があったんだろう。
急用だろうか? それにしても、もう少し言い訳とか別れの挨拶とかあってもよさそうなものだけど……。
それに……真也さん、さっき私に何を言おうとしたんだろう。
ズズッ……
フラペチーノはもうからっぽ。
窓の外を見ると、空には低くて暗い雲が垂れ込めている。
さっきまで晴れてたのに。
天気予報の降水確率も10%未満だったのに。
今にも雨が降り出しそう。
カメラバッグに傘は入っていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
居酒屋で記憶をなくしてから、大学の美少女からやたらと飲みに誘われるようになった件について
古野ジョン
青春
記憶をなくすほど飲み過ぎた翌日、俺は二日酔いで慌てて駅を駆けていた。
すると、たまたまコンコースでぶつかった相手が――大学でも有名な美少女!?
「また飲みに誘ってくれれば」って……何の話だ?
俺、君と話したことも無いんだけど……?
カクヨム・小説家になろう・ハーメルンにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
