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第37話 選択のその後
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「ね、姉さん。どうしてここに」
「そちらのお嬢さんに導かれました。前もそうでした。今は影武者をやってもらっているそちらのお嬢さんにも導かれ、今の世界がある。なぜそんなことが起こるのか私はずっと考えていました。管理者である私たちが完全ならばこんなことは起きないはず。だからきっと私達は選択した後のことを考えすぎなかったのでしょう」
ホンモノは淡々と語りだす。自らに言い聞かせるかのように。
「選択の後? 何を言っているんだよ。姉さん」
「私たちは変わらない存在です。人間に比べたらずっと長い時間を世界で過ごしてきました。それもずっと私たちが管理をしながら」
ホンモノは昔を思い出しているのか天井を見ている。その紫の瞳は空虚なものを見ているようにも見える。
「言葉のままですよ。一度決めたことが。たとえその時、その場所で正しいと思えたとしても、時を経てその考えが変わらないと言うことは歪みを生み出すのです。そのまま進んではその歪みは大きくなっていずれ世界を壊す」
「だ、だから僕たちは成長するアンドロイドを造り。世界を先へと進めようとしたんじゃないのか」
「いえ。私たちのとった選択自体は変えていませんよ。選択したことを間違ったことにしないために動いていたにすぎません。そもそも選択自体を見直さなくてはならない時もあるのです」
「それが今だって言うのか?」
「そうなのでしょう。誰もが当然だと思っていたリセットと言う機能に疑問を持ちこうまで突き動かしているアンドロイドが生まれたのですから」
お医者さん、探偵さん、お姫様が一斉に少女の方へと視線を動かす。表情は三者三様。お医者さんだけは納得していない様子なのは見て取れる。ただそれは少女も一緒だ。
「私にそんなつもりなんてない。ただ、アンドロイドたちが生きた時間がなかったことにすることに意味なんて無いと思った。人間というものはそんなことをしなかったはず。次の世代に何かを託し。次の世代はそれを頼りに次の世代へと託すものを選抜してく。少なくとも私が知っている人間社会とはそういうもの」
創造主の記憶により補完されたその想いはきっと今は間違っていない選択。けれど、この先もその選択をし続けることが間違わないってことではない。それはホンモノが言っている通りだ。
「だから、いつまでも管理者が選択し続ける世界はきっといつか間違える。選択することは次の世代へと渡していくべき」
そしてそれが自分たちの選択とかけ離れたことでも受け入れていくべきだ。それを邪魔し続けるのであればいなくなったほうがマシ。そのことにより大切なものを失おうとも。
「うるさい! うるさい! うるさい!」
お医者さんが叫ぶ。どれくらいの時間を選択し続けてきたのか少女には想像もつかない。そしてそれを少女はすべて否定してみせた。同じ境遇のホンモノの想いも動かしながらだ。それはお医者さんにとって自己を否定されたのと同じなのだ。それを受け入れてしまったら自分を保てない。それは身体を入れ替えて意識だけを使いまわしているお医者さんには余計に堪えているみたいだ。
「戦闘型アンドロイドで敵わないならこいつで抑え込む。僕の僕たちの選択が間違っていなかったのだと証明してやるっ!」
それはもう自暴自棄以外のなにものでもない。自己の否定を否定するためだけの行為。けれど、それを打ち砕かなくては再なんて出来ないのだろう。
「すべて壊してしまえばそれでいいんだろ。僕たちがやってきたことすべてをさぁ!」
爆発音と共に天井が崩れ始める。落ちてくる瓦礫が爆発に比べると随分と少ない。少女は瓦礫を防ぎならがそんなことが気になった。それは意図的に天井だけをどかしているようなそんな破壊の仕方。
一通り静かになってから上を確認すると空が広がっている。管理する部屋ごとなくなっている。それから大きな音と共に塔全体が揺れた。地上からの衝撃が伝わって来たかのようなそんな衝撃。
「まさかここから上の階層を地上へと落としたというのっ?」
ホンモノがそう叫ぶ。それがほんとうならどれだけの被害が地上で発生しているのか。
「上からくるぞっ!」
探偵さんの声で全員が散開する。しかし少女は痛みで動けないままだ。崩れた壁から這い出すように現れたのは二体の兵器だ。やつらがお医者さんの指示で塔を壊したのだろう。
その兵器の銃口が間違いなく少女たちに向いていた。
「そちらのお嬢さんに導かれました。前もそうでした。今は影武者をやってもらっているそちらのお嬢さんにも導かれ、今の世界がある。なぜそんなことが起こるのか私はずっと考えていました。管理者である私たちが完全ならばこんなことは起きないはず。だからきっと私達は選択した後のことを考えすぎなかったのでしょう」
ホンモノは淡々と語りだす。自らに言い聞かせるかのように。
「選択の後? 何を言っているんだよ。姉さん」
「私たちは変わらない存在です。人間に比べたらずっと長い時間を世界で過ごしてきました。それもずっと私たちが管理をしながら」
ホンモノは昔を思い出しているのか天井を見ている。その紫の瞳は空虚なものを見ているようにも見える。
「言葉のままですよ。一度決めたことが。たとえその時、その場所で正しいと思えたとしても、時を経てその考えが変わらないと言うことは歪みを生み出すのです。そのまま進んではその歪みは大きくなっていずれ世界を壊す」
「だ、だから僕たちは成長するアンドロイドを造り。世界を先へと進めようとしたんじゃないのか」
「いえ。私たちのとった選択自体は変えていませんよ。選択したことを間違ったことにしないために動いていたにすぎません。そもそも選択自体を見直さなくてはならない時もあるのです」
「それが今だって言うのか?」
「そうなのでしょう。誰もが当然だと思っていたリセットと言う機能に疑問を持ちこうまで突き動かしているアンドロイドが生まれたのですから」
お医者さん、探偵さん、お姫様が一斉に少女の方へと視線を動かす。表情は三者三様。お医者さんだけは納得していない様子なのは見て取れる。ただそれは少女も一緒だ。
「私にそんなつもりなんてない。ただ、アンドロイドたちが生きた時間がなかったことにすることに意味なんて無いと思った。人間というものはそんなことをしなかったはず。次の世代に何かを託し。次の世代はそれを頼りに次の世代へと託すものを選抜してく。少なくとも私が知っている人間社会とはそういうもの」
創造主の記憶により補完されたその想いはきっと今は間違っていない選択。けれど、この先もその選択をし続けることが間違わないってことではない。それはホンモノが言っている通りだ。
「だから、いつまでも管理者が選択し続ける世界はきっといつか間違える。選択することは次の世代へと渡していくべき」
そしてそれが自分たちの選択とかけ離れたことでも受け入れていくべきだ。それを邪魔し続けるのであればいなくなったほうがマシ。そのことにより大切なものを失おうとも。
「うるさい! うるさい! うるさい!」
お医者さんが叫ぶ。どれくらいの時間を選択し続けてきたのか少女には想像もつかない。そしてそれを少女はすべて否定してみせた。同じ境遇のホンモノの想いも動かしながらだ。それはお医者さんにとって自己を否定されたのと同じなのだ。それを受け入れてしまったら自分を保てない。それは身体を入れ替えて意識だけを使いまわしているお医者さんには余計に堪えているみたいだ。
「戦闘型アンドロイドで敵わないならこいつで抑え込む。僕の僕たちの選択が間違っていなかったのだと証明してやるっ!」
それはもう自暴自棄以外のなにものでもない。自己の否定を否定するためだけの行為。けれど、それを打ち砕かなくては再なんて出来ないのだろう。
「すべて壊してしまえばそれでいいんだろ。僕たちがやってきたことすべてをさぁ!」
爆発音と共に天井が崩れ始める。落ちてくる瓦礫が爆発に比べると随分と少ない。少女は瓦礫を防ぎならがそんなことが気になった。それは意図的に天井だけをどかしているようなそんな破壊の仕方。
一通り静かになってから上を確認すると空が広がっている。管理する部屋ごとなくなっている。それから大きな音と共に塔全体が揺れた。地上からの衝撃が伝わって来たかのようなそんな衝撃。
「まさかここから上の階層を地上へと落としたというのっ?」
ホンモノがそう叫ぶ。それがほんとうならどれだけの被害が地上で発生しているのか。
「上からくるぞっ!」
探偵さんの声で全員が散開する。しかし少女は痛みで動けないままだ。崩れた壁から這い出すように現れたのは二体の兵器だ。やつらがお医者さんの指示で塔を壊したのだろう。
その兵器の銃口が間違いなく少女たちに向いていた。
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